940 ヘタレ、それとも……
清らかな乙女とは、何か?
それは倉津君にとっては、肉体関係の話ではなく、心も持ち様だと言い。
そして奈緒さんこそが、世界一清らかな乙女だとも言い、彼女を喜ばせる。
だが、その言葉が引き金に成って、奈緒さんにスィッチが入ってしまい……
***
「なんで『ブッ!!』って言うのよ?」
「いや、だって奈緒さん。急に、そんな気持ちになるのって、おかしくないッスか?それに、隣の部屋じゃあ、例の4人組が寝てるんッスよ。此処で下手に騒いで、起きたら、どうするんッスか?」
「気にしないけど」
「いや、だからぁ、前から言ってますが、そこは最低限度、気にしましょうね。奈緒さん、全米のトップ・アーティストなんッスよ」
「だからなによ?トップ・アーティストだったら、彼氏とSEXしちゃイケナイの?そんな法律、何所にも無いと思うんだけど」
「いや、そうは言っても、誰かに見られたら恥ずかしくないッスか?」
「全然。寧ろ『勝手に見れば』って感じ」
わかんねぇ~~~?
なんで、そんな悟った様な心境に成るんだよ?
意味不だ意味不。
「いやいやいやいや、俺は奈緒さんの裸を、俺以外の誰にも見せたくないッス。それが例え、同性の素直達でも嫌ッスね」
「知らな~~~い。……ってかさぁクラ。私、君のせいで一年間もHしてないんだよ。ちょっとは彼女を満足させろっての」
あぁ……そっか、そっかそっか。
俺は病院で完全ノックアウトして昏睡をしてたから、口では『オナニーする』だの『1年間溜まってた』なんだの言ってたけど、実際は、あまりそう言う性的な欲求はなかった。
だが、奈緒さんは違うんだよな。
この人は、普通にこの1年を過ごしてたから、色んな意味で俺に不満が溜まってると……そりゃあ、流石にイカンな。
……とは言ってもなぁ。
流石に、此処でHする訳には行かないんだよなぁ。
どうすっかなぁ?
「あぁじゃあ、取り敢えず、場所を変えましょう。流石に、此処はマズイっしょ」
「ヤダよ。此処でしたい。今すぐしたい。直ぐにしろ」
「いやいや、奈緒さん。素直の手前があるんだから、せめて場所は変えましょうよ」
「やだね。私は、クラの部屋でやりたいの。なんで彼女の私が、彼女でもない素直に気を遣わなきゃならないのよ。ヤダよ」
「いや、まぁそうなんですけど。Hなんて、人に見られるものじゃないじゃないですか」
「そんなん知らんわ。クラが、私のモノだって言う事を見せ付けたいの」
「いやいやいやいや、そんなの心配しなくても、俺は、奈緒さんだけのモノっすよ。心配は御無用です」
「ヤダね。クラは、私の我儘を聞かなきゃいけないの。……って言うか聞け。泣かすぞ」
怖ッ!!
なんか今、細胞が、勝手に『ビクッ!!』って感じで恐怖反応を示したぞ。
なんだこれ?
眞子を疑似体験してた時の……名残か?
「あっ、あの、奈緒さん。……あのですね」
「……だったら、もぅ良いよ。君が損な態度を取るなら、もぉアメリカに帰るからね!!2度と話し掛けないでね」
「いやいやいや、ホント待って下さいよ、奈緒さん!!やります、やります。やらせて下さい!!」
「ホント?」
「あぁ、はい。やりたいのは、いつも通り、本当です。……でもッスね。ヤッパ場所を変えて欲しいのも、本心ッスね」
「ハァ~~~、もぉ良いよ、このヘタレ。なんでそんなに、私が自分のモノだって誇示出来無いのよ?世間体とかを気にしてるんじゃないわよ。……この女々しいヘタレ王」
そんな事を言われてもッスね。
今の奈緒さんと俺とじゃあ、世間が持つ認知度も、ミュージシャンとしての実力も雲泥の差なんッスよ。
だから、俺としてはッスね。
なんとしても、奈緒さんの人気に傷を付けたく無い訳なんッスよ。
故に、素直の近くでSEXするのとかが、ちょっと気が引けてるだけなんッスよ。
「奈緒さん。俺、別に、自分の世間体とかを気にして、こんな事を言ってるんじゃないんッスよ。奈緒さんの世間体が気になって、此処でH出来ないだけなんッスよ」
「だから、そう言うの、私は気にしてないって、いつも散々言ってるでしょうに。なんで、そんな小さい事に拘るかなぁ」
「全然小さくないッスよ!!奈緒さんの世間体に傷が付いたら、どうするんッスか!!ただでさぁ、俺なんかと付き合ってるだけでも危なっかしいのに。なにかが有ったら、今の人気がガタ落ちしちゃうんですよ。そんな真似、易々と出来無いッスよ」
「ばか……」
「へっ?」
「今の人気なんて、どうでも良いの。私にはクラが居れば、なにもイラナイの。それにねぇ。私は、君と付き合い始めた時から、ヤクザの嫁になる事を前提にしてるの。君と居る為なら、ミュージシャンの地位なんか捨てて、その後、極妻にでもなんでも成ってあげるわよ。……だから、ツマンナイ事ばっかり拘ってんじゃないの」
……本気なんッスか、それ?
「奈緒さん……それ」
「当然、本気。私が口だけで『私はクラのものだ』なんて言ってるとでも思ってたの?冗談じゃないわよ。私は、君のモノなの。君だけが私の所有者なの。だから君は、私の件では、なにも気にしなくて良いの」
「いや、あの、マジなんッスか?」
「うん。マジマジ。今の地位なんかより、君の方が100倍大切だよ」
かぁ~~~~、なんて人だ、この人は。
此処まで真剣に、こんな先の事まで考えてるなんて思いも拠らなかった。
だったらもぉ!!抑制力なんて掛ける必要なんてねぇよ。
奈緒は、俺のものだ!!
……って、ハッキリ言えないのが俺でして。
だってよぉ。
此処まで俺なんかの事を深く想ってくれてる人の事を、大切にしないでどうするよ?
だから、ヤッパリ、此処でするのはダメっすよ。
「もぉこの人だけは……って言いたい所なんッスけど。奈緒さん、やっぱ部屋変えましょうよ。俺は、そう言う奈緒さんを、もっともっと大切にしたいんッス。こんなに想って貰えてるなら、尚更ッスよ」
「意外と意地っ張りだねぇ。……あぁもぉ。解ったわよ。部屋を変えれば良いんでしょ部屋を」
「ウッス!!そんな奈緒さん大好きッス!!」
「コイツだけは……まぁ良いっか。但し、1年間も放ったらかしにしたんだから、私が満足するまで付き合って貰うからね。……良いね?」
「当然ッスよ!!俺も1年分溜まってるッスから、もぉバリバリにハッスルしちゃいますよ!!」
「そっ……(死んだね)」
俺は、俺の意見を聞き入れてくれた奈緒さんの深い愛情を感じながら、2人で別の部屋に移動した。
よっしゃあ!!やったるでぇ!!
***
……数時間後。
「ふぅ~~~、スッキリした。ちょっとは満足満足。……さて、事も済んだし。寝よっと」
そう言って奈緒さんは、瞬時に眠りについた。
だが俺は、布団に寝転がったまま、体を動かすのさえ億劫になっている。
何故なら……此処で、まさかの『抜かずの6連発』が敢行されたからだ。
これは流石に性欲を持て余してる俺でも……干からびて死ぬ。
「……ギャフン……(ガクッ)」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
世間体を気にする倉津君。
それに対して、そんな物は些細な事でしかないと考える奈緒さん。
まぁ、2人共言ってる事は間違ってないんですが、中々、この辺の意思疎通は難しいようですね(笑)
でも、結局は奈緒さんの言い分が通ってしまい。
倉津君は干からびてしまう羽目に成ってしまった訳なのですが……
そんなシオシオのプゥに成ってる倉津君は、次回、更にどんな目に遭うのか?
それは次回の講釈っと言う事で。
また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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