938 アイツ等は狙ってない、狙ってない

 眞子と倉津君の差が何処あって、これだけの差が開いたのかについて奈緒さんに問うた所「心持の違い」っと言う事が判明。

そして奈緒さんは序に、彼氏彼女対決でも負けない様に『倉津君に崇秀に勝ってね』っと言い出す始末(笑)


***


「『がぁ!!』じゃないから。私は、絶対に眞子を完膚無きにまで泣かせてみせるから、君は、ちゃんと仲居間さんを泣かせるんだよ。良いね?これ、決定事項ね」

「いや、あの、奈緒さん……それ、本物の鬼ですよ、鬼畜生ですよ」

「じゃあなに?君は私に、妹に成った眞子に敗北しろって言うの?そりゃあないんじゃない?そんなの有り得ないんだけど」

「いや、まぁそうなんッスけども。……俺の相手、あの馬鹿大王ですよ?あんな奇妙奇天烈な生き物、どうやって俺1人で退治しろって言うんッスか?バチカンのエクソシスト全員で束になって掛かっても、多分、アイツを『封印出来るか?』『出来無いか?』の瀬戸際なんッスよ」

「ププッ……酷い表現だね。仲居間さん、幼馴染のクラにまで、マジで悪魔扱いされてるし」

「あぁ奈緒さん、それ、違うッスよ。アイツは悪魔なんて生易しくて、可愛いものじゃないッスよ。ありゃあもぉ正真正銘、煉獄の支配者にして、魔界を統べる史上最悪の魔王ですよ」

「ぷっ!!ヤッパリ魔王なんだ」


完全に魔王です。


故に、人と魔王じゃ、ファンタジーでもない限り倒せません。

下手にアイツになんか手を出したら、人類が滅亡しかねませんからね。


まぁけど、奈緒さんの言う通り、同じ音楽の道を行く者なら、前を歩かれてるのは確かに癪ではあるな。

しかも、同い年で幼馴染と来たら、更に目障りなのも間違ってないッスけどね。



「まぁけど、あれッスね。俺1人じゃ倒せなくても。いざとなったら、アイツを全員で袋叩きにしたら良いんッスよね。退治出来なくても、撃退する方法は、幾つでもある筈ですしね」

「ふふっ……そう言ってくれると思ったよ。じゃあみんなで、仲居間さんと、眞子を一緒に袋叩きにしちゃおうっか」

「いや、奈緒さん。眞子は、魔王に騙されてるだけの可哀想な奴なんで辞めてやって下さいよ。アイツは悪い奴じゃないッスよ」


眞子は辞めてやりましょうね。


アイツは女誑し魔王に騙されてるだけッス。

若しくは、洗脳されて自由を奪われて操られてるだけです。


なので、立ち位置的に言えば、アイツは可哀想な姫的な立ち位置だと思いますよ。



「ヤダ。眞子も一緒に袋叩きにする。それで姉の偉大さを体に叩き込んでやるもんね。姉より優れた妹なんて、この世には存在しちゃイケナイの」

「あの、それ……どこのジャギですか!!」


なんで此処で北斗の3男?

奈緒さんのネタに使って貰えるなんぞ、美味しすぎんぞジャギ。



「……っで、クラ。眞子の話が一段落付いたから聞くけどさぁ。結局、なんで部屋が散らかってるの?」


スッカリ忘れとった。


眞子の話に夢中になり過ぎだな。



「あぁ、それッスか。それはッスね。素直と、由佳と、伊藤と、木根が、俺のお帰り歓迎会をしようとしてくれてたんッスけどね。学校が終わった後、俺が家に直接帰らず、眞子を見に奈緒さんの家に行ったもんだから。待ってる間にテンションを上げようと思ったのか?それともヤクザの家で緊張感が高まり過ぎたのか?それで変に酒を飲んじまったんッスよ。……っで、この有様な訳なんですよ」

「あぁそうなんだ。……っで、この部屋を散らかした、当の本人達は?」

「一応は、横の部屋で気持ち良く寝息立てながら、グッスリ寝かせてますね」

「ふ~~~ん。……っでクラは、素直達のスカートを捲ったり、オッパイを揉んだりして、さっきまで悪戯をしたと」

「しませんよ!!なんで歓迎会を開いてくれ様とした奴等に、そんな嫌がらせをしなきゃいけないんッスか!!酔った女子に、そんな非道な真似をする程、俺は落ちぶれちゃいませんよ!!」


なんちゅう事を言うんッスか!!

奈緒さんが居るのに、俺が、そんなゲスな真似する訳ないでしょうに!!


……そりゃあまぁ、少しはパンツが見えたりはしましたよ。

けど、それはッスね。

男性の本能が自然をそうさえただけの事であって、故意的なものでは有りません。


基本的な部分で言えば、これは不可抗力ってもんでしょ。


それにッスね。

アイツ等は、罷り也にも、俺みたいなヤクザモドキの帰還を祝ってくれる様な良い奴等なんですよ。

そんな奴等に、そんな酷い真似はしませんつぅの!!



「けど。……私が来た時、明らかに抜こうとしてたよね」

「あぁいや、まぁ、それはそうなんッスけど……」

「だったら、少しぐらい悪戯すれば良いじゃない。案外、それを狙ってたかも知れないしね」

「いや、奈緒さん。そう言う見方は辞めましょうよ。男が持つ、女子に対する幻想が木っ端微塵に撃ち砕かれちゃいますよ」


アイツ等は狙ってない狙ってない。

アイツ等は、そう言う事を狙ってする様な奴等じゃないッスよ。

大体にして、そんな大人の女性の様な計算が出来る連中じゃないッス。


この程度の酒で酔う様な、まだまだ尻の青い餓鬼なんッスから。



「ふ~~~ん、そうなんだ。……あぁ因みにだけどさぁクラ。『清らかな乙女』って存在すると思う?」


はい?突然、なんの質問だこれ?


あぁそう言えば。

以前にも、眞子の疑似体験をしてる時に聞いた様な質問だけど。

あの時、俺は『居ます』って断言して、奈緒さんに否定された様な気がするなぁ。


まぁ……質問の意図はわかんねぇけど。

奈緒さんが、俺の解答にどう答えるか興味があるから答えてみるか。


因みになんッスがね。

今回も変わらず『100%清らかな乙女は居ますね』が俺の解答ッスよ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


崇秀の討伐は、矢張り単独では無理なので、実力者を集めて、全員で袋叩きに居するのが定石ってもんでしょうね。


それぐらいしないと、奴は倒せそうにありませんしね(笑)


さてさて、そんな中。

突然、話の流れで『清らかな乙女の存在』の話になってしまったのですが。


今の倉津君は、一体、どの様な回答をするつもりなんでしょうね?


次回は、その辺の話題を取り上げたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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