925 このフリチンカリスマ美容師!!

 崇秀が自身を好きでいてくれる事に、不安を拭い切れない眞子だったが。

崇秀が『妥協』や『責任感』で好きに成ってくれたのではない事がキッチリと判明して、漸く踏ん切りがついた眞子。


それ故に……


***


「ごめんね、崇秀。私、もぉ金輪際なにも疑ったりしないから、今日の、この事は許してね。……好きです。大好きですよ。だから、こんな馬鹿な私だけど一生貴方の傍に居させてやって下さい」

「そっか。良いぜ。……但し、そう思うなら、一方的に面倒を見るのは、お断りだ。オマエが、俺と一生連れ添いたいなら、俺なんかに依存せず。それ相応に、オマエは、オマエ自身の力で輝かせて見せろ。此処に関しては、全面的にバックアップをしてやるからよ」

「うっ、うん!!頑張るよ。……けど。崇秀は、崇秀のすべき事を、すれば良いと思うよ。私なんかに構ってる暇なんてないじゃない」

「ハァ……オマエって、本当に馬鹿なのな」

「えっ?えっ?なんで?なんで?なんでそうなるの?」

「オイオイ、マジで忘れてるのかよ?この若年性アルツハイマーは?あのなぁ眞子。俺は最初に言った筈だぞ。『オマエが、女である内は好き勝手やって良いぞ。やりたい事は、俺が全部負担してやる』ってな。……この約束すらも忘れたのかよ?」


そう言いながら崇秀は、お姫様抱っこするのを辞めて、私を鏡の前に座らせるんだけど……


その約束って……まだ有効のままで良いの?

真琴ちゃんが復活した以上、それって、破棄されるべき約束なんじゃないの?


私は崇秀の事が好きに成ってしまった時点で、向井眞子として生きる事を望んだんだからさぁ、その時点で、それって無効なんじゃないの?


今の現状じゃ、私は、初めから存在してる感じに成ってるんだし。



「いや、あの、崇秀。それは、もぉ無効でも良いと思うんですけど。……元々私は、眞子と言う存在で、崇秀の傍に居たくて、しょうがない子なんだから」

「あぁ、そう言う理屈な。じゃあ、そこは無効って事で。……けどな。結局、オマエは忘れてる。俺の性分って奴をな」


そう言いながら、髪や、体を丁寧に拭いてくれてる。


あぁそれとさぁ。

崇秀って『本当に器用だなぁ』って思ったのがね。


あのお姫様抱っこをしてた状態でも、いつの間にか、洗面所にある暖房のスィッチを入れてるんだよね。


だから2人共裸でも、さして寒くなかったんだね。


……あぁ因みにですけど。

崇秀の性分については、多分、言いそうな事だけは、予想は付いてるよ。



「あの……ひょっとしてさぁ……」

「そう言うこった。世界を動かす程度の事なら片手間で出来るが。オマエみたいな馬鹿は、付きっ切りで監視しないと不安でなんねぇ。しかも、それが自分の彼女だったらどうよ?って話だな」

「酷い……それじゃあまるで……」

「あぁ、オマエは見た目だけが良い、世界一痛い女だ。だから来年一年、オマエと同じ学校に通って、徹底的に、その甘い根性を叩き直してやる。無理矢理にでも、俺に見合う女にしてやるからありがたく思え。……そして覚悟しろ」


……はい?

君は、なにを言ってるんですか?

崇秀が、私に1年間付きっ切りって……なんでそんなに、いつも私の考えの斜め上を行くんですか?


そんなの『ダメダメダメダメ!!』に決まってるじゃない!!

私なんかの為に、1年間も無駄に使っちゃダメだよ!!


なに考えてるのよ!!



「それはダメだよ!!世界中の人が、崇秀の動向には注目してるんだよ!!そんなのダメに決まってるじゃん!!」

「オイ、今セットしてるんだから動くな。髪形が崩れる」

「いや、あの、そう言う問題じゃなくて……」

「じゃあ、どういう問題だよ?ちゃんと筋が通る様に説明してみろ。俺が納得したら辞めてやる」

「説明?説明って言っても。私なんかが、崇秀を独占しちゃイケナイって位しかわかんないよ」

「なんだそりゃあ?説明にも成ってねぇな。カスだなカス。……ってか、いちいちコッチ見んなつぅの」

「ぐぇ」


首を前に、無理矢理戻された。


ちょっと痛い。


じゃ、じゃ、じゃなくて!!そんなの無理だよ!!

話が話だけに、本能的に勝手にソッチに顔が向いちゃうんだから!!

大体にして、なに大それた事を言ってるのに、そんなに冷静に対処してるのよ!!


このフリチンカリスマ美容師!!



「もぉ痛いって!!……じゃなくて、さっきの提案は、流石にダメだよ。私達の場合は特殊な関係なんだから、お互い、別々に行動した方が良いと思うんだけど。その方が、崇秀にも迷惑が掛からないし」

「アホか、この万年単細胞。オマエは、どうしていつも、そう言う風に一方的にしか物が見えねぇんだよ」

「だって、事実そうなんだから、しょうがないじゃない」

「あのなぁ、眞子。同じ学校に通うって言っても、別に俺は仕事はしねぇとは言ってねぇだろ。んなもんは、最初から片手間だとも言った筈だが。なにを聞いてんだオマエは?」

「あり?……じゃあ、学校に行っても、今まで通り、仕事は続けるって事?」


あれれ?



「当然だ。俺は、そんなに無責任じゃねぇつぅの。仕事をしながら、オマエを徹底的に鍛え上げて、世界中に俺が自慢出来る女にする。……ただそれだけの事だろ、バカタレ」

「えぇ、でも、それってさぁ。崇秀の負担が凄いんじゃないの?」

「ホント、馬鹿だなコイツわ。あのなぁ、じゃあ、なんの為に、世界中にGUILDのスタッフを散らばらせてると思ってんだ?仕事なんざ分担すりゃ良いだけのこった。マジで頭悪いな、オマエ」

「ぷぅ。折角、気を使ってあげてるのに」


あぁ……そっか。

今の時点でも仕事が大量に増えて来てるからこそ、信用出来るGUILDの人員を増やしていってたんだったね。


なにが有ってもキッチリ対処出来る様に前以て準備を進めてた訳かぁ。


だから、お馬鹿ちゃんの私が、少しぐらい迷惑を掛けても問題無いって事かぁ。


ホント……頭良いねぇ。


……ってかさぁ。

今、崇秀は話しながら、私のパジャマの上着のボタンを、後ろから器用に付けて行ってくれてるんだけどね。


いつの間にか、上着だけじゃなく、全身パジャマに着替えさせられてるんだけど。


私、いつ、椅子から立ったっけ?

立った記憶が無いんだけどなぁ?

なんで、完全に着替えが終わってるんだろ?



なんの魔法だね……これ?


どうやったんだね?


謎だ?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

 最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


受験後から始まる高校生活の目途が立ち。

2人の行く末が、ある程度は決まったみたいなんですが……崇秀のこの様子。

なにやらまた良からぬ事を考えてる様でもありますね(笑)


まぁまぁ、元来からして崇秀は、そう言う生き物なので、そこは良いとしても。

何故、眞子は、椅子に座ったまま崇秀に髪型をセットして貰ってただけの筈なのに、パジャマに着替え終わっていたのでしょうか?


そぉ……当然、この奇妙な現象にも、崇秀の思惑があり。

それを証明する為に、こんな奇妙な現象を起こしたみたいです。


さてさて、それは如何なる理由なのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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