923 怖がり眞子

 一緒に風呂に入り、今の自分の姿を崇秀にすべて晒す眞子。

だが、その行為に違和感を感じた崇秀は、眞子に『なんでこんな無茶をした?』っと言う言葉を掛け……


***


 ヤッパリ、私の本心が気付かれちゃってたかぁ。


風呂がアロマに香りに成ってるんじゃないか?とか、なんだとかは言ってたけど。

私が、崇秀の本心が知りたくて、一緒に風呂に入って行った事に気付かれちゃったみたいだね。


(´Д`)ハァ…所詮、私なんかじゃ、崇秀に隠し事なんか出来る訳が無い。


此処でも、全てお見通しの様だ。



「はぁ……、読まれ捲くりかぁ」

「当たり前だ。オマエの考えてる事なんか手に取る様に解るよ。……ただな、正確な意図だけがわからねぇ。なんの為だ?」

「そっか。その意図までは解らないかぁ」

「あぁ少し解らないな。俺は以前から、オマエの事を眞子だとしか思っちゃいねぇ。……そりゃあよぉ。話の都合上で、倉津を引っ張り出した事は何度か有ったが、それ以外は徹してきたつもりだ。なのに、なんで今更、こんな真似をする必要が有るんだ?」


……だよね。

私だって、そんな事は重々承知してるよ。


でもね、幾ら崇秀が、そうやって私に接してくれてても、どうやっても割り切れ無い部分って物が有るんだよ。

私に合わせてくれてるって言うのも、考えを変えたら、崇秀の本心じゃないって見方だってある。


此処までズッと私に合わせてくれてる崇秀に、こんな事を思う事自体失礼なのかもしれないけど。


私は……崇秀が思ってる以上に弱い子なんですよ。



「……うん、正直言うとね。まずは、今の私の全てを見ても、崇秀が今まで通り付き合ってくれるのかが知りたかったから、こうしたの」

「なるほどなぁ」

「本当は、こう言う事を言っちゃいけないんだけど。口ではなんとでも言えるじゃない。だから、崇秀の本音を知りたかったのよ」

「そう言う事な。けど、そんなもん、なにも変わらねぇよ。オマエと俺の関係で、なにか変わる必要性なんて何所にもねぇだろうに」


即答かぁ。


実に、崇秀らしい回答なんだけどさぁ。

でも、私が言いたいのは、そこじゃないんだよね。



「そうだろうね。でもさぁ、それって割り切ってるからだけなんじゃないの?本当にさぁ。崇秀は私の事を認めてるの?疑う訳じゃないけど、私は、もぉ倉津真琴とは別物の人間だよ。本当に、そう言う認識で居てくれてるの?」

「ふぅ……そりゃあな。俺が幾ら頭がイカれてるとは言え、それは決して100%じゃねぇよ。何所かでオマエが倉津真琴であった事実を忘れられずに居るのも現実だろうな。それは例え、オマエ以外の倉津真琴が、この世に存在しようとも、此処の最終ラインだけは消えてねぇのかも知れねぇしな」


こうやって、なに1つ隠さずに正直に言ってくれるのが、一番嬉しい。

変に体裁を気にした様な言い方をされるのが、実際は一番傷付くんだよね。


やっぱり、崇秀は良いよ。


……最高だよ。



「……だよね。解るよ。人間なんだから。そうなって当たり前だと思う」

「悪ぃな。向井さんには偉そうな事を言ったけどな。実際は、そんなもんなんだよな」

「うぅん、それは良いんだよ。そこは良いんだよ。それぐらいは覚悟してたから。……でもね。そう思われてるって事は、私は、崇秀にとってなんなのかなぁ?やっぱり、最後まで倉津真琴でしかないの?」

「ふぅ……難しい問題だな。勿論、認識上では、オマエの事を『ほぼ』向井眞子だとは認識しているのは間違いない。これは思い込みとかじゃなくて、俺なりに真正面からオマエを見ての判断だ。けど、オマエにとって、それが負担になるって言うなら『ほぼ』じゃなくて『完璧』にしなきゃならない。これもある意味、現実なんだろうな」

「うっ、うん」

「……ただな、此処で1つ聞きたいんだが。オマエは、それを本気で望んでいるのか?そこだけが、どうかが解んねぇんだよ。そこさえ解れば、本気でオマエを向井眞子として扱う事は可能だと思うぞ」


そっか……崇秀が完全に割り切らなかった理由は、その為だったんだね。

私自身が何所かで『以前の関係』+『眞子としての関係』を望んでいるかも知れないと思ってくれてたんだ。


現実的にも、さっき私が、それを望んでいた面も臭わせちゃってたしね。


そっか……


でも……いつまでも、それじゃいけないんだ。

そうやって両方を欲するからこそ、私が眞子に成り切れないし、崇秀もそれを考慮してしまう。


結局は私自身が原因に成って、崇秀に、私が眞子だと思い切れて貰えなかったんだね。



「崇秀。私は、もぉ以前の様な関係を望んでる訳じゃないよ。今の私は、私を1人の女性として、ちゃんと見て欲しいから。当然、友達なのは、なにも変わらないけど。彼女としても、ちゃんと見て欲しい。もぉ今後は、こう言うアヤフヤな関係は良くないと思うしね」

「そっか。じゃあ、俺は金輪際、オマエの中に倉津真琴は見い出さない。オマエは、俺の女であって、向井眞子以外の何者でもない。……それで良いか?」

「あっ、うん♪出来る?」

「オイオイ、そんな程度の事を出来なくて、どうするよ?俺は、オマエの望む事なら、なんでもしてやるって言っただろ。公言通り、俺の全ては、全部オマエにくれてやる」


嬉しい……


……そう思える反面。

この言葉って、責任感から来てて、無理してるだけじゃないのかなぁ。

私が意味不明のまま、こんな体に成ったから、崇秀が全面的に責任を取ろうとしてるだけなんじゃないのかなぁ?


これだけの言葉を言って貰ってるにも拘らず、私からはそんな不安が沸き上がって来る。


……なんて私は情けないんだ。



「……ありがとう……でもさぁ。崇秀は、本当に、それで良いの?……私、元男だよ。それに倉津真琴だったんだよ。そんなんで良いの?気持ち悪くないの?……」

「ハァ……いつまで、さっきから同じ様な事ばっかり言ってんだオマエわ?もういい加減にしろよ。俺は、そんな風に見ねぇつってんだろが。しかも、今言った所だぞ」


そう言うと同時に崇秀は、私の乳首を思い切り摘んだ。


しかも、力一杯摘んでる……



「へっ?ちょ!!痛い!!痛いよぉ!!なになに?」

「じゃあ、逆に聞くがなぁ。なんでオマエ、こんな体してるんだよ?オマエの、この膨らんだ胸は、なんの為に付いてんだ?」

「痛いってば、辞めてよ。……あっあっあぁ~~」


今度は、誰も触れた事の無い私のアソコに、崇秀の指が侵入してきた。


ヤダよぉ……アソコをコネ繰り回されて、なんか訳の解らない快感だけが襲ってくるよぉ。

おトイレ以外で、自分でも触った事が無いから、こんな事をされたら訳がわからなくなっちゃうよぉ。



「それに、この穴はなんだ?テメェが元男だったとしてもなぁ。もぉテメェは立派な女でしかねぇんだよ。そんな無駄にエロイ体して、なにが気持ち悪いだ。何所が気持ち悪いって言ってんだ?馬鹿かテメェは?いつまでも、ツマンネェ事バッカリのたまわってんじゃねぇぞ。オマエは、そんなに俺が信じられないのかよ」

「ごっ、ごっ、ごっ、ごめん……ごめんなさい。もぉ言いませんからヤメテ下さい。あっ……んくっ!!」

「誰が辞めるかよボケ。いつまでも、上辺ばっかり女に成ったつもりでいてんじゃねぇよ。良い機会だから、テメェには、体の芯まで自分が女だって事を教え込んでやる。この間抜け」

「ヤダ、ヤダ、こんなのヤダ。……やるんならちゃんとしてよ。こんな所で、こんなの嫌だよぉ。あぁ~~~あん……んぐっ……あぁあっああっあっあっ……」

「黙れな」


今度は口を塞がれた。


なにも言えないし、頭もちゃんと回転してくれない……


なに、この快感……


無茶苦茶にされてるのに……崇秀が愛おしくて仕方が無い。



「んん~~~んっんんんんっんん~~~……はぁはぁはぁはぁ……崇秀……もぉやめて……お願いです……お願いします」

「なんだよ?どうしたんだよ倉津真琴?」

「へっ?」

「なんだよオマエ、気持ち悪いな、倉津真琴。やけに気持ち良さそうにしてんじゃねぇかよ?男に触られて、なに善がってんだ倉津真琴?マジで気持ち悪いな。オマエって」


いやだぁ。

そんな事を言わないで。


真琴じゃない……私は、真琴ちゃんなんかじゃない。


違う、違うよ。

こんなに崇秀の事を愛おしく感じてる私が、真琴ちゃんな筈がない……


ごめんなさい、ごめんなさい。

もぉ二度とそんな馬鹿な事は口にしないから、そんな事は言わないで……



「あぁ~~、嫌、嫌!!そんな事を言わないで…下さい。…ごめんなさい。あくっ、んくっ」

「はぁ?辞める訳ねぇだろ。但しだ。オマエが向井眞子だって言うなら、これは正しい反応だ。……オマエは誰だ?オマエは何者だ?自分の口で、ちゃんと言ってみろ」

「はぁはぁはぁはぁ……あっ、あ~~ん、眞子です。ハァハァ、んっんっ、あんっ、くっ、私は、元男じゃないです。私は……私は生まれた時から眞子れす。崇秀の事だけが大好きな女れす」

「そっか。だったら、そのままイッちまいな」

「やぁらぁ……やぁらぁ!!見らいれ!!見らいれ崇秀!!……こんな私を見ないで……はぁはぁ、あぁ~~~~ん、あっああっあぁあぁ~~」


なにも解らない……


なにこれ……


こんな痴態を晒した事により、恥ずかしくて、涙がぽろぽろ出てるのだけは解るけど、もぉそれ以外は……頭がぽぉ~~~っとしてなにも解んない。

それに……体を動かそうとしても、ピクピクするだけだ。


これが、本当の女の感覚なんだ……


そんな風に私の体を、例え様の無い快感だけが通り過ぎていく。



「ひゃ!!」


そんな私を見ながら崇秀は、一旦、自分が先に湯船から上がり。

その後、軽々と私をお姫様抱っこして、無言のまま洗面所に連れて行かれた。


そこで、初めて口を開いてくれた。


なに?

もぉ苛めないで下さい……お願いだよ崇秀。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

 最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


眞子本人は、本気で崇秀を疑っている訳ではないのですが。

どうしてもこびり付いて離れてくれない『元男だったという自覚』


まぁ実際、これを拭い去る事なんて出来ないでしょうから。

真正面から見ようとしている崇秀にさえ、こんな禁句とも言える様なダメな質問を繰り返してしまっている様なのですが。

事実だけを追及するのであれば、眞子自身が崇秀の事を本気で好きに成ってしまっているからこそ、この元男だったという思いを必死に消そうとしての所業なのかもしれませんね。


さてさて、そんな中。

自分自身が女性でしかない事を、崇秀によって思いっ切り認識させられた眞子なのですが、そんな眞子に対して崇秀が、なにやら言葉を掛けてくれる様です。


それは一体、どの様な言葉なのか?


次回はその辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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