921 実は女性脳が上手く働いてる眞子

 眞子の家にお泊りする事に成った崇秀。

そして、2人でのんびりしながらも、風呂の準備が出来たので、眞子が崇秀にそれを伝えたら……


***


「あぁそうだ、そうだ。それより崇秀、風呂沸いたよ。序に、着替えも新品の物を置いておいたから、それ使ってくれれば良いから」

「おっ。なんだよ、やけに用意周到だな」

「そりゃあね。いつ何時、なにが起こるか解らないから、準備だけはね」

「なるほど、そう言う事な。……だったらオマエさぁ。今なら向井さんが去年のクリスマスに、クリスマス・パーティの準備をしてた理由がわかんじゃねぇの?……それが典型的な女性脳って奴だからな」


あっ……本当だ。

知らず知らずの内に、そう言う事をやってしまってますね。


でも、今なら、本当に奈緒ネェの気持ちが良く解るよ。

なにがあっても彼氏には、いっぱい喜んで欲しいもんね♪



「あらら、本当だね。自分じゃ気付かない内に、こう言う事って、女性だと自然にやっちゃうもんなんだね」

「そういうこったな。……けど、サンキュウな」

「わわわ……」


頭を撫でられて、くしゃくしゃされた。


あぁ……でも、良いね、これ。

特に褒められるのが大好きな私にとっては、大好物かも知れない。


もっと、眞子を褒めて、褒めて♪

まぁ、綺麗にセットしてある髪形は崩れるちゃうけど、崇秀なら全然OKだよね。

だってさぁ、頭を撫でた後、サッと前よりも綺麗にセットしてくれるんだよ。


ホント、美容師、侮りがたしですよ。


因みに他の男性が、私の髪に触ろうものなら……思いっ切りぶっ飛ばします。

私の髪に触れて良い男性は、世界で崇秀、ただ1人だけですからね。


だから崇秀は、もっと眞子をなでなでしておくれ♪



「もぉヤメテよね。折角、綺麗に整えてた髪形が崩れるじゃん」

「あぁ悪ぃ悪ぃ、ついな」


あのさぁ、崇秀さん。

髪の毛をなでなでしてくれるのは良いんだけどね。

そう言う子供みたいな無邪気な顔で笑うの止めてくれませんかね。


もぉそれだけで、心臓が爆発しそうなぐらい超ドキドキしちゃうんだからさ。


……ってかさぁ、女性脳って、本当に色々面倒臭いよね。

なんでイチイチ、こんな事位で過敏に反応するんだろうね。

こんなに毎回毎回ドキドキ・ドキドキしてたら、動悸、息切れ、眩暈で死んじゃうぞ。


死なない保険の為にも、後で薬局に行って来て『救心』買って来ようかな?



「女誑しめ。私は、男の気持ちも解るから、その程度じゃ全然ドキドキしないんだからね。レベル低いんじゃない?」

「んあ?別に狙ってやった訳じゃないんだけどな。マジで嬉しかったからなだけなんだがな」


いやもぉ、貴方は私を殺す気ですか?


そんな事を言われたら……私の方が嬉しいですよ。


もぉ、崇秀、可愛過ぎだよ……。


にしても恐るべし、天然女誑しの仲居間家の血筋。

その女性の敵な血脈は、脈々と受け継がれてやんの。


でも、もぉそれは、眞子の為にだけ存在するものだから、もっと発揮してくれていいんだよ♪



「ふっ、ふ~~~ん。そうなんだ。じゃあ、素直に喜んで貰えて良かったよ」

「まぁ、パジャマを選んだのがオマエのセンスだから、あんま期待はしねぇけどな」

「うっさいよ。余計な事を言わずに、さっさと風呂行け、ボケ」

「だな。じゃあ、風呂借りるな」

「うんうん。ゆっくり浸かって、出来るだけ疲労を取って来るんだよ」

「母親かオマエは」

「全く世話の掛かる子だよ」

「オマエが言うな」

「……だね」


『馬鹿な子ほど可愛い』って、言うから、此処も大丈夫。

寧ろ、世話の掛からない私なんか……なにって感じじゃない?


……嘘です。

出来るだけ、お世話にならない様に頑張ります。


***


 ……っで、崇秀は、私の頭を優しく『ポンポン』って叩いてから、そのまま風呂に行った。


そんな他愛も無い事にさえ照れてしまう。


ほんと、もぉ、なんじゃね、これは?


……とか言いながらですね。

崇秀が風呂場に入った事を確認してから、洗面所に入って声を掛ける。


だって、少しの時間でも離れたくないんだもん。



「崇秀」

「んあ?どうした?」

「今日、着てた服、洗濯して良い?ウチ、乾燥機あるから、直ぐに乾くよ」


フフフッ……乾燥機は、ウチの家が誇る最新兵器なんですよ。


まぁそうは言っても、乾燥機なんて高い物を買う余裕なんて、ウチには微塵も有りませんけどね。

これ、実はね、飯綱ちゃんが、何所からとも無く『眞子~~~戦利品やで』っとか言って持って来た中古品なのよ。

多分、賭けバスケで勝った時に、相手が賭け金を支払えずにいたから、飯綱ちゃんが強奪して来た戦利品だと思われる。



「あぁ、別に、どっちでも良いぞ。朝方、家に帰ってから着替えたら済む話だからな」

「あぁそぉ?じゃあ序だから洗って置いて上げるね。帰る時も綺麗な服の方が気持ち良いでしょ」

「まぁなぁ。じゃあ、頼むわ」

「はいは~い」


はぁ~~~、もぉ幸せだねぇ。


なんかさぁ。

やっと、これで彼氏彼女の関係に成って来た様な気がする。


こういうのってさぁ、男の時は、只管面倒臭いだけだったけど、女だと楽しいもんだね。


ははっ……変なの。


……っと、思いながら。

几帳面にピッチリ畳まれた崇秀の洗濯物を手にとったら『ふわ~~』っと凄く良い匂いがするんだよね。


男性特有の、あの男臭い感じの臭いが、どこからも一切しない。


凄く爽やかな良い匂いだね。


でも……これって、奈緒ネェと良く似た匂いなんだけどさぁ。

崇秀の体臭って、男性なのに、どうなってるんだろうね?


凄い良い匂いですよ。

いや、もぉ、既に『香り』の域ですね。


アロマですよ、アロマ。


なんて思いながら、ちょっと間、匂いに浸ってしまう自分がいる。

ダメだ、ダメだと思いながらも、密かに、何度も匂いを嗅いでしまう。


私って……男の時同様に匂いフェチのまま?


そんな良い匂いがする服を堪能してしまったダメな私は、お名残惜しみながらも、洗濯機の中に、丁寧に崇秀の服を入れていく。


うぅ~~~、なんか洗濯するのが勿体無い様な気がするなぁ。


あぁ……でもこれさぁ。

服に、これだけ良い香りが染み付いてるって事はだね。

崇秀の体からも、この香りが発散されてるって言う理屈だよね。


って事はだよ。

今、風呂場の中って、凄く良い香りが充満してるんじゃないのかな?


こっ、これって、きっ、気になるよね。



「ねぇ……崇秀」

「んあ?今度はなんだ?」

「良かったら、背中……流して上げようか?」

「……オマエなぁ。一応、自分が女だってのを自覚してるなら、そう言う事を易々と言うなよな」

「まぁ、そうなんだけどさぁ。別にさぁ。崇秀とは、何回も風呂に入ってる仲じゃない。そう言うの今更じゃない?」

「今と、昔じゃ、形が違うだろボケ」


ぶぅ!!同じじゃん!!

ちょっと真琴から、眞子に成っただけじゃない。

オッパイが膨らんだぐらいの違いが、なんだって言うのさぁ!!

アソコが無くたって気にする程の事じゃないじゃないよぉ!!


顔が女だからってさぁ、私は、私じゃん。


いつも遊んだ後に、一緒に銭湯に行って風呂に入ってた私と、なんら変わりはないと思うんだけどなぁ……


……だからさぁ。

試しに、昔みたいに一緒に風呂入ろうよ。


裸の付き合いって奴でさぁ。



「そんなの知らな~~~い。だってさぁ。私の記憶じゃ、崇秀とは、よく一緒に風呂に入ってた記憶しかないんだも~~~ん。そんな事を言われても解んないも~~~ん」

「オマエねぇ」

「……って言うかさぁ。見たくない?成長した私の裸?女子中学生とは思えない程のプロポーションだし、肌もピチピチですよ」

「はぁ……もぉコイツだけは。あっそ。じゃあ、勝手に入って来れば」

「あぁうん。じゃあ、直ぐに入るね。ちょっと待っててね。上がっちゃダメだよ」

「即答かよ!!」

「だってぇ、一緒に入りたいんだから、即答に決まってんじゃん」


だって、だってさぁ。

いずれ見て貰えるなら、綺麗な内に見て置いて欲しいじゃん。


それに、今の状態の、なにも隠さない裸を全部見られたらさぁ。

そのベストな体型を維持しようと、これからも必至に頑張れるじゃん。


……って言うか、本当、久しぶりに一緒に入りたいだけなんですよ。


だから決して、エロイ意味じゃないんだよ。



序に、崇秀の中での、私の本当の価値を知りたいし……


実は、これが一番の本音だったりして。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

 最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


なにやら彼氏の洗濯物を洗う事さえも楽しく感じてしまう様になってしまっている眞子。

だが、眞子の匂いフェチは、倉津君から見事に引き継がれてしまい、全く治っていないようですね(笑)


さてさて、そんな事がありながらも。

この後、眞子は大胆にも崇秀の背中を流しに行くつもりの様なのですが……


果たして、彼女が最期に言った『崇秀にとっての、自分の価値を知りたい』っと言うのは、一体、なんなのか?


その真相を次回は書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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