916 男女による脳のメカニズムの違い

 体の変化に伴って起こった自身の思考の変化に違和感を感じる眞子。

それを崇秀に尋ねてみた所、返って来た答えは『脳梁の違い』だと言う。


果たして、この脳梁と言う器官は、精神面にどの様な影響を及ぼすものなのか?


***


「『脳梁』って、確か。右脳と左脳を繋ぐ器官の事だよね。それが違うと、そんなになに思考が変わってくるもんなの?」

「オイオイ『脳梁』知ってて、内容知らないってオマエ……それ、どんな偏った知識だよ」

「あぁ、ごめん。調べてる途中でね。ライブの本番が始まっちゃったから、そのままになってた」

「なるほど。……そりゃあまた、凄い天然を起こしたもんだな」

「……だよね」


あぁ~~~あっ、あの時、ちゃんと調べときゃ良かったぁ~~!!

だって、これってさぁ、答えが身近にあったかも知れないのに、それをわざわざ見過ごしてたのと同じって事でしょ。


これぞまさしく、横着が招いた結果……最悪だよ。


まぁただ、例えその時点で読んでたとしても、私が、その内容を把握出来たかどうかは定かじゃないけどね。



「まぁ良いや。右脳と、左脳を繋ぐ器官だと解ってるなら、特に問題はねぇ」

「そうなの?」

「あぁ、問題無い。……じゃあ此処で、恒例の質問なんだが。その左右の両脳を繋げる器官が、女性脳の方が大きいと言う事は、どういう事だかわかるか?」

「えぇっと。理屈的に考えたら、両脳に情報としての信号が行き渡りやすくなる状態って事じゃないの?……これじゃあ単純過ぎる?」

「いいや。悪くない答えだ。じゃあ、それに対する弊害は?」

「うぅ~~~ん。そうだねぇ。脳全体が『脳梁』で信号を行き来し易い状態なんだから、女性の方が、物事の捉え方が広範囲には成るけど、逆に言えば、思考が混乱し易くなるって感じじゃないかなぁ」

「正解だ。良いか、眞子?女性の脳ってのは、解り易く言うと。脳全体でモノを見ながら、感性で物を捉える習性が有るんだよ。それに対して男の脳ってのは、左脳を重点的に使い、一点だけに集中して理論付けてモノを捉えたがる。……早い話。多くの女性は理屈じゃなくて、比較的、感性や、感覚で生きてる可能性が高いって事だ」


ふむふむ。



「えぇっと、それが?」

「まぁそれがだな。体の変化と共に、オマエの脳に起こってるとしたら、どう考える?」

「えぇっとねぇ。……崇秀の見方が、少しづつ変わるのかなぁ」

「そういうこったな。少し理論付けて話をするならな。こう言う理屈が有るんだよ」

「どういうの?」

「これは例え話になるんだがな。今まで、男として当たり前に受け止められてた筈の行為が、女性脳じゃ、そうは理解しないって話なんだよ」

「えぇっと、それって、どう言う解釈?」

「まぁ言わばな。男性脳であった時のオマエにとっての当たり前が当たり前じゃなくなって。女性脳では『親切にして貰ってる』だとか『優しくされてる』とか、比較的、そう言った思考に偏っちまうんだよ。そんでオマエは、女である事を自覚しちまってたから。慣れない思考に、少しそう言う勘違いを起して、俺に惚れた。……メカニズムとしては、たったそれだけのこった」

「あぁ……そうなんだ」


なんか真相を知っちゃったら、凄くガッカリだなぁ。

それじゃあ、ただの恋愛好きの馬鹿な女の子となにも変わらないじゃん。


別に、自分を高く評価する訳じゃないけどさぁ。

もぉ少しぐらい賢い子だと思ってたのに……思考だけでみたら、普通の女の子と全く変わらないんだね。


(;´д`)トホホ……



「まぁ、もっと解り易い例えをするならだな。オマエがさぁ。初めての生理が始まって、1人で困ってた時、俺が此処の家に来たのを憶えてるか?」

「あぁ、うん、勿論♪忙しいのに来てくれたよね。あの時は、凄く感動したよ」

「じゃあ、それを逆手にとって考えてみろよ」

「えぇっと、どういう事?」

「以前の倉津真琴だったらな。なにか自分に都合の悪い事があって、俺が駆け付けたとしても、違う意味でしか感動はしなかったんじゃねぇか?基本的な部分で『助かったぁ』がメインの思考で、事が過ぎれば、直ぐに忘れちまってたんじゃねぇか?」

「グッ……あっあぁ、はい。恥ずかしながら、そうですね」

「けど、眞子の場合は違っただろ。いつまでも『大切にされてる感』が残留して、俺と逢う度に、それが蓄積されていったんじゃねぇか?」

「あぁ、うんうん。特に、病院に行った時、完全に私を眞子扱いしてくれた時は、自分を全部肯定された気分だったから、更に、蓄積されてたかも」


ホントに嬉しかった。

一番長い付き合いで、大大大の親友である崇秀が、変な目で私を見ないどころか。

まるで私を、昔からの付き合いがある女性の様に扱ってくれたのには『感動』なんてチープな言葉じゃ表せない位、嬉しかった。


私の中では、そこまでしてくれるとは思わなかったから、あれは奇跡に等しい行為だったからね。



「だろうな。……それが、感覚でモノを捉え易い『女性脳』って奴だ。男にとっちゃあ当たり前の事でも、女性は、違う側面で感覚的に物事を捉える。それが蓄積されて行く事によって、脳が勘違いを起し。俺の事を好きだと思い込んじまった。まぁ要するにだ。これが、比較的女性が恋愛をしやすい理由だな」

「あぁ……うぅ~~ん。でも、なんか、これ、嫌だなぁ。これでもさぁ、私は、本当に崇秀の事が好きなんだよ。でも、今の説明じゃ、この感情は贋物の感情って事になっちゃうんだもんね。本当に勘違いなのかなぁ?」

「さぁなぁ。そこまでは俺も、オマエじゃないし、女じゃないから理解は出来無いな。所詮これは、理詰めの話だからな」

「そうだよね。でも、なんか、ヤッパリ納得出来無いなぁ」

「そっか……そうやって、気持ちの整理が付かないなら、別れても良いぞ」


えっ?


そんなのヤダよぉ……


例え、その時が勘違いだったとしても、今の私は、本当の本当に、崇秀の事が好きなんだもん。


だから、別れるなんて言わないで。

ズッと眞子の傍に居て下さい。



「あっ、あの、嫌だよ。絶対に嫌だよ。急に別れ話なんかしないでよ。……この感情は、絶対に勘違いじゃないから。仮に、その時点で勘違いだったとしても、今は凄く好きだから。お願いだよ。捨てないで……。崇秀が居なくなったら、私、生きていけないよぉ……」

「ふむ。じゃあ、別れねぇ。俺は、オマエと付き合うのが、嫌な訳じゃないからな」

「ホント……要らなくない?……気持ち悪くない?……それに私、凄い馬鹿だよ」

「まぁ馬鹿だな」

「そっ、そうだね。でも、一杯勉強するからさぁ。少しづつでも馬鹿じゃなくなる様にするから。……ずっと一緒に居て欲しいです」

「あぁ良いぞ。オマエが望むなら叶えてやる。それにな。別に馬鹿でも良いんだよ。オマエが、自分の為に努力さえ止めなけば、オマエの事は見続けてやる。但し、それが俺の彼女で居る条件だ。OKか?」


あぁ……うん!!

そんな事ぐらいで良いなら、一杯頑張るね!!


こうやってね。

一生一緒に楽しく居られるなら、もっともっと崇秀に見合う女に成ってみせるよ。

誰もが振り返る様な地上最高の女に成ってやるだからね。

それでこそ、崇秀の彼女の立場で居る価値が有るってもんだもんね。


やるよ!!

今まで以上に、滅茶苦茶頑張っちゃうもんね♪



「うっ、うん!!あっ、あのね。私ね。崇秀に負けないぐらい、全身全霊を賭けてでも、それをやってみせるよ!!崇秀がね。余所見出来無いぐらい良い女に成ってあげるもんね!!」

「ハハッ、なんだよ、急に元気になりやがってよぉ。まぁ期待せずに見守ってやらぁ」

「うん、見ててね♪」


あぁ……


もぉダメだ……


崇秀は本当に優し過ぎるよぉ……


こう感じる事自体が、女性脳が上手く機能してるって証拠なんですね……


・・・・・・


……あぁ、そう言えばさぁ。

今の脳の話で思い出したんだけど。

アメリカで昏睡して入院してた時、脳の記憶媒体である『海馬』と話をするって言う奇妙な現象があったよね。


まぁ、あれ自体は、昏睡状態の時に見た『夢』だって事ぐらいは解ってるんだけど。

あの時さぁ、あのインテリぶった私の海馬が、何点か奇妙な事を言ってたよね。

『私の正体がXX眞子』だとか『崇秀が、故意的に私を女に変えた』とか『世界征服する』だとか『素粒子』が、ナンダカンダとややこしい事を言ってたよね。


あれって、なんだったんだろうね?


今、丁度、そう言う脳の話をしてる処だから、モノの序で、ちょっとだけ聞いてみようかな?

今の私なんかじゃ、あれらの事象は、全く持って理解不能のままだからね。


それに以前からズッと気になってた部分だし、此処は1つ崇秀の優秀な頭脳を拝借してみよ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


男女の思考の違いから、相手の異性に対して『異星人の様に感じる』事があると思うのですが。

これらの思考の違いによるトラブルの原因と言うのは、医学的にも科学的にも【脳梁】にあるのではないかと言われてるんですね。


まぁ100%、この理論が立証されている訳ではないんですが。

矢張り、多くの研究者達が、そこを指摘しているので。

恐らくは、この脳梁が、思考の違いに何らかの影響がある事だけは間違いないと思いますです♪


さてさて、そんな少々ややこしい話が続いてしまっているのですが。

どうやら眞子は、この脳の話題が上がった序に、以前昏睡していた時に体感した『妙な記憶』の謎も崇秀に聞こうとしてる感じですね。


ただ……あの話って、崇秀に聞いて大丈夫なもんなんですかね?


そんな疑問を残しつつも、次回はその辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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