915 崇秀の前だと悩みがモロに出ちゃいました

 倉津君と崇秀の関係を、客観的に見ていた眞子。

そこには、今の自分には、もぉ入る隙間もない位の【友情】があった。

それを目の当たりにして『なんで自分は、そこに入れなくなってしまったんだろう?』っと悩みだしてしまう。


***


「オイ、コラ、なにを凹んでるんだオマエは?辛気臭い面してんじゃねぇぞ」


……って思ってた矢先。

早速、それらの思惑が全部表情に出ちゃってるみたいで、そこを崇秀にイキナリ指摘されてしまう始末。


情け無いなぁ。

なんでこう、崇秀の前だと、こうやって直ぐに表情に出ちゃうんだろう?


普段なら、こうは簡単に表情には出ないんだけどなぁ。



「あぁ、ごめん。なんでもないよ。なんでも」

「ハァ……あのなぁ眞子」

「うん?」

「俺は、元来、面倒が嫌いなのは知ってるよな?」

「うっ、うん」

「だったら、なんか言いたい事があるならハッキリ言え、ハッキリっと」

「あぁ、うん……でも、大丈夫。なんでもないよ。なんでも」


ダメだねぇ……言いたい事は、心の中で明確なまでに決まってるんだけど、頭の中での整理が上手く付かず、言葉が綺麗に纏まってくれないや。


こう言うのって、なんて聞けば良いんだろう?



「なんだよ?意外と俺も信用がねぇだな。なんか、そんな自分にガッカリだな」

「へっ?ちっ、違うよ!!違う違う!!そんなの全然違うよ!!崇秀の事は、世界で誰よりも信用してるよ!!№1だよ№1!!」

「そっか。じゃあOKだ。オマエが、それをさし置いてでも、今、言えない事なら、敢えては聞かねぇ。聞く必要もねぇからな」

「……良いの?」

「そりゃあそうだろ。大体なぁ。誰にだって、言いたくねぇ事の1つや2つはあるもんだ。なら、そんなもんを強制してまで聞く必要性なんてねぇじゃねぇの」


実は……隠し事にする程の、そんな大層な話じゃないんだけどね。

ただ単に、なんで元男の私が、元同性の崇秀に此処まで惹かれてるのかが知りたいだけなんだけど。


でも質問するにしても、なんとも内容として微妙過ぎて、会話として成立し難いだけの話なんだよね。


だってさぁ。

これ自体が崇秀に聞く様な質問じゃなく、根本的な部分で自分の心の問題だもんね。


それを『誰かに答えろ』って言うのは、あまりにも無茶な話。

幾ら崇秀とは言え、流石にこれは無理な話でしょうしね。



「なんか、ごめんね」

「まぁそう気にすんなって。……因みにだがオマエ。まさか、倉津と俺の関係を目の当たりにして、変に心が揺らいでるんじゃねぇだろうな?」


ぐっ……



「ハァ~~~、もぉ、丸々ビンゴだよ。……なんで、そう簡単に解っちゃうかなぁ」

「どうせ、んなこったろうと思ったよ。けどなぁ。その程度の事なら、普通、現状把握だけで解っちまうぞ。それに対する説明も難しくはねぇな」


だよねぇ~~~。


崇秀の違う意味での空間認識能力、及び読心術の高さを考えたら、それぐらい、お茶の子再々で解っちゃっても当然だよね。


寧ろ、解らないと思ってた私の方が、どうかしてたね。



「ですよね。……でもさぁ、そうは言うけどさ。今の私と、真琴ちゃんが同一人物だったなんて、とても思えないよね。なんかさぁ、全然違う生き物に成っちゃってるじゃん」

「ハハッ、なるほどなぁ。そこか。そこがオマエのまどろんでる部分か」

「へっ?なにが?」

「『なにが?』じゃねぇつぅの。オマエって、ホント自分の事がなんもわかってねぇな。その意見が出る事自体が、自分を分析出来てねぇ証拠だぞ」

「だっ、だから、なにが?」


分析?


いや、あの、私なりに自分を分析した結果……非常に悩んでるんですけど。



「あのなぁ、眞子」

「あぁ、はい」

「……オマエ。今現在、自分の体の全てが、既に、女性細胞でのみ構成されてるのは、流石に理解してるよなぁ?まずは此処を理解してないと、今のオマエの悩みは解消しねぇからな」

「あぁ、うん。それぐらいなら自分でも解ってるよ。でもさぁ。女の体で構成されてるからって、思考まで女に成っちゃうのは、ちょっと変じゃない?私さぁ、なんで元男のクセに、崇秀の事を、こんなに好きに成っちゃったんだろうね?しかも、見知らぬ人ならまだしも、幼馴染で男友達だった人をだよ。なんか訳わかんなくない?」


……結局、包み隠さずストレートに言っちゃったよ。


こうやって直ぐに甘えるから、ダメなのは解ってるのになぁ。

なんでこう崇秀の前ではポロポロ、ポロポロと本音が零れ出ちゃうのかなぁ?


私の悩みは、鹿の糞かつぅの……



「全然。それなら、ある程度なら明確な答えが有るしな」

「ホントぉ?これって、私の頭が変なだけじゃないの?」

「全然変じゃねぇぞ。……まぁ、それ以前の問題としてオマエさぁ。男の脳と、女の脳の違いって解ってるか?」

「うん?脳?脳って脳味噌の事?」

「あぁそうだ。そのオマエの頭の中に入ってる脳味噌の事だ」


ふ~~む。

まぁ敢えて、男女の脳味噌の違いと言われて、まず思い付くのは……脳味噌のグラムの違いかなぁ?

一般的には、一番明確な男女に脳の違いを指し示す部分は、そこなんだよね。


例えばね。


生まれたての赤ちゃんの時は、男女共に脳味噌の大きさって言うのは、そんなに変わらないんだけど。

成長期を迎え、体がドンドン大人になるに連れて、男性は1400~1500グラム程度の大きさの脳になる。

それに対して、女性は1200~1250グラム程度にしかならない。

此処に+α女性の脳味噌って言うのは、体同様に、やや丸みを帯びてくるらしいのね。


けどね、今、言った女性の脳の丸みの話は別としても。

脳の大きさって言うのは、質量や、大きさとの間に知能の高さの因果関係は全くなく、基本的な部分で『大きさ=頭の良さ』には繋がらないんだよね。


……それの話かなぁ?



「あぁじゃあ、例えばだけど。脳味噌本体の大きさとか、重さの話?」

「……あぁまぁ、そこも確かに明確な違いと言えば違いだな。けど、もっと明確に違う物が有るだろうよ」

「じゃあ、周期性かなぁ。ほらほら、女って生理があるから、脳が一定のホルモン分泌を行なう為に、一般的に女性は脳に周期性を持ってるって言われてるじゃない。私も、ほら、元男とは言え、一応、生理とかが、ちゃんと周期的にあるから、多分、その周期は持ってると思うよ。……その違いの事とか?」


これね。

実は、脳と、女体化の関連性があるかも知れないと思って、脳については少しだけ調べた事があるんだよね。


だから、ちょっことだけ詳しい事も知ってるのよ。


……って言うのもね。

崇秀がさぁ、私が、この体に成った時、脳の生存本能について色々説明をしてくれたじゃない。

あれをヒントにして、私なりに理解して調べてみたんだけど……実際は、良くわかんなかった。


難しいです。


でもさぁ。

そうは言っても、自分の体に起こってる事なのに『全くなにもしないのもなんだなぁ』って思って、時間がある時に、ちょっとだけ調べたんだよね。


どぉ?この周期性の話で合ってる?



「かぁ~~~、相変わらず、抜けてやがんなぁ。なんでオマエは、そうやって、いつも単純な物から、一気に難しい方に飛ぶんだよ」

「あり?」


違いましたね。

どうやらこれは残念賞の様ですね。


じゃあ、なに?

これ以上は調べてないから、もぉなにもわかんないよ。


ギブアップ。



「『あり?』じゃねぇつぅの……良いか、眞子?男女の脳の決定的な違いは、脳は脳でも脳梁の大きさだ。これの大きさが違うだけで、一気に自身が持つ思考が変わってくるんだよ」


『脳梁』ですか……


脳梁って言えば、確か……


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


どうやら眞子の悩みを解決する方法は、体の変化に伴って起こる思考の変化の様だったですね。


まぁこれ自体は、あまりにも自然に起こってしまった現象ですし。

その対象となってる眞子自身が、自身の体を、ある程度自然に受け入れて来たからこそ気付かなかった現象でもある訳なんですよ。


よく『男性と女性では思考パターンが違う』なんて言葉を耳にする事があると思うのですが、それがこの眞子の悩みに対する答えに成って来ると思われます。


では、何がどうなって、どう変わって来るのか?って言う部分に成ると。

その原因の多くは「脳梁」に隠されておりますので。

次回は、その辺りの説明を、崇秀にさせようと思っていますので。

脳梁の詳しい事が気になった方は、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~♪

(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


結構、医学的にも証明されてる事ですし(笑)

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