913 仮の真実を知って尚、眞子を認めるのか?

 眞子のTS問題、倉津君の失踪問題、自身が女子だったかもしれない記憶。

それらを崇秀の嘘と真実を織り交ぜた説明で、ある程度は納得した倉津君。


なのでラストに、眞子が改竄した記憶も上手く利用して……


***


「なんか、さっきから倉津の様子が変だと思ったら、そう言う事か……オイオイ、眞子。オマエ、いい加減にしろよ」

「へっ?」

「そうやって自分の立場を確保したい気持ちもわかるがな。あんま倉津に変な事を吹き込んでんじゃねぇぞ。オマエが変に気を使って、おかしな事を言うから、この馬鹿が混乱してるじゃねぇかよ」

「うぅ……ごめんなさい。そう言った方が良いのかと思ってた。まさかね。崇秀が、私の正体を、真琴ちゃんにバラすなんて思ってもみなかったから……本当にごめんなさい」


そうか。

そう言う事情で眞子は、俺には本来ない筈の記憶を植え付けようとして来てた訳か。

そりゃあ眞子の立場としたら、自分が俺から派生した人格だとは、俺には絶対に知られたくない話だもんな。


だから眞子は、あんな嘘を付いてたのか。



「……ったく、この馬鹿だけは余計な事をしやがって。オマエのせいで、コイツ、自分が女に成ったとか、おかしな思い込みをしてるじゃねぇかよ。このバカタレ」

「ごっ、ごめん。だって……」


うわっ、うわぁ、眞子が怒られて凹んじゃったよ。


なら此処は、早急にフォローしてやんねぇとな!!



「あぁ、いやいや、眞子。別に謝らなくて良いんだぞ。オマエの立場なら、そうするのは当たり前だ。いや寧ろ、誰だってそうする筈だ」

「ごっ、ごめんね、真琴ちゃん。私ね。自分がね。最初からズッと存在した人間だと真琴ちゃんには認識して欲しかったから、つい……」

「いやいや、大丈夫大丈夫。怒ってねぇ、怒ってねぇから。そんな事情なら、寧ろ、全然怒ってねぇからな」


いやいや、本当に悪い事したな。

俺が女に成った、とか変な事を言い出したから、眞子の奴が思いッ切り凹む羽目になっちまったよ。


マジで悪いな。


俺の記憶違いだったんだな。



「……っで、結局の処、オマエは、眞子の存在を認めてやれるのか?」


はい、そこに関しては問題なく。

アッシ自身も、今の話で、モヤモヤしてた部分が解消されたので、さっきより問題なく眞子の存在はキッチリと認められますぜ!!



「そんなもん、認めるに決まってんだろ。此処までキッチリと正直に話してくれた眞子を、俺が認めなくて、どうするよ?」

「えっ?真琴ちゃん……本当に良いの?こんな嘘を吐く様な私の事を認めてくれるの?気持ち悪くない?私の事、気持ち悪くないの?」


その目は止せ。

そんな懇願する様な目を俺に向けるのは止せ。

元々オマエの存在を認める気しかないんだが、なんか、そう言うウルウルした様な目を向けられると、俺が、それに屈した様な気分になるから止せ。



「アホかオマエは?オマエが気持ち悪い訳ねぇだろ。大体にして俺は、最初からオマエの存在を丸々認めてるちゅうの」

「うぉ!!眞子の質問に対して、その即答かよ。格好良いな、オマエ」

「いや、格好良いもなにもよぉ。コイツが、こうやって此処に存在するんだから、コイツは、間違いなく眞子なんだろ。だったら、もぉそれで良いじゃねぇかよ。それが真実なんだしよ」


だろ?


ちゃうか?



「一応、最終確認して置くが。眞子の体は、オマエと同一の遺伝子で成立しているんだが、その辺も理解した上での話でもか?」

「まぁ、眞子が、オマエの彼女なだけに、そこだけは微妙と言えば微妙なんだがな。例え遺伝子が一緒でも、中身である精神構造が違う以上、そこはそんなには気にならねぇよ。眞子は、眞子として、自分の好きな様に生きれば良いんじゃねぇの」

「うぉ!!マジで格好良いな、オマエ」

「ぐすっ!!真琴ちゃん……ありがとう……本当にありがとう……ありがとうございます……」

「……ってかよぉ眞子」

「うん?」

「オマエ、俺の中なんぞで一生過ごさずに済んで良かったな」

「あっ……」

「それに自分の体も出来た事だし。これからは、一杯、俺や崇秀に我儘言って来いな。オマエはそれ位なら言っても良いんだぞ」

「ぐすっ、ぐすっ……こんな私を、そんな風にまで言ってくれるの?ありがとう、真琴ちゃん……」

「おぉ、今まで苦労してきた分、これからはもっと幸せになれよ」


……なんてな。


俺……超格好良いよな。


でもな。

この奇怪な事実を、よそ見せずに真正面から捉えたとしても、俺は、眞子の存在が『この世に出て来れて、本当に良かった』と思ってるんだ。


だってよぉ、コイツはさぁ。

崇秀が認める程スゲェ奴で、俺なんかより世の中にとって役に立つ様な有用な人間だし、アホの山中の噂じゃあ、アメリカでも相当な知名度になってるらしいからな。


そんな大層な奴が、俺の中で燻ってたんじゃ、話にもならねぇ。



だからよぉ……その分、なにからなにまで、眞子の面倒を見てくれた崇秀には、感謝の一言に尽きるよな。


いつもながら、マジでスゲェよ、オマエさんはよぉ……


***


 ……まぁそんな訳でだ。

世にも奇妙な現象を、崇秀に、なにもかも全て教えて貰ってだな。

妙に納得してしまった俺は、2人の邪魔をしちゃ悪いと思って、奈緒さんの家を後にする事にした。


けど、崇秀よぉ。

そうやって2人きりにはしたが、元が俺から派生した存在だからと言って、あんま眞子を虐めんなよ。


俺の大切な兄弟なんだから、不幸にしたら承知しねぇからな!!



……なんてな。



あぁけどよぉ。

なんかそれでアイツ等が、この後イチャイチャしてるって考えたら、そこは無性に腹が立つな。


故に、家に帰ったら、奈緒さんを思いながら、早速一発オナニーして寝よ。


……嘘。

一杯溜まってるから、5~6発は確実だな。

いや寧ろ、精力が尽き果てるまで抜いて抜いて抜き捲ったる!!


そんで最後には、布団の上でミイラみたいにカラカラに干からびたる!!



チキショ~~~ウ!!なんだこの差は!!


妄想じゃなく、本物の奈緒さんに逢いてぇなぁ……くそぉ~~~!!


***


【次回予告】


いやはや、いやはや。

元自分の事を褒めるのも、なんなんだけどね。


今回の真琴ちゃんって凄過ぎない?

今の卑怯な私には、とても、とてもあんな真似は出来無いし、そんな心境にすら成れないよ。


崇秀が、真琴ちゃんを高く評価してる意味が、漸く解った様な気がする。



さて……次回は。


真琴ちゃんが、あれだけの大きな気持ちを見せてくれたんだから。

わたくし事、向井眞子も、本格的に決意を表したいと思います。



なので次回のお題は!!


『Mako`s heart』

「眞子の心境」



私も、真琴ちゃんに負けない様に頑張らないとね!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>

これにて第一章・第五十一話【Kuratu`s heart(2)倉津君の心情2】はお仕舞に成るのですが、如何だったでしょうか?


結果的には、全ての真実を知る眞子がクローンっと言う立場に落ち着き。

なんとか真実を打ち明けずに済んだのは、それはそれで良かったのではないかと思います。


今の倉津君に『オマエはクローンだ!!』なんて言ったら、それこそただでさえポンコツな倉津君が精神崩壊を起こし、更なるポンコツ化が進んでしまい兼ねませんからね(笑)


まぁ、それはそれで面白い様な気がしないでもないですが……(笑)


さてさて、そんな感じで、倉津君の記憶の改竄はこれにて終了!!

次回からは、そんな倉津君や、崇秀の態度を見ていた眞子の心情を書いて行きたいと思いますので。

良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


お題は!!第一章・第五十二話【Mako`s heart(眞子の心境)】っと成りますです♪

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