911 パズルを組み立てるが如く

 TS問題を上手く解決する上で、眞子の存在をアピールする必要があった為。

彼女自身の口でクラインフェルター症候群&真性半陰陽の説明をさせた崇秀。


さて、此処からどうやって崇秀は、この事実を捻じ曲げて、倉津君を説得するのか?


***


「じゃあ具体的な話をすればだな。そう言った病気を患ってる筈のなのに、今のオマエの体には、男性である証拠のXY染色体しかない。……さて、何故でしょう?って言えば、少しはこの言葉の意味も解るか?」

「XYの染色体しかないだと?……って!!オイオイ!!オマエ……まさか……」

「ご名答だ。オマエの胸とかが、女みたいにデカクなったら気持ち悪いから、早急に俺がXXの染色体をオマエから抜き出してやったんだよ」

「はっ?は~~~い?……なにそれ?そんな事が現代科学で可能なのかよ?つぅか、それ以前に俺の許可は?」

「ボケ。そんな時間は寸分も無かったんだよ。オマエの本格的な成長期が始まっちまったら、整形手術でもしない限り、もぉ元には戻せねぇ。まさに時間との勝負だったんだよ」

「いやいや、だからってよぉ。無許可はねぇんじゃねぇの!!」

「うっせぇわ。オマエは下手したら、男のままで、女みたいなオッパイぶら下げて生きていかなきゃイケナイ処だったんだぞ。それでも良いつぅのかよ?」


いや……良かねぇよ……確かに、そりゃあ嫌かも知んねぇけどよぉ。

それってよぉ、俗世間一般に言う『本人無許可の人体実験』って言わねぇか?


なんか君の言ってる事は、非常に人道から外れている様な気がするんだが……



「いやいやいやいや、なに自分を正当化してやがるんだよ?上手く行ったから良いものの、失敗したら豪ぇ事じゃねぇかよ!!」

「アホかオマエは?俺が確証の無い事に手を出すとでも思ってるのか?馬鹿じゃねぇのオマエ?何年、俺と付き合いが有るんだよ?馬鹿だ、オマエわ?」

「なに?じゃあなにか?オマエが、それだけの確証を持ってるって事は。その『クラインフェルター症候群』っとか言う病気には、正規の治療法とかが存在すんのか?」

「残念ながら、今現在じゃそれは存在しねぇな。完全に世の中に出ていない、裏の方の話だ」


……マジで最悪だよ、コイツ。

裏仕事だったら、何所に、ちゃんとした確証なんか有るんだよ?


話が矛盾し過ぎてて滅茶苦茶じゃねぇかよ!!



「オマエなぁ。……罷り間違って死んでたら、どうすんだよ?」

「アホ。現に死んでねぇだろ。……まぁけど、それに匹敵する、かなり大きな問題は有ったんだけどな」

「なんだよ、それ?」

「オマエの体の中にあった、この眞子の存在だ」

「はっ、はい?だから、それが訳がわかんねぇって言ってんの!!」


なに?本当に、どういう事だよ?

なにもかもが暗闇の中で、全く理解出来無い話だぞ。


大体にして、なんの話やねん……これ?


なんかのSFの話か?



「良いか、倉津?オマエの体の中で起こっていた事例って言うのはな。今までに無いぐらい特殊な事例でな。実は、オマエの体の中には、生まれた時からXXの染色体が有るが故に、女性である精神が同時に宿ってたんだよ。……それがコイツ。眞子の存在だ」

「ちょっと待てよ!!それ、本当に本当の話なのか?今更ながらだが、からかってんじゃねぇだろうな?」

「あぁ、寸分も、からかっちゃいねぇし、嘘でもねぇよ。……しかもな。オマエの体が、第2次性長期に差し掛かる手前の1年前に、その女性の精神が目覚め掛けてたから、俺は慌てて対処しなきゃならなかった訳だ」

「いや、オマエは、そう言うけどよぉ。そんな素振り、俺には、一切見せなかったじゃねぇかよ」

「当たり前だ。そんな事を変にオマエに勘付かれたら、その後、ナンダカンダと文句言って、直ぐにゴネるだろ。そんで胸がデカクなってから泣き付いて来る。オマエの常套パターンじゃねぇかよ」


ぐっ……確かに。


そのパターンは過去の経験から行っても有り得るだけに、此処はなんも言い返せねぇな。



「いや、まぁ、それにしてもだな」

「ゴチャゴチャ抜かすな。続きを話すぞ」


暴帝め……


好き勝手に俺の体を人体実験の道具に使ったくせに、なんて偉そうな奴だ。



「……っで、なんだよ?」

「まぁ、そうやって、オマエの中に宿っていた眞子がだな。オマエのXX除去作業の際に、コイツが完全に目覚めてしまってな。オマエの脳が、2つの精神を制御仕切れずに精神をシャットダウン。オマエを昏睡に導いちまったって訳だな」

「オマエなぁ。……やっぱ、危険満載じゃねぇかよ!!」

「まぁ確かに、その時点では俺も、かなり驚いたのは間違いじゃねぇな。けどな、遅かれ、早かれ、そう言う状態にはなってたんだよ。でも、そのまま放置してたんじゃあ、間違いなくオマエの精神が崩壊していたのも否めない話。1つの体に、男女の精神の共存は不可能に近いからな」

「そっ、そうなのか?」


……怖ッ!!

危うく精神崩壊で、死に掛ける所だったんだな。

なら、口には出して言わねぇけど、一応は、この傍若無人なアホンダラァにも感謝しねぇとな。


絶対に口には出さねぇけど。



「あぁ、だから俺はな。眞子の精神を、一旦オマエから引き剥がし。オマエの遺伝子から作ったXXの体を与えてやったんだよ」

「なに?それって、俗に言うクローンって奴か?」

「そう言うこった。……まぁ、これに関しては、偶々そうなっただけの話なんだけどな」

「どういう事だよ?」

「この除去作業の以前に、前以てオマエの体のクローンは作っていたんだがな。何故か、そのクローンが女に成っちまってな。眞子の精神は、その偶々出来た体に入れたに過ぎねぇ」


……ってオイ!!


それってよぉ。



「オイコラ。もし、人体実験に失敗してたら、どうするつもりだったんだよ」

「その時は、もぉしょうがねぇだろ。オマエが女に成ってただけの話だ」

「馬鹿じゃねぇのかオマエは!!俺が眞子に成ってたら、豪い事じゃねぇかよ!!シャレにもなってねぇぞ!!」

「アホかテメェは?男のままオッパイぶら下げて生きてるより、その方が、なんぼかマッシだろ。それによぉ。流石の向井さんでも、その姿は頂けなかったと思うぞ」


……確かにな。

俺も、オッパイぶら下げて、男のまま生きるのは嫌だな。

しかも、次期ヤクザの組長って立場がある以上、100%それはねぇよな。



「いや、まぁ」

「まぁ、仮にだ。女に成ったとしてもだ。オマエには、そこから、別の人生が待ってる訳だから、ヤクザの看板を下ろせる可能性だってあった訳だ。なら、全部が全部悪いって訳でもないだろうに」

「まぁそうかも知んねぇけどよぉ。なんかよぉ。俺、呈良く、オマエに騙されてねぇか?」

「まぁ、この件に関しては、俺自身、都合の良い事を言ってるのだけは否めないな」

「……だよな」


まぁ……万事上手く行ったから、別に『タラレバ話』なんか、どうでも良いけどな。



「さて、そこで問題だ」

「なんだよ?まだ、なんか問題があんのかよ?」

「いや、問題は1つだけだ。但し、此処が一番重要な話なんだがな」

「うぇ……っで、なんだよ?」


俺がそう聞き返すと、崇秀は、何故か溜めを作って言葉を紡ぎ出した。


病気の説明をした眞子は、あれ以降、ズッと下を見て俯いたまま、なにも喋らないけどな。


この事から言っても、相当、重要な話みたいだな。


……っで、崇秀は、こう言う事を言ってきた訳だ。



「……オマエ。今、こうやって存在しちまった眞子の存在を認められるか?」


……うん?


……今更?


・・・・・・


あぁそうかぁ!!そうじゃねぇや!!

普通に考えれば、眞子は、この世に存在してはイケナイ存在。


世に有らざる存在だ。


それ故に崇秀は、眞子の体を与えた時に、直ぐに偽造戸籍を作る必要性があったんだな!!

だから眞子は『偽造戸籍の説明』を、俺にキッチリとしたがらなかったんだ。


そう言う事か……


しかしまぁ俺は、なんて間抜けなんだよ。

眞子の奴が……俺の知らない所で、そんな苦労をしてたとはな。


可哀想によぉ。


だったら俺の出来る事は、ただ1つ。

眞子は、正真正銘、血肉を分けた本当の兄弟なんだからよぉ。

此処からはなにも余計な事を言わず、眞子の存在を認めてやるのが一番の良策ってもんだよな。


あぁけど……なにがあっても、眞子の存在を認めるのだけは変わらないけどだな。

1点だけ、どうしても気に掛かる事が有るなんだよな。


……最後に、そこだけは聞いてみるか。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


倉津君がクローンだと言う真実を捻じ曲げ。

眞子をクローンとする事で、本来の倉津君と眞子の立場は逆に成ってしまったのですが、これが、まずの所は良策だったと思います。


現状の倉津君に『オマエはクローンだ!!』なんて言える訳がありませんもんね。


まぁ眞子に関しても、まさか崇秀が『眞子がクローンだ!!』なんて言い出すとは思ってもみなかったでしょうが、今までの経緯を理解しているだけに、眞子なら、この崇秀の突飛ようしもない言葉にも、まだ対応出来ますし。

眞子本人としては、自身がクローンと言う立場になったとしても、自分の存在さえ倉津君にさえ認めて貰えるなら『特に問題ない』っと考えれる筈ですしね。


まぁなにより、こう言う設定にした方が『眞子が不幸だった』っと言う印象を倉津君に与えられ、同情を誘う事も出来ますしね♪


さてさて、そんな中。

現時点で『眞子の事を認めても問題ない』っと判断している倉津君なのですが。

なにやらまだ心残りに成っている部分がある様で、此処で最後の疑問を繰り出してきそうな雰囲気を醸し出してきました。


果たして、倉津君が持つ最後の疑問とは、一体、なんなのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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