902 遠藤さんが眞子を警戒する理由

 眞子と飯綱ちゃんが、蟹を捌きに台所に行った。

すると遠藤さんが、この機会を待っていたかの様に……


***


 ……っで。

眞子と、恐らくは、小学生であろう女の子が部屋を後にして、台所に向った後。

康弘は、此処がチャンスとばかりに話を仕掛けてきた。


まぁ、これが、コイツの本命なんだろうけどな。

先に言って置くぞ康弘……人様の家で、ヤクザ関連の話は余り好ましく無い事だけは十分に理解しとけよ。

ヤクザ者なだけに、そう言う堅気に迷惑を掛ける様な話を此処でするんじゃねぇぞ。


解ってるな?マジですんなよ。



「いやいや、微笑ましい光景だね」

「……解ってんなら、その微笑ましい空気を潰す様な真似をすんなちゅうの」

「確かにね。……けどね、倉津君。あの向井さんって子は、倉津君同様、必要以上に他人に関わろうとする所があるんだよ。だから、ヤクザの世界をある程度理解して貰う為にも、忠告は必要だと思ってね」

「なんだよそれ?オマエ也のお節介って奴か?」

「さてね。そこまでは考えてないけど。一般人が、任侠の世界にズケズケと土足で立ち入られちゃあ困る問題も多々有るんじゃないのかい?」


矢張りな。


倉津組の跡目問題が浮上してる以上。

一般人である眞子が余計な事を知ってしまうと、なにかの切欠で、事件に巻き込まれる可能性が出て来るって事か。


それで必要なまでに、康弘は眞子に忠告にも似た言葉を発していた訳だな。


とんだお節介野郎だな。



「なるほどな。それが今回の俺の問題って奴か?」

「そぅ。任侠者が、一般人を巻き込む様になったら、お仕舞いだからね、勿論、逆の意味でも然りでね」

「……っで、なにがあったよ?また面倒事か?」

「まぁね。……倉津君が1年間居ない間に、東京の村田組と城田組が町田から抜けてきて、相模原方面から徐々に手を出し始めてる。今は、まだ小競り合いのレベルだけど、面倒になる可能性を孕んで来たんで、早目に対処しようと思ってね」

「そっか。……しかしまぁ、相も変らず東京者は懲りねぇ野郎共の集落だな。……っで、どうするつもりなんだ?」


チッ……面倒臭ぇ雑魚組織が。

変に群れたからって、粋がりやがってよぉ。


あんま調子くれてんじゃねぇぞ。


なめた真似してっと、仕舞いには組丸ごとブッ潰すぞ。



「まぁ、一応、有用な手立ては考えてあるけどね。それには、どうしても倉津組の協力が必要なんだよ」

「あぁ?協力だと?……オイオイ、康弘。確かオマエの所と、ウチの組は、去年、同盟関係に成ったんじゃねぇのかよ?」

「それがね。また組長同士が女性関係で揉めてるらしいんだよ。そのお陰で、同盟の話はパァ。そこを嗅ぎ付けた村田と、城田が、こぞってチョッカイを出して来たって話なんだよね」


ヤダなぁオイ。


折角よぉ。

久しぶりに、気合の入ったバイオレンス系の話だったって言うのによぉ。

なんだよそれ?

女の取り合いなんて、ヤクザ同士の抗争以前の問題じゃねぇかよ。


茶番にもならねぇ様な、とんだ糞話だな……オイ!!



「あのよぉ。……こう言っちゃあなんだがな。オマエの家の親父も含めて、アイツ等馬鹿じゃねぇのか?頭の中でエンドルフィン出過ぎて、性欲が抑えられなくなってねぇか?」

「うん。間違いなく、性欲塗れで、全く持って救いが無いね。倉津君の言う通り、究極の馬鹿としか言い様がない。……最も、その私欲に塗れたウチの組長のせいで、ウチの組は、倉津君の所の文化祭には出店も、なにも出来なくなるし。組のしのぎも減って、余計な厄介事バッカリ増える一方。堪ったもんじゃないよ」


さっさと、この世からお別れして、綺麗サッパリ、骨も残さずに死んだら良いのにな……アイツ等。

なんで、毎度毎度、そんなに女の事バッカリで揉めれるんだ?


ひょっとして、あのアホ親父共は、そこまで女の好みが似てやがるのか?


もし仮にそうだとしても、極めてアホ過ぎるな……


大人しく友美さんだけにしとけつぅの!!

あの人、おしとやかだし、美人なんだからよぉ。



「……っで、今度は、何所の女が原因なんだよ?」

「あぁ、それなら既に調べだけは付いてるんだけどね。今回の相手は、思った以上に、ちょっと厄介な相手でね」

「厄介だと?なにが厄介なんだよ?村田か、城田絡みの差し金か?」

「だったら、まだ良かったんだけどね。その厄介な相手って言うのが、今年の頭に離婚が成立した、藤代理子さんの母親なんだよ」

「ブッ!!……なんでまた、そんなピンポイントな所に……」


マジで、アホかアイツ等!!

マジでなにしてくれとんじゃ、あのアホ共は!!

見知らぬ何処ぞの女を取り合ってるならまだしも、理子さんって言えば、俺も、康弘も知ってる、モロ両方の知り合いじゃねぇかよ!!

なに考えとんじゃ!!今更、お姉ちゃんとか要らねぇぞ!!


それに確か理子さん家って、俺と同い年の弟も居た気がするな。

弟なんぞ、もっと要らねぇよ!!


いやもぉ、この際だから、あのアホ親父共が浮気をするのは黙認しても良いとしてもだな。

マジで、そう言う俺の身内に手を出すのだけは辞めてくれよな!!


アイツ等、マジで馬鹿じゃねぇのか!!

俺等子供の立場ってもんも少しは考えてから浮気せんか~~~い!!


もぉ……堪んねぇな。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


遠藤さんが危惧していた部分は、意外にも眞子を巻き込まない為の物だったみたいですね。

まぁ勿論、それ以外の面では、眞子の事を怪しんでる部分があっての話なのですが。

これは堅気の者が、極道者の話に軽々しく首を突っ込んで欲しくないって意味も含まれている様です。


……っで、それはさておき。

またしても両親分さんの女癖の悪さが出て、なにやら組が揉めてる様子なのですが。

そんな中にあっても、倉津組の跡目問題を、遠藤組の組長の所に持って行ってるって事は、表面上はどうあれ、きっとこの2人って仲が良いのかもしれませんね(笑)


さてさて、そんな中、次回は。

この状況を打破する為に、息子2人が動き出す様なのですが。

果たして、この状況をどう打破するのか?


その辺を次回は書いて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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