900 やっぱ女子には笑顔で居て貰わなきゃな

 一旦話が終結したので、眞子が倉津君の夕飯を作ってくれる事に成ったのだが……


あっ……900話目だ(笑)


***


 ……こうしてだな。

即座に有言実行をする為に眞子の奴は、いつも奈緒さんが買い物に行っていた近くのスーパーに出向いて行った。

勿論、俺は、アイツが、なにも言わなくても『荷物持ち』に付いて行ってやる。

ってかアイツさぁ。

結構、華奢な体つきだから、そんなそんな重い荷物なんかを持てそうにないからな。


まぁそれにだ。

折角、飯を作ってくれるって言ってんだから、材料費ぐらい全部支払ってやんのが男ってもんだろ。


食費って、地味にかかるしよ。


***


 ……それで帰宅後。

俺はコタツに入りながら、眞子が作ってくれるって言う手料理とやらを待っていた。


いやまぁ、そんな理由だから、こうやって待ってるのは良いんだがな。


……にしてもアイツ、なにをそんなに本格的な事をしてやがるんだ?

もぉ既に一時間ほどコタツで丸まりながら、アイツの帰りを待っているんだがな。

その間、良い匂いだけは台所からドンドン流れてくるんだが、アイツ自体が、一向に、コチラに戻って来る気配が無い。


『小腹が空いただけ』だって言ったのによ。

本当に、なにやっとんじゃ?


***


 ……っでだ、トータル1時間半ぐらい経って。

漸く気が済んだのか、眞子の奴が、俺の待っていた部屋に姿を現すんだがな。


小腹が減っただけだって言ったのによぉ。

なんでオマエは、洋食のフルコースみたいな飯を作って来るんだよ?


コイツ……全然、人の話を聞かない奴だな。


……っとは言ってもだ。

これだけ長時間、美味そうな良い匂いを嗅がされてた訳だから『小腹が減っていた』から『腹減った』に変化してしまうのも当然の事。


出し終えてくれた後、ちゃんと『いただきます』だけしてから、俺は、奈緒さんの飯を喰う様に、出された飯をモサボリ喰った。



「くあぁ~~!!なんだよこれ!!言うだけの事は有って、マジ美味いな!!絶品だよ絶品」

「そぉ?そんな大した事ないんだけどね。満足して貰えたら嬉しいよ」


大した事ないって……オマエなぁ。


これは既に、奈緒飯に匹敵する美味さだぞ!!



「いや、お世辞抜きにマジで美味いって!!オマエさぁ。これなら直ぐにでも、嫁に行けるぞ」

「あのさぁ、誰の嫁に行けって言うのよ?こんな私なんて、誰も要らないっての」


またオマエさんは、そう言う事を言うだろ。

って言うか、さっきオマエ、前向きに生きるって言った所じゃなかったっけ?


まぁまぁ、この感情の起伏の激しさが女の子たる所以だな。


少々面倒臭ぇが、飯のお礼に、また気分を上げてやるか。



「オマエなぁ……もぉ、どこまで自覚ねぇんだよ?」

「なんの自覚?自覚する様な事なんか、なにも無いけど」

「あ~~~ほぉ~~~かぁ~~~!!幾ら中身が腐っててもなぁ。それだけの見た目と、これだけの料理の腕が有れば。こぞって男共が寄って来るわ!!ドンだけ自信がねぇんだよ?」

「あぁまぁ、全体的に言えば、自信が無い訳じゃないんだけどね。まぁ、その他諸々と問題が有ってね」


だよなぁ。


これだけの器量があって自信が無いなんて、少しおかしいとは思っていたんだが、なんか違う部分で悩んでやがったんだな。


だったら、俺で良かったら相談に乗るぞ。

御代は、飯を作ってくれた事でチャラって事でな。



「なんだよそれ?まだなんか蟠ってやがるのか?」

「まぁまぁ、それを聞くのは野暮ってもんだよ。なんせ、人には、絶対に誰にも言えない事情って奴があるからね。これバッカリは、真琴ちゃんが気にする事じゃないんだよ」

「そぉかぁ?まぁ、それなら別に、深くは追求はしねぇけどよぉ」

「あぁ、うん。ありがとう」

「けどな。オマエは、罷り間違っても、性格が腐ってるなんて事はねぇからな。此処で変に悩むなよな。それでもまだ、悩む様だったら、幾らでも、俺に打ち明けてくれよ。……腹違いとは言え、兄弟なんだから、相談に乗るしよ」


言っちゃえよ。


ちょっとぐらいだがな。

人に言っちまえば、楽になる事だってあるんだからよ。



「そっか。……じゃあ、早速相談して良い?」

「おっ?なんだよ?」

「真琴ちゃんって、奈緒ネェとは、何所まで行ったの?Hした?」


はい?



「ぶぅぅ~~~!!なんだよそれ?全然相談じゃなくて、完全に質問じゃねぇか!!しかも、俺には『言えない事情がある』とか抜かして置いて。自分は、思いっきりプライベートな事に突っ込んでんじゃねぇかよぉ!!」

「いやいや、これは正式な相談だよ。奈緒ネェの事が心配で堪らないから、こうやって聞いてるだけだもん」

「いや、まぁ、そりゃあ、そうだろうけどもだ」

「まぁ、そうは言っても。奈緒ネェの事だから、SEXは当然としても。真琴ちゃんが、変な性癖持ってないかが心配なんだよね。SMとか、スカトロとかに嵌ってたら、大変じゃない」


まぁ……そう言う考慮が有るのは解らなくもねぇがな。


……にしても。

また、その考慮してる部分って言うのが、寄りにも拠って『SM』と『スカトロ』かよ……まだ中学生の俺に向って、それは、ちょっとないんじゃねぇか?


SMの線は……まぁ100歩譲って良いとしてもだな。

この年でスカトロが性癖に成ってるつぅのは、あまりにも終わってるだろ。



「コラコラコラコラ!!俺は、そこまでのハードプレイヤーじゃねぇつぅの!!普通だ普通!!普通のSEXしかしてねぇよ!!ヤクザの息子だからって、そう言う偏見に塗れた見解は無しだろ!!」

「あっ!!……やっぱり、Hはしてたんだ。ふ~~~ん」

「コイツ、最悪だよ。……嵌めやがったよ」

「嵌る方が悪い」

「性格悪ッ!!」


この性悪女め。

折角、人が出来もしねぇ親身になって、心配してやってるのに、そう言う事するか……普通?



「まぁね。でも、性格は悪いって、最初から言ってるじゃない。それに『嵌めた』って言うけど。それにしても単純過ぎるよぉ」

「うるせぇわ!!俺は純粋な人間なの。オマエみたいに性格が悪くないの」

「2回も言う程、そんなに……性格悪い?」


オマエなぁ。

自分で言って置いて、それを二回言われたからってそんな風に凹むなよな。


……ったくもぉ。



「いや、嘘嘘。オマエは、全然性格悪くない。俺に飯を食わせてくれる奴に、悪い奴はいない」

「ぷっ!!なにその基準?」

「いや、だってよぉ。俺って、ご存知ヤクザの息子じゃん。そんな奴に好き好んで、飯を食わせてくれる奴なんて、実際の話で言えば、神だよ神。だからオマエの性格悪くないって話だな」


完璧だ。

まさにこの解答は完璧と言って良いだろう。


現に眞子も、この一言で笑顔に戻ってくれたしな。

変な話かも知んねぇけど、女子が凹んでいたら、笑顔に戻してやるのが男ってもんだしよ。

それが可能な状況なら、少々アホな意見を言うのも悪くないんだろうしな。


『コンコン』

そう思っていたら、例の専用口である、玄関の扉をノックする音が聞こえた。


こんな時間なのに、誰かが来たらしいな。


まぁ、相手が誰だかはシラネェけど。

こんな夜になってから、女子に家に余り訪ねて来るもんじゃねぇぞ。


……って、思ってたら、眞子の奴は、これを想定していたのか。

俺に向って1言だけ発した後、パタパタと玄関先に向って行った。


なんだ?


***


【次回予告】


眞子の奴は、一体、何を考えてんだよ?


俺が居て、奴を家に呼び込むなんざ、ヤーさんの会合でも奈緒さんの家でやるつもりか?



……次回。


『Kuratu`s heart(2)』

「倉津の心境(2)」



なんだこりゃ?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>

これにて第一章・第五十話『Kuratu`s heart(1)(倉津の心境(1))』はお仕舞に成るのですが、如何だったでしょうか?


眞子視点とは違う感じで、倉津君の心境を感じ取って頂けていれば嬉しく思います♪


さてさて、そんな感じの中。

この後、遠藤さんが来訪されるのは前回のお話でご理解頂けてると思いますので、来訪者の正体はバレバレなのですが。

その中でも、また別口の話題も上がってきますので。

良かったら、次回から始まる第一章・第五十一話『Kuratu`s heart(2)(倉津の心境(2))』も、是非お楽しみくださいです♪

(*'ω'*)b

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