896 コイツが噂の向井眞子か……
失踪期間を経て学校にやって来た倉津君を、みんなが歓迎してくれる。
そこには、バンドを始めようと言った矢先の失踪にも拘らずカジ&グチ君の姿も含まれてだ。
そして彼等が『眞子に音楽で認められたい』っと言う願望を聞かされ、渋々ながらも了承せざるを得ない倉津君だった(笑)
***
……っで、この後だ。
余りにも、みんなが、その向井眞子なる怪しげな女を『化物扱い』するもんだから、ちょっとだけ興味を引いちまってな。
此処で、まだ懲りずに家には帰らず、無謀にも上星川に向かって足を運んでしまった訳だな。
けど、奈緒さんの家に到着しても、誰も居ないのかして家の中が静まり返っている。
まぁ本来なら、最愛なる彼女である奈緒さんが居ない以上、他の女の子が住んでる家に勝手に家に入るもの、どうかとは思ったんだがな。
今此処に住んでいる向井眞子って女は、どうやら、みんなに聞く処によると、俺の親戚筋に当たる女で、奈緒さんの妹って立場らしいから、俺自身が相手の事を知らなくても、相手が俺の事を知ってる可能性は非常に高い。
それになによりだな。
『外が寒いから、家の中で待ってても問題無いかなぁ』なんて思いながら、勝手に奈緒さんから貰った鍵を使って扉を開ける。
あぁ……因みにだが。
奈緒さん家に隣接する、あほヤッキの店なんだが。
あの馬鹿、張り紙を良く見ると、平日に『スノボー』に行く為に、昨日・今日・明日と『谷村新司か!!』って言う様な3連休を生意気にも取ってやがったみたいなんだよ。
アイツさえ昨日から居れば、向井眞子なる人物が、どう言う人物か聞き出せて、こんな面倒な事にはならなかったって言うのによぉ。
相変わらず、糞の役にも立たないボンクラだ。
……まぁ、そんな訳でだ。
なにやら全てを諦めた様な心境で、ズカズカと家の中に入って行く。
……するとだ。
家の中に入って、直ぐに気付いたんだが。
洗面所の方から、何故か、女の子の泣き声が聞こえてくる。
不信に思った俺は、なにも考えずに、泣き声が聞こえる方に近づいて行く。
「ぐすっぐすっ!!ごめんなさい。もぉヤです!!他人に成りたいなんて、2度と思いませんから、どうか戻して下さい。助けて下さい。お願いします……えぐっ、えぐっ」
……っとまぁ、洗面所の扉の近くまで行ったら。
なにやら訳の解らない呪文の様な言葉を発しながら、明らかに女の子の声で、誰かが泣いてる訳なんだがな。
泣いている以上、流石に、このまま放って置く訳にもいかず、扉をノックしてから声を掛けてみた。
『コンコン』
「オッ、オイ、だっ、誰か居るのか?その声は、奈緒さんじゃねぇよな」
「!!えっ?……ぐすっ、ぐすっ、そっ、その声……まさか……」
いや……『その声、まさか』って言われてもなぁ。
俺、オマエの声には全くと言って良い程、聴き覚えなんぞ無いぞ。
誰だオマエ?
でもまぁ、その謎については、取り敢えず後にする事にして。
まずは相手を泣き止ます為にも、常識的な事でも言って慰めてやるか。
「オッ、オイ、だっ、誰だかシラネェけどよぉ。そんな泣くなよ。なにがあったかまでは知らねぇけどよぉ。人間なんてよぉ。生きてりゃ。良い事もありゃ、悪い事もあんだからよぉ。そんなに気にすんなよ」
「まっ、真琴ちゃんなの?……その声は、真琴ちゃんで間違いないよね!!」
「はい?……誰、オマエ?ひょっとして俺の知り合い?」
……ヤッパリ、この泣き声の主は、俺を知ってやがる様だな。
・・・・・・
……って!!オイオイ!!
ひょっとして、この洗面所で泣いてる女が噂の向井眞子か!!
……と思った瞬間『バタン!!』と激しく扉が開いて、裸の女が突っ込んでくる!!
へっ?ちょ!!はっ……はい?
こっ、こっ、こりゃあ一体、なっ、なっ、なっ、何事だ!!
しかも、思いっ切り抱き着いてきやがった!!
「うわ~~~ん、真琴ちゃん!!」
「ブッ!!ってなんだ?……ってか、オマエ!!誰だか知らねぇけど!!なんで裸なんだよ!!つぅか、ホント誰だよ!!……つぅか、胸デカ!!」
「お帰り真琴ちゃん!!逢いたかったよぉ!!こんなに、こんなに嬉しい事は無いよ!!」
「いや!!つぅか、ホント、誰?つぅか、頼むから服着ろ!!誰かに見られたら誤解されんだろ!!」
「だって……だって……うわ~~~ん!!」
いやいやいやいやいや……なんで、そんな泣いてるのかね、オマエは?
……ってかよぉ!!
オマエって、真っ裸で俺に突っ込んで来て抱き着く程、俺と親密な仲な訳?
そこ、大丈夫なんか?
確認の為に一応言うが、オマエは裸なんだぞ。
つぅか、なにこの状況?
もぉ……訳がわかんねぇよ!!
「オイオイオイオイ、なんかシラネェけど泣くなぁ!!泣くなつぅの!!タダでさえ悪い俺の世間体が、余計に悪くなんだろ!!」
「ごめんなさい。ごめんなさい。……お願いだから、ちょっとの間だけ、こうさせてて……ごめんなさい……」
「オイオイ、ホント、なんなんだよ……これ?」
いや、まぁ、良いんだけどよぉ。
相手が、こんなに泣いてんだから、ちょっとぐらい付き合ってやっても罰は当たらねぇんだろうしな。
なによりコヤツ、オッパイおっきいし。
***
……っとまぁ、なにがなんだか訳が解らないまま。
5分程、俺に抱きついたままズッと泣いてやがったんだがな。
……けどな。
真っ裸なのが祟ったのか『へぷっちん!!』っと、突然、なんとも女の子らしい可愛らしいクシャミをしてから、此処で始めて、コイツが、俺の方を向いて、潤んだ瞳の顔を上げたんだがな……
『ちょ……なんだよ!!この反則級の美少女わ!!』
奈緒さんや真上さん、それにステラに匹敵する様なトンデモナイ可愛さだぞ!!
パネェ!!弩級の可愛さじゃねぇか!!
……って訳なんで。
変に意識した瞬間、おぃちゃんの下半身に付いてる困ったちゃんな棒はモリモリと元気になっていき、向井眞子らしき人物のお腹に当たりかける。
流石に、これはミットモナイと思い。
眞子らしき人物を軽く引き離し、今度は、ちゃんと服を着て来る様に相手方に説明する。
するとだな。
突然、慌てだして洗面所に戻って行くんだがな。
その際に『真琴ちゃん……お願いだから、何所にも行かないでね。ちょっとだけ待っててね』って、扉から、ちょっことだけその堪らねぇぐらい可愛らしい顔を出して、そんな事を言ってきやがった。
聞きしに勝る、なんて恐ろしい女だ。
この、俺の大好物なシュチュエーションを熟知した様な素振り。
なんとも侮りがたい女だ。
こんな事されたら、断れねぇつぅの!!
元々断る気もねぇけどな!!
まぁそんな訳でだ。
一言だけ『あぁ』っと言い残して、コタツのある部屋に向って行った。
……にしてもよぉ。
綺麗な形のオッパイしてやがったな、コイツ……じゃなくてだ。
それも良いんだけどよぉ。
冷静に成って考えてみたら、俺……コイツの顔を良く知ってるぞ。
コイツって……俺じゃねぇの?
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
……っとまぁ、復活後には、こんな経緯があって奈緒さんの家に行った訳なのですが、この様子からして、どうやら眞子が思っていた以上に、倉津君の『女性に成った』っと言う記憶は鮮明に残っている様ですね。
それ故に、此処をキッチリ修正して置かねば、後々大変な事に成ってしまうのですが、一体、どうやって、この倉津君の記憶を改竄していくのでしょうか?
まぁ言うて、この後の事は、ある程度、前話の眞子視点で語っていますので、方法はご理解頂けてるとは思うのですが。
この眞子の言動を、倉津君がどう感じてるかが重要なので、次回は、その辺を書いて行こうと思います。
そんな感じなのですが、良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~♪
(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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