889 あれ?なんか増築されてね?
現状をもっと理解する為に、情報通の山中君の家で1日だけお世話になる事にした倉津君。
だが、そこでまず目にしたものは……(笑)
***
……ってな、世間の不条理な対応に、目一杯心で文句を垂れながらもコンビニに立ち寄り。
理不尽にも、自分を祝杯を挙げる為のビールと、おつまみを大量に買わされて『山中工務店』の前まで着いた。
……のは良いんだけどよぉ、あれ?
なんか知らんが、前に来た時より、山中の家がなんかデカクなってんじゃねぇか。
これって増築したんかな?
……って事はだ。
マジで、この野郎~~だきゃあ!!家を増築するぐらい儲けてるんなら、ビール代ぐらいケチッてんじゃねぇよ!!ふざけんなよ!!
……なんて、更なる不条理に対する文句を心で垂れながらも、山中の家にお邪魔する。
『ガラッ』
「オカン、帰ったでぇ」
「あぁ、お帰り。……あぁ、和寛、アンタ、お腹空いてるんやったら、ご飯、テーブルの上に置いてあるから、勝手に食べとき」
家に入るなり、母親らしき人物に対して、謎の言葉『オカン』っと言う言葉を発し、会話が成立している。
俺が推測するに、この『オカン』と言う言葉は『母親』を差す言葉の様だ。
(↑馬鹿でも解る推理をして喜ぶ俺)
「おぉ、オカン。今日は、連れが来とるから、飯は要らんわ」
「アンタなぁ、もぉアホちゃうんか?今頃ノコノコ帰って来といてなんやの?ご飯要らんねんやったら、もっと、はよ電話しぃ言うねん」
「すまん、すまん。そやけど、駅で連れに逢うてんから、しゃないやんけなぁ」
「そうか。ほんだら、明日の弁当に入れといたるから、明日の朝、勝手に持って行き」
「あいよ。……あぁ、そや、オカン。今月分の給料、親父の口座に入れといたから、勝手に使うてくれな。遠慮は要らんで」
おっ!!
「そうか。ホンマおおきにな和寛。お父ちゃんにも後で言うとくわ」
「かまへん、かまへん。勝手に使うてくれ」
おぉ~~~!!コイツが無駄に金を使わないのは、給料の殆どを家に入れてるからか。
実は、スゲェ親孝行なんだな。
侮ってたぞ。
「おぉ、マコ。汚い家やけど、まぁ上がれや」
「おっ、おぉ。あぁっと、お邪魔します」
「ホンマ汚い所やけど。ゆっくりしていきな」
「あぁ、すみません。お邪魔させて貰います」
山中のオカンに、そう言いながら、二階にある山中の部屋に上がって行く。
そんで入室後は、いつも通り勝手に寛ぐんだが……相変わらず、汚ねぇ部屋だなオイ!!
偶には、掃除ぐらいしたらどうなんだよ?
俺でも最低限度、週に一回から二回位は、自分の部屋を掃除してんぞ。
この部屋はゴミ箱か!!
「おぉ、マコ。早速、オマエの奢りで飲もうぜ」
「勝手に飲めつぅのボケ。……つぅかよぉ、山中。んな事よりよぉ。オマエさぁ、自分の給料、全部、家に入れてるのか?」
「あぁ?おぉ、まぁなぁ。……まぁ言うたかてや、流石に全額家に入れとる訳やないんやけどな。殆どは家に入れてんなぁ」
そう言いながら山中は、コンビニの袋からビールを取り出し、コチラに放り投げてきた。
俺は、それをキャッチすると同時に、なんの躊躇もなく缶を開け。
乾杯もせずに、イキナリ、ゴクゴクと飲み始める。
「ぷはぁ~~~っ!!」
「うわっ、なんやコイツ、最悪や!!渡しただけやのに、先、飲みよった。有り得へん」
俺が買ったんだから、文句言うな。
つぅかな。
さっきの給料を家に入れてる件が、結構、衝撃的で、飲まなきゃやってられねぇんだよ。
仕事をしてるとは言え、俺同様に遊んでばっかだと思ってたのによぉ。
キッチリ親孝行してるオマエを見たら、今の自分の置かれてる状況が余計に居た堪れねぇから……飲まなきゃ、やってられねぇんだよ。
「つぅかよぉ。んな事より。オマエって、意外と親孝行なのな。ちょっと驚いたぞ」
「アホかオドレは?そんなんちゃう言うねん。これは、親に対する贖罪や」
「贖罪だと?なんだそりゃあ?」
「アホが。憶えてへんのか?俺が大阪でやらかした例の事件のせいで、ウチの家族は夜逃げ同然に大阪から逃げてきたんやぞ。ほんでオトンは、神奈川で再起を図る為にガンバとるんやから、長男の俺が、それに協力せな、どないすんねんな」
「あぁ、そう言えば、そんな話もあったな」
そうか、その件が引っ掛かってたんか。
まぁ、これ自体は、山中自身が起したとんでもない事件なんだが、元を正せば、コイツの姉貴がホストに嵌ったのが原因。
山中自体は、そんなに悪い訳ではねぇんだけどな。
……けど、それを家族の中で表面化させない為に、家に金を入れて、家族に協力してると言う訳か。
なるほどなぁ、そりゃあなんとも家族想いで良いこったな。
「まぁ、それにや。俺も、いつまでも音楽で喰うて行けるとは思ってへん。今の内にガッポリ稼いだ金で、家の事業を拡大しといた方が将来的にも安泰やろうが」
ビールを開けながら、自分の見据えている将来についての話を口にした。
なるほどなるほど、そこにもそう言う理由があった訳な。
けどよぉ、此処で1つ疑問に思ったんだけど、山中程の実力があって、なんで、そんな奇妙な不安が過ぎるんだ?
バンド自体も人気があるみてぇだし、どちらかと言えば順風満帆な筈なんじゃねぇの?
それによぉ。
そのバンドのメンバーには嶋田さんって超強力な人が居るんだから、作曲や作詞にも問題は無い筈。
本当に、なんでオマエが、そんな奇妙な発想に成ってんだ?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
山中君が比較的、お金に煩いのには、実はこう言う事情があったんですね。
例の大阪で起こした事件も然りなんですが。
それを踏まえた上でも、どうやら『音楽を続けて行くのは難しい』っと言う判断をしているからこそ、儲けれる間に儲けて、家への投資をしている感じだったようです。
中々、自身の将来の事も考えての行動ですね。
ただまぁ、そうは言っても。
中学生の身でありながら、大人気ロックバンドのドラムを務めれる位の実力があるのに、この発言は少々変。
一体、何故、山中君は、こんな思考に成ってしまっているのでしょうか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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