883 眞子にも伝わる元自分の良さ

 何度も凹んでしまう眞子の対して、何度もそれを宥めてくれる倉津君。

そして最後には『オマエはオマエなんだから、自分らしく生きれば良い』とまで言って貰えた眞子だった。


***


「そうだね。……うんうん、真琴ちゃんの言う通りかもね。じゃあ此処は、お言葉に甘えて、もぉ全部忘れてそうさせて貰うよ。ありがとう真琴ちゃん。格好良いよ」

「うぉ!!オマエ、なんちゅう可愛い笑顔をしやがるんだよ」

「へっ?」

「さっきまでの暗い顔とのギャップが有り過ぎて反則だぞ、それ」

「そっ、そう……なんだ。初めて知ったよ」


ふ~~~ん、これは良い事を聞いちゃったね。

以前、真琴ちゃんが、欲豚ネェさんにギャップの説明をした事があったけど、口で説明するのと、自身が体験するのとでは大違いで、自分じゃ、そう言うのって解り辛いんだよね。


なるほど。

自分で体験して初めて解ったけど……こう言う露骨な効果があるんだ。


私……相当、性悪の悪女だから、そういうの理解したらドンドンと自分に取り入れていくよ。


怖い女なんだよぉ。



「ホント、オマエって変な奴だな」

「ふふっ、変な奴で、ごめんね。……あぁそう言えばさぁ。真琴ちゃん、お腹空いてない?此処に来た時間って夕方位だったけど、夕食まだでしょ」

「あぁ、まぁ、そう言われれば、多少は小腹が空いてるな」

「そっか。じゃあ、なんか作ってあげようか?」


早速だけど、私に出来る事から始めるよ。


もぉご飯を作るのぐらいなら、全然余裕だもんね♪


寧ろ、得意分野ですよ。



「オマエが?……オイオイ、先に言って置くがなぁ。こう見えて俺は、結構なグルメな奴なんだぞ。奈緒飯の常連だから、早々に美味いとは言わないぞ」

「そっか。じゃあ、此処は1つ。お試しで、妹の眞子飯の方も堪能あれ」


1人暮らしをしてからと言うもの。

暇さえあれば『崇秀のレシピ』を、毎日作り続けたからね。

しかも、そこから色々な料理の本を読んで、様々なバリエーションも加えて行ってるからね。


実は、結構な腕前だよ。


特に……引き篭もりだった4月の上旬~6月の中旬までの時期は無駄に時間が有ったから、料理の研究に没頭してた時期があるからね。


そこそこは満足して貰える味は作れると思うよ。



「なんだ?豪い自信だな」

「そりゃあそうだよ。私の料理の腕は、奈緒ネェと、崇秀直伝だからね。ちょっとぐらい覚悟した方が良いよ」

「……マジかよ。……つぅか、あの馬鹿!!料理まで作れるのかよ!!」

「そうなんだよね。崇秀は料理を作らせても完璧。プロが舌鼓を打つ程の美味しさだからね。ハンパじゃないよ」

「くそぉ~~~、あの欲望の塊め……あの馬鹿だけは、信じられねぇな」

「ふふっ……だよね」


超ウルトラ級の化物だからね。


私みたいな常人じゃ、理解に苦しむだけですよ。


でも……ヤッパリ私は、そんな崇秀が好き。


この気持ちだけは……ヤッパリ、どうやっても抑えられないや。


***


 ……こうして、いつも買い物に行く、近くのスーパーに出向いて行った。

勿論、真琴ちゃんは、なにも言わなくても『荷物持ち』に付いて来てくれる。

その上、此処に来る前に、銀行からお金を下ろして来てたのか、材料の代金までサッと全部支払ってくれた。


うぅ……思った以上に、さり気なく、こう言う事をしてたんだね。

無意識でこんな事をされたら、そりゃあ女の子だったら好きに成っちゃうかもね。


しかしまぁ怖いね、無意識の人って。


***


 ……それで帰宅後。

私は、2件ほど『あるところ』に電話を入れてから、台所に向かったんだけど。

一件目は、勿論、真琴ちゃんの帰還を一番待ち侘びてくれてる、奈緒ネェ。

まぁでも忙しいのかして、直ぐに留守番電話になってたから、一応、用件だけを入れて置く感じに成っちゃっいました。


人気がある人だけに……スケジュールが厳しいんだろうね。


ホンで、もぅ一件なんだけど、此処は、ご想像にお任せします。


それで、その電話の終了後。

約一時間ほどの調理で済む、比較的、簡単な手料理を、真琴ちゃんに振舞ってみた。


まぁそうは言ってもですね。

師匠達の足元にも遠く及びませんが、それなりには美味しいと思うよ。


……多分だけど。



「くあぁ~~~!!なんだよこれ!!言うだけの事は有って、マジ美味いな!!絶品だよ絶品」

「そぉ?そんな大した事ないんだけどね。満足して貰えたら嬉しいよ」


あら、好反応。


それにこうやって一杯食べてくれるのって、なんか凄い嬉しいもんですね。

女の子がニコニコしながら、食事をしている男の人の姿を見てる気持ちが良く解るね。


これって、見てて爽快なもんだね。



「いや、お世辞抜きにマジで美味いって!!オマエさぁ。これなら直ぐにでも、嫁に行けるぞ」


……嫁ですかぁ。


あぁ……それが本当に現実だったら、どれだけ良かっただろうね。


崇秀との甘い結婚生活……したかったなぁ。


でも、多分、私、一生、独り身ままで終わって行くんだよ。

さっき自分で考えてて、崇秀が無理してる事が解ったからね。


そんな事を大好きな人には、強要出来無いよ……


……儚い夢でした。



「あのさぁ。誰の嫁に行けって言うのよ?こんな私なんて、誰も要らないっての」

「オマエなぁ……もぉ、どこまで自覚ねぇんだよ?」

「なんの自覚?自覚する様な事なんか、なにも無いけど」

「あ~~~ほぉ~~~かぁ~~~!!幾ら中身が腐っててもなぁ。それだけの見た目と、これだけの料理の腕が有れば、こぞって男共は寄って来るわ!!ドンだけ自信がねぇんだよ?」

「あぁ、まぁ、全体的に言えば、自信が無い訳じゃないんだけどね。まぁ、その他諸々と事情が有ってね」

「なんだよそれ?まだなんか蟠ってやがるのか?」


言えないっての。

これを聞いたら、多分、自分を疑って立ち直れなくなるよ。


だって私は……



「まぁまぁ、それを聞くのは野暮ってもんだよ。なんせ、人には、絶対に誰にも言えない事情ってのもあるからね。これバッカリは、真琴ちゃんが気にする事じゃないんだよ」

「そぉかぁ?まぁ、それなら別に、深くは追求はしねぇけどよぉ」

「あぁ、うん。ありがとう」

「けどな。オマエは間違っても、性格が腐ってるなんて事はねぇからな。此処で変に悩むなよな。それでもまだ悩む様だったら、幾らでも、俺に打ち明けてくれよ。……腹違いとは言え兄弟なんだからよ。相談に乗るしよ」


格好の良い事を言っちゃって。


もぉ……嬉しいじゃない。


でも、そんな天然で、無駄に格好付け野郎には、ちょっとだけ意地悪してやろ。


だってさぁ。

こうもズッとやられっ放しってのも口惜しいしさ。

多分、真琴ちゃんの性格から言って、別に堅苦しい関係を、私に求めてるんじゃないと思うんだよね。

どちらかと言えば、ステラさんみたいな、なんでも言い合える関係が一番好ましいものだと思う。


だから私は、そこを目指すべきだしね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


なんだか早くも良い関係が構築されてきましたね(笑)

まぁ、倉津君は、元々女性が苦しんでる姿を見るのが嫌いですし。

それが腹違いという設定とは言え、姉弟ともなれば尚更なんでしょうね。

(一応、眞子の誕生日の方が早いっと言う設定なので姉とさせて頂いてます)


さてさて、そんな今現在の2人なのですが。

どうやら眞子は、奈緒さん以外の誰かにも連絡を入れた模様なのですが。

一体、誰に連絡をしたのでしょうか?


次回は、その辺りの事情を書いて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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