880 とうとう奴が帰って来た!!
自分の行動が、他人に色々な迷惑を掛けている事を自覚し。
そして、それが切欠と成って、自分の不甲斐なさに泣き続ける眞子。
そんな絶望に叩き落とされている眞子に、優しく声を掛けてくれる人物が……
***
「『!!』えっ?……ぐすっ、ぐすっ、そっ、その声は……まっ、まさか……」
「オッ、オイ、だっ、誰だかシラネェけどよぉ。そんな泣くなよ。なにがあったかまでは知らねぇけどな。人間なんて生きてりゃ、良い事もありゃ、悪い事もあんだからさぁ。そんなに気にすんなよ」
「まっ、真琴ちゃんなの?……その声は、真琴ちゃんで間違いないよね!!」
「はい?……誰、オマエ?ひょっとして俺の知り合い?」
あぁ……神様!!
神様ありがとうございます!!
真菜を……真菜だけは救ってくださるんですね……
ありがっ……ありがとうございます!!
『バタン!!』
「真琴ちゃん!!」
「ブッ!!ってなんだ?……ってか、オマエ!!誰だか知らねぇけど!!なんで裸なんだよ!!つぅか、ホント誰だよ!!……つぅか、胸デカ!!」
ごっ、ごめんね!!
変に胸がデカクて気持ち悪いだろうけど、今だけは、そんな事も許して!!
こんな気持ち悪い胸をぶら下げてる奴に抱き付かれて、不快な思いをしてるだろうけど、今は許して!!
おっ……お帰りなさい!!
「お帰り真琴ちゃん!!逢いたかったよぉ!!こんなに、こんなに嬉しい事はないよ!!」
「いや!!つぅか、ホント誰?つぅか、頼むから服着ろ!!誰かに見られたら誤解されんだろ!!」
「だって……だって……うわ~~~ん!!」
「オイオイオイオイ、なんかシラネェけど泣くなぁ!!泣くなつぅの!!タダでさえ悪い俺の世間体が、余計に悪くなんだろ!!」
「ごめんなさい。ごめんなさい。……お願いだから、ちょっとの間だけ、こうさせてて……ごめんなさい……」
「オイオイ、ホントなんなんだよ……これ?」
ごめんなさい……
でも、お帰りなさい……
本当の本当に、お帰りなさい……
***
……取り乱して、すみません。
幾らなんでも、イキナリ裸で飛び出して行っちゃ……ダメだよね。
真琴ちゃんにとったら、私は、何所の誰かも解らない様な初対面の人間だし、私みたいな気持ちの悪い女に、イキナリ泣きながら抱きつかれたら……心底気持ち悪いよね。
ドン引きだよね。
ごめんね。
……ってな訳でございまして『チャポピン』って、急いで風呂に入って。
気持ちが落ち着かないまま、そわそわしながらも、一応、綺麗に身嗜みを整えて出てきました。
お恥ずかしい限りです。
「あっ……あの、真琴ちゃん。さっきは、急に抱きついたりして、ごめんね。ビックリしたよね?」
「うん?……あぁ、俺は別に良いけどよぉ。オマエの方こそ大丈夫なのか?なんかブツブツ言いながら、豪く泣いてたみたいだけどよぉ。ホントに大丈夫か?」
あぁ……なるほどねぇ。
自分がやってる時には、一切、気付かなかったけど。
真琴ちゃんって、ぶっきら棒ではあるけど、こう言う事を自然に言えるから女子にモテるんだね。
なるほどねぇ。
他人に迷惑ばっかり掛けてる今の私とは大違いだ。
私がこんな事を言うのも、なんなんだけど。
『そりゃあモテるわ』
「あぁ、うん。私は大丈夫なんだけど。真琴ちゃんの方こそ気分を害したんじゃない?」
「あぁ、いや、オマエが誰かは知らねぇけどよぉ。此処に居るって事は、奈緒さんの知り合いなんだろ。だったら別に、そこまでは気にはしてねぇけどよぉ。……それによぉ。オマエって、オッパイでかくて、柔らかかったし」
そう言う、女の子にとっては恥ずかしい事は言わなくて良いの。
朴念仁……死ね!!
……嘘ですよ。
真菜の為に帰って来てくれて、ありがとう。
だから私が出来る事なら、一生懸命なんでもしてあげるからね。
お互いが、本当は自分同士だけど、これから良い関係を構築して行こうね。
「あぁ、それってさぁ。なんて言って良いの?此処は『ありがとう』って言うべきなのかなぁ?」
「あぁ悪ぃ。また余計な事を言っちまったな」
「全然全然。堅い胸だなぁって言われるよりは、全然OKだよ」
「ははっ……なんだそりゃ?オッパイ見られたって言うのに、変な女だなオマエ」
「ははっ……よく言われる」
しかし、それにしてもなんだね。
なんだろうね。
まずにしてなんだけど、此処まで違和感なく真琴ちゃんと喋ってる自分が怖い。
普通なら、元自分を眼の前にしてる訳だから、もっと言い様の無い酷い嫌悪感を感じる、っと思ってたんだけど、今の所……そう言うのが、なにもないね。
私はヤッパリ、完全に頭が狂っちゃってるんだろうか?
……って言うか、知らない間に、心の底まで眞子に成ってたみたい。
そっか。
そっか、そっか。
「ところでよぉ。オマエが、奈緒さんの知り合いだって言うのは解ってるにしても。今更こんな事を聞くのもなんなんだけどな。……オマエ、誰?」
「あぁっと、私は、向井眞子。奈緒ネェの妹だね」
「ブッ!!……って事はなにか?俺は、奈緒さんの妹のオッパイを見ちまったって訳か?」
「あぁ、まぁそう言う事になるかな?」
「いやいやいやいや、ちょっと待て!!ちょっと待て!!今、冷静に思ったんだが。奈緒さんに妹は居なかった筈なんだが。……違ったか?」
「あぁっとね。本当の血縁じゃないよ。諸事情があって、私、向井家の養子にして貰ったんだけど。……って言うか、真琴ちゃん。ひょっとして私の事、本気で憶えてないの?」
「へっ?いや……マジで誰?記憶にございませんが」
それは、知らなくて当たり前なんですけどね。
知ってたら、知ってたで、またややこしいし。
「そうなんだ」
「いや、ホントに悪ィんだけどな。全然記憶に無いわ」
「そっか。いやまぁ、事情があるとは言え、奈緒ネェの妹って言うのは、本当なんだけどね。……ってか、真琴ちゃん」
「うん?なんだよ?」
「あのさぁ。それ以前に、真琴ちゃんって、今までどこに居たの?」
真琴ちゃんの疑問を、先に解決してあげたいんだけど。
それにはまず、この真琴ちゃんが持ってる記憶の現状を把握してから喋らないとね。
此処で齟齬が出ちゃうと、後々、余計な事が増えて大問題になるからね。
故に此処での確認だけは、絶対に怠れないんだよね。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
519話から始まったTS編。
話数にして361話ぶりに、とうとう『倉津君が復活』しましたぁ♪
(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
パチパチパチパチ!!
これで真菜ちゃんの件だけは一安心ですね♪
……っとは言え。
此処から解決しなきゃいけない問題が山積みなのも事実。
その辺を眞子は上手く説明し、まずは今後の倉津君が生きて行く上で支障がないように出来るのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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