874 とある用事

 2回に渡って眞子の過去に起こった出来事と、今現在の状況を紹介して来たのですが……さてさて、その後は、どうなるのか?


***


 ……っとまぁ、そんな平穏とは縁遠い生活を、毎日の様に送っていた11月の2日の事。

いつも通り、同居している飯綱ちゃんと一緒に学校に行って。

いつも通り、学校の授業も受けずに、自分の勉強をして。

授業の合間である休み時間なんかには、飯綱ちゃんと屋上で、毎回バスケの練習をしていると言う学園生活を送って来た訳なんですがね。


この後も、いつも通り、休み時間終了ギリギリに屋上から教室に戻って来て、次の勉強の準備をして居たら、何故か、隣のクラスである3-Bの教室が妙に騒がしい。


一瞬『何事かなぁ?』っとは思ったんだけど。

隣の騒がしい声を聞いた感じでは。

山中君の五月蝿いだけの関西弁が教室内に響いてたり。

カジ君&グチ君の無駄にエキサイティングした声が聞こえてきたり。

3B-GUILDの女子の面々が、矢鱈と喜んだ様な声を上げていた。


それに、その声達に交じって素直ちゃんの矢鱈とはしゃいだ声が大きく聞こえてきていた。


まぁ、この様子から察するに、恐らく、この時期の盛り上がる事と言えば、明日の11月3日に開催される私達3年の最後の文化祭の盛り上がりだと思われる。


……ってか、受験を控えた今の時期だと、それ位しか思い付く物がないしね。


でもさぁ。

仮にそうだとしても、盛り上がってるのは、自分のクラスじゃない3-Bの話。

私自身は、特別、それになにか興味の引く様な感じでもなかったので、この騒ぎを完全にスルーする事にした。


それにしても……3-Bは、相も変らず騒がしいなぁ。

幾らウチの学校の文化祭が普通よりおかしな文化祭だとは言え、中学校の文化祭如きで、そんなに盛り上がらなくてもいいのにね。

もぅ直ぐ授業なんだから、ちょっとは静かにしなさいって言うの。


……って言っても。

今日は、この午前の授業が終われば、午後からの授業は一時間だけ有って、それ以降は無し。

明日が文化祭当日なんで、その午後からの空き時間を利用して、文化祭の最終準備をする事が学校から許されているからね。


……けど、ウチのクラスの3-Cは、3-Bの拡張される『アイドル衣装喫茶』なるものに教室を貸す予定になってるから、文化祭での出し物は一切なにも無し。

クラス全員の総意で『受験により自由参加が許されてる3年が、文化祭なんかに構ってる暇は無い』との意見が一致。


『出し物無し』っで、この件はアッサリ解決している。

3-Cの生徒は『正直、受験生が、学校の文化祭に付き合ってらんない』とのドライな意見が提案されての事だ。


加えてウチの3-Cのクラスに、3-Bからの荷物が大量に搬入されるみたいなんで、午後からは教室が完全に使えなくなる。

故に午後1時間の授業終了後からは、3-Bの文化祭準備の邪魔になっちゃイケナイから、私の受け持つ補習授業も無し。


学校に用事がない以上、特になにもやらずにサッサと下校しちゃいましょう。



まぁまぁ、そのまま下校すると言いましても。

この後、少しだけある所に寄り道をして行かなきゃいけないんだけど。

それ以外は、今日の予定無しなので、早く帰って夕飯の支度でもしましょうかね♪


飯綱ちゃん……今日はなにが食べたいかな?


***


 ……そんな事を考えながらも、さっき言ってた『私の用事を済ませなければイケナイ』のも事実。

そして、そんな私が、何処に向かっているのかと申しますと……


来年から母校になるであろう予定の蓮田高校の近くの繁華街の一角にある、如何にも怪しげなビル。


此処が、当面の目的地。


けど、私の用事のある場所って言うのは、その怪しげなビルの地下。

なにやら怪しげなチラシが大量に張られた薄暗い階段の下に、その最終目的地が有る。


私は、そこに入る為に重厚な扉を開いた。


『キィイイィ~~~』


中に入ると、そこの店員らしき男性は、なにをするのも面倒臭いのか。

私が入って来たと言うのにも拘らず、特になにか対応をしようともせず、煙草を吹かしながら新聞を読んでいる。


しかも、その煙草の煙が充満してるし。


ははっ……相変わらず、ヤル気の無い態度だなぁ。



もぉ、この人だけは殴っちゃおうかなぁ……



「こんにちわ」

「はいよぉ~、いらっしゃ~い。プハァ~~~~」


うん……そこまで寸分違わず、同じ態度を取るかねぇ?


マジで殴るよ……



「あの、遠藤康弘さんで予約を取ってると思うのですが」

「あぁ、遠藤さん所の子か」

「あっ、はい。……それで遠藤さんは、どちらに居られますか?」

「とっくに来てるよ。先にスタジオに入ってやってるみたいだから、行ってみれば」


煙草を吹かしたままの体勢で、指だけでスタジオの扉を指す。


素っ気無い態度まで同じって……ホント、変わんない人だなぁ。



「どうも」

「ところで、遠藤さんの所の子」

「あぁ、はい。なんですか?」

「君さぁ。素人さんなんだったら、あんまり機材には触らない様にしてくれよな。汚れたら掃除しなくちゃいけないし。機材でも壊されたら、それこそ面倒だ」

「あっ、はい……」


ぷぷっ……此処まで同じだと笑っちゃうね。

ってか、寧ろ、喋るのが面倒で、なんかの音声レコーダーを再生してるの?


もぉ大笑いしそうだよ、この人。


なにも進歩してないよ。


店……大丈夫なの国見さん?


……って言うかね。

憶えてるかなぁ?

此処ね、奈緒ネェが1年程前に所属していたバンド『JAZZ-R』の国見さんが所有するスタジオ(序章6話参照)


真琴ちゃんが、この店員さんにガンギレしたスタジオだね。


それでね。

昨日、突然、アメリカライブに行く前にベースの件でお世話になった遠藤さんから『逢って聞きたい事が有るんだけど。少し時間を取って貰えないかな?』っとの連絡が入ったので、急遽此処で待ち合わせをしている訳です。


でも、遠藤さんとは余り関わりが無いから、よく解らないんだけど『私に聞きたい事』って、なんだろうね?


まぁまぁ、余計な事を考えてても仕方が無いので、ダメ店員さんが指したスタジオに入っていく。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


……にしても。

眞子の言う用事が、まさか『遠藤さんと会う約束』だったとは意外でしたね。


それにしても本人が言う通り、あまり眞子とは縁が少ない筈の遠藤さんが、一体、眞子にどの様な用事があるのでしょうか?


そぉ……この出会いには、眞子が忘れていた重大な問題が隠されていたんです。


次回は、その重大な問題に触れて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


因みにヒントは【眞子がTSしてしまったからこそ起こっている問題】です(笑)

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