脳みそチャレンジの賞品

篝火

やってはいけない──

 私は何処にも居ない……


 私は誰だろう……


 何処までも続く人生、私は『死』という名のゴールを目指している。


 『生』を授かってから、何億回目の疑問……


 生きる意味とは何なのか……


 死ぬ意味とは何なのか……


 わからないまま、この歳まで生きてきた。


 「『脳みそチャレンジ』をしてみませんか?」


 男とも女とも思われる声が、何処からともなく言われた言葉。


「『脳みそチャレンジ』とは何なのでしょう?」


 私は問う。


「簡単な事です、『脳みそ』を入れ替えてどうなるのかのチャレンジですよww」


 男とも女とも思われる声が、可笑しそうに答える。


「お願いします」


 私は、間髪入れずに答えた。


「では、始めますねww」


 その言葉と共に私の意識は霧散した……


---------------------------


 次に目を覚ましたとき、私は自身の身体に違和感を覚えた。


「お目覚めになりましたねww」


 また、あの声が聞こえる。


「ここは、何処でしょうか?」


 周囲を見渡しても、先程までいた白い部屋とは違い、そこは黒い部屋であった。


「ここは、ⅹⅹⅹですよww」


 上手く言葉が聞き取れない。


「アナタが『脳みそチャレンジ』で手に入れた新たな生の終着点、そして、──」


「──!」


 私は、耳を疑った。


「では、この生を頑張ってくださいねww」


 そして、私は新たな案内人としての終わらない  生  永劫の孤独の管理人になった。


               (完)

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