第4話 穏やかな旅路……?

これは男達三人が隣の街に向かっている途中の出来事だった。


「ねぇ、おとくん大丈夫?」 

「おと……大丈夫?熱……ある!」

男が熱を出して街角で倒れてしまったのである。意識はあるものの動けない状態になってしまったのでミチルとヒカルは決意をした。こうなったら二人で看病するしかない!二人はお互いの顔を見て大きく頷いた。


「おとくん!布濡らして来た、頭にのせるね」

男の頭を冷やすものを用意しに行ってきたミチルが帰ってきた。

男は二人が看病をすることをかなり不安に思っていたが、ミチルの様子に安心した次の瞬間、男は固まった。

布がしっかり絞れておらず顔がびしょ濡れになったのである。しかし、心配そうに見つめるミチルの顔に何も言えずにびしょ濡れの顔で、男は笑ってみせた。


夜になり、男の熱も大分下がってきた。元々、体が強い男は回復力も高かった。そんな中、疲れてしまったようですぐに眠ったミチルとは対象的にヒカルは眠れずにいた。男は眠らないヒカルを心配して声をかけた。

「眠れないのかい?」

「うん、僕、寝てるとき……おと……死んじゃうかも……」

「そんな簡単に死なないよ、心配してくれてありがとよ」

ヒカルの心配を嬉しく思いながらも照れくさくて、男はそっぽを向いてしまう。しかし、このまま寝ないでいると今度はヒカルが体調をくずしてしまう。

かくなる上は……

「ヒカルが寝たらオレの体調も良くなるよ」

「ほんと……?」

「ほんとだよ」

ヒカルは笑顔でおやすみといい、すぐに眠りについた。


今日は一日疲れたなと男は思った。しかし、それと同時に少し嬉しくもあった。誰かに心配をされたのは本当に久しぶりだ。男は今まで一人で生きてきた、これからも一人でいいと思っている。でも、隣に誰かがいてくれるこの時間が男は嫌いじゃなかった。ミチルの父親を見つけるまでの旅、見つけてしまえば、二人とは二度と会うことはなくなる。男は悪人だ、ずっと二人と一緒には居られない。それが一番良い道のはずなのにどうして胸が痛いのだろうか。

「熱のせいでバカなことを考えてしまったね……」

そうつぶやき男は眠りについた。


次の日になると男は完全に復活していた。

「良かったわ、心配したんだからね!」

「おと………いきてる……よかった」

「二人ともありがとな、よしそろそろ出発するかい?」

「そうね」

「うん……」

二人と過ごすうちに、だんだんと悪人だということを忘れそうになる男だった。


そして今、三人は指輪を持っているという金持ちのもとにたどり着いた。

果たしてミチルの父親は見つかるのだろうか。

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