召喚された異世界で(知らない奴が)魔神を退治したら日本に送り返された俺。向こうでは役立たずだった祝福、『異世界商人』で日本初のダンジョン攻略者になる!
第003話 【おざなり……な感じのダンジョン探索!】
第003話 【おざなり……な感じのダンジョン探索!】
九月に入り、学園生活に戻った俺。もちろん夏休みボケなんてモノとは無縁だ。
何故なら通常時よりもダンジョンに潜ってたから。英才教育待ったなしである。
そして通常時と十常侍って何となく似てると思いました
まぁ一番似てるのは不謹慎とおちん(ry
今日は学園からのバスで向かう、久しぶりのダンジョン探索の日(つまり木曜日)なのだが……。
アテナ以外の女性陣にも頼まれ、久方ぶりのパーティプレイとなっている。
「……うん、前はトオルが居たから男子生徒のヘイトは全部あいつに向かってたけど、こうして女子ばっかりのグループに一人で参加することになると、他の野郎どもからの嫉妬と怨嗟の視線がとても心地良い!
思わず高笑いしそうなほどの優越感、最高だな!」
「あなたって本当によくわからないメンタルの持ち主ね……。
今日はわがままを聞いてもらってありがとう。
一応私たちも、夏休み中に何度かはダンジョンに入ってたのだけれど、なかなかメンバー全員が揃うことが無くて……。
そちらの彼なんて何度も誘ったけれど、結局一度も参加していなかったし」
ジトッとした瞳でアテナを睨めつける静たん。
うん、美人のそういう顔って色気があって良いよね!(ただし自分に向けられていない時に限る)
「僕は彼じゃなくて彼女なんだけどね?
そもそも明石さんとは連絡先の交換もしていな」
『ムー……ムー……ムー……』
「そうね、久堂くんのスマホに連絡しているのに、アテナさんのスマホが鳴るはずなんて無いものね?」
いや、そんな『どうしよう?』みたいな顔でこっち見られても……。
夏休み中に電話番号くらい替えとけや!くらいしか言えないし。
まぁ静たんは転校初日から気づいてたみたいだし?今さらであるのだが、アテナは頑なに認めたくないらしい。
さっそく受付で装備品を――俺は前回と同じ様に、いつもの細剣ではなく手甲剣のセットをレンタルして――身につけてからダンジョン入り口の集合場所へと向かう。
そこで待っていたのはもちろんアテナ、静たん、ティアラちゃん、秋吉、安倍さんの五人。
人数は問題ないんだけど相変わらずの全員前衛職、全員突撃装備なんだよなぁ。
こちらもいつも通りゲートを潜り、一階層から近くの階段を目指す。
目的地は当然二階層である。
「ユウギリくん、あなた、前回は手を抜いていたのかと思えるほど動きが良くなっているように見えるのだけれど……。
いえ、それだけではなく、久ど……アテナさん?
どうしてあなたまでユウギリくんと同じ方法でスライムを倒していたのかしら?」
「えっ?それは……。
何となく見てたら僕も出来るような気がしたから真似してみた?」
「そう、夏休み中に二人でダンジョンデートをしていたのね」
「どうしてわかったのさ!?」
「……本当にしていたのね?」
アテナ……そんな昭和チックな、初歩的な引っ掛けに引っかかるなよ……。
こちらに向けられる三人からの疑惑の瞳は、完全に浮気男を見るそれである。
「てか、安倍さん。今日は朝から妙に元気ないみたいだけど、どうかしたの?
いつもならもっとこう体全体がバルンバルンしてるのに」
「普段からそんなことはしてないですけどね?
いえ、別に……ただ、久しぶりなので少し緊張しているのかもですね」
「ならいいけど……体調が悪いとかなら遠慮なく言ってね?
出口までお姫様抱っこ……は、無理でも、おんぶくらいなら出来るから」
「ユウくん、私、体調不良……」
「ティアラちゃんはもうおんぶしたでしょ!」
安倍さん、ほとんど接点のない俺が気付くぐらいには表情が暗いというか思い詰めてる雰囲気なんだけど……。
本人が大丈夫と言うんだから、それ以上問い続けるのもストーカーチックな迷惑行為でしか無いので気をかけておく程度でとどめることに。
そんな、喉の小骨くらいの心配事がありながらも到着したのは二階層。
前回とは違い、俺以外の面々もそれなりに声を掛け合い、無難にコボルト、そして洞窟狼を捌いていく。
「うん、見た感じ前みたいにアワアワしたところもないし、それほどの問題は無いんじゃない?」
「『それほどの問題』は無くとも、多少の問題はあるんだ?」
「そりゃあるに決まってるじゃん。
相変わらず連携がイマイチだし、何よりも『前衛後衛』がなってないんだから。
まぁ前衛後衛で役割を分けるのは現状では不可能だから、どうしようもなかったりするんだけどさ。
フレンドリーファイア上等で飛び道具を使うのはデメリットでしかないし。
とっとと全員で、魔法スキルとか回復スキルとか覚えて?」
「ユウくん……魔法はともかく、回復スキルは世界でもユウくんしか使えない……」
「あんたじゃあるまいし、普通は迷宮科の一学年でスキルなんて覚えるような学生はそうそういないのよっ!
そもそも、あんたはどうして魔法なんて使えるのよ?
なんかこう、佐藤さんとか斉藤さんの家的な裏ワザとか知ってるなら私にも教えなさいよ!」
「たぶんそれ伊藤さんだよな?
えー、隣の席の人に……いや、新学期で席替えがあったから、もう隣の席の人じゃないんだった。
えっ?じゃあこれから隣の席の人のことはどう呼べばいいんだ!?」
「普通に名前で呼べばいいだけでしょ!?」
「でも名前を呼んで懐かれても困るし……」
『一緒に帰って友達に噂とかされると恥ずかしいし……』のイントネーションで伝える俺。
うん、秋吉の目が座ってきたからこれ以上からかうのは控えておこう。
「まぁ……秋吉にだったらマンツーマンでレクチャーしても構わないんだけどな。
騙してエッチな修行とかさせても心が傷まなさそうだし」
「あんた……夜道とダンジョンには気をつけなさいよ?
でも、エッチな修行には少し興味があるから後で説明して」
「前から思ってたけど、秋吉って自称ドSだけど絶対にドMだよな……」
「あなたたち、ここはダンジョンの中だって分かっているのかしら?
取り返しの付かないことになる前に、もう少し緊張感を持ちなさい!」
「ほら、お前のせいで静たんに叱られたじゃねぇか!」
「10:0であんたのせいよっ!」
これでもちゃんと、警戒スキルで魔物の気配が無いことは確認してるんだけどね?スキルレベルもアップしてるから、前よりも遠いところまで気配を察知出来るし。
でも、静たんに説明するとまたややこしい話になりそうなので、素直に反省した態度を取っておく。
通路沿いに奥へ、奥へと進み、昼休憩を交代で取り、前回は相手をすることが無かった『ちょっと強いだけのコボルト(コボルトファイター)』や『ちょっと強いだけのコボルト(コボルトリーダー)』や『ちょっと強いだけのコボルト(ホブコボルト)』とも戦ってみたが、
「ちょっと呼び方が変わったところでコボはコボなんだよなぁ」
「いや、他のはともかく、ホブコボルトは僕たちでは結構ヤバそうだったんだけど?
何なのさあの全身バネの様な筋肉……もうあれ、コボルトじゃなくて普通に狼男じゃない?」
「でも、ユウくんは一撃で倒した……」
「あなた、斬りかかる時『シュニット!』とか叫んでたわよね?
アレって斬撃とかスラッシュと呼ばれているスキル……でいいのよね?
でも、どうして日本語でも英語でもなくドイツ語だったのかしら?
きっと何か特別な意味があるのよね?」
「しゅ、しゅ、しゅ、シュニットwww」
何となくドイツ語ってかっこええやん?と、思っただけだから!ただの気の迷いだから!
いや、一度くらいはほら、強そうな相手でスキルの性能確認をしておきたかったんだよ。結果的にはスキルを使わなくても一撃で倒せる相手だったから何の確認にもなってなかったけど……。
だから細かい考察は止めるように。秋吉は後でしばく!
そして、ティアラちゃん。
俺は別に落ち込んでないから、ぽすっと肩を叩いて自愛に満ちた表情で『どんまい……』とか言うのもやめろ。
その後、モンスターハウス(魔物が数十匹集まっている、ダンジョンの危険地帯)を発見したので挑発スキルを使いながら吶喊、全魔物を一人で殲滅することで心の平穏を取り戻した俺だった。
―・―・―・―・―
おざなりダンジョン……昔、ファミ通か、コンプティークか、ポプコムか……ゲーム系の雑誌で見たような違ったような?
読んだことはないけど、なんとなくタイトルが記憶に残ってるマンガです(笑)
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