第028話 【異世界商店はまとめてランクアップした!!】

 何となく六条さんがふわふわした感じになってるけど気にせずそのまま話を進める

ことに。


 だって大量の現金収入があったんだからな!

 ……もちろん千三百萬から税金で三割引かれたが、それでも九百萬超の臨時収入である!

 甘えるように六条さんにお願いして、六条さん名義でコッソリと、大量の『極小(一型)魔石』を融通してもらうことに成功!

 てか、異世界商店に『小(二型)魔石』も納品してみたところ、『極小魔石十個分』になることが分かったんだけどさ。


 でもほら、買い値が極小魔石の四百円に対して、少魔石は五千円だから十個分以上のお値段になっちゃうんだよね……。

 てことで、今回は極小魔石だけを仕入れさせてもらうことにしたんだ。

 用意してもらった極小魔石の数は『三万個』。


 小売りで買うと一つ四百円なので、最初は二万個(八百萬円)でお願いしたんだけどね?

 六条さん経由でのまとめ買いということで、迷宮事務所の卸値である一つ三百円で三万個買えたという!

 ……右から左で今回の収入が殆んど消えたけど、これも先行投資だから!

 前回も似たようなこと言ってたよな、俺。


 もちろん魔石を『ここ(第二会議室)』に持ってきてもらって、いつものように異世界商店に納品する……なんてことをすると目立ちまくるので、現物は家――六条さんのお家経由で俺の家に送ってもらうことに。

 あまり意味のなさそうなワンクッションだけど、やらないよりまマシな……はず!

 約束通りその後、夕食は六条さんオススメの串焼き屋さんで美味しく頂いた。

 てか、今日もバスでは帰らないと伝えたら担任に凄い形相で睨まれた。


「えっと、この後は……どうしましょう?」


「えっ?普通に帰宅しますけど、何か予定でもありましたか?」


「いえ、別に、その……お部屋とか取らなくていいですか?」


 逆に、どうして帰る家があるのに外泊しないといけないんだよ……。


~・~・~・~・~


 勢いあまって購入した、大量の魔石が家に到着したのはそれから三日後。

 到着が早いのは六条さんがすぐに家から転送してくれたらしい。

 ……本人からメールが届いてたから間違いない。

 今後のこともあるし、ちゃんと送料とか渡しておいたほうがいいんだろうけど……また『二人の財布はさくらんぼ』とか意味の解らないことを言われそうだしなぁ。


「まぁそんなことより、大切なのは異世界商店の拡張なんだけどな!」


 段ボール箱で四十箱という、俺の引っ越し荷物を軽く超える量の極小魔石。

 100個ワンセットの20㎝×20㎝でパッケージングされてるから良かったけどさ。

 これ、バラだったら異世界商店に入れるだけでも大惨事だっただろ……。


 てことで、さっそく魔石の納品開始である!

 まずは2000個追加で『行商人2』が『行商人3』にクラスアップ!

 今回増えたのは、『オーダー:アメリア装飾品店』。

 武器、防具に続いてアクセサリーの追加か。


 これ、装飾品って何らかの効果があるマジックアイテムなのかな?

 まさか、ただの指輪とか首飾りじゃないよね?

 詳しくは後で確認するとして、今日はどんどんいくよー!

 相変わらずクラスアップの時はよく分からないテンションの俺である。


 追加で、魔石をさらに2000個投入!今回、弾はまだまだあるからな!


「お、行商人3から『隊商1』に変化した!

 ……そして次のランクアップが『0000/4000』になった。

 てか、行商人(一人ぼっち)が隊商(キャラバン)になったところで、やってることは行商のままだから、それほどは変わんない……おおっ!?

 トップ画面に『財布』に続いて『荷台:000/100㎏』ってのが追加されてる!」


 『荷台』って字面と、隣に表示されてる重量から想像すると、みんな大好き『インベントリ』みたいな能力に見えるんだけど?

 もちろんこちらも細かい確認は後にして、商品の追加であるが。

 今回も追加されたのは『オーダー』。名前は『鉱夫コヴァルド』。

 うん、鉱夫さんらしいし?多分某かの鉱物素材でも買えるんだろう、きっと。知らんけど。


 てか、ドヴォルザーク親方と話した(あれは話したでいいのか?)時に、素材の持ち込みがーとか言ってたもんな。

 アレってダンジョンから拾ってこいって意味だと思ってたんだけど、異世界商店内で取引が完結出来るのかよ……。

 そして隊商のランクアップで得らるのは全部素材の仕入先だったらしく、


 ランク2で『オーダー:狩人ノイン』。

 ランク3で『オーダー:お針子ラーネ』。

 ランク4で『オーダー:宝石商マギ』。


「追加された商品が地味……圧倒的……地味っ!

 いや、異世界から直接素材を仕入れられるんだから、物凄い役に立つ能力だとは分かってるんだけどさ。

 もっとこう、ほら!ゲームの武器屋画面みたいな?

 『聖剣エクスカリバー』的な?『邪聖剣ネク○マンサー』的な?

 厨二心をくすぐる商品名の品物が並んでいくモノだと思うじゃん?」


 もちろん今の『素材を持ち込んで好きなものに加工してもらう』システムの方が使い勝手が圧倒的に良いのは分かってるんだけどさ……。

 あ、隊商のランクアップに伴い、荷台も『100㎏→300㎏→500㎏→1000㎏』と成長してるみたいで地味に嬉しかったり。

 そして、『隊商4』からさらに魔石を4000個追加した結果、『隊商』が『商店』に変化。


「よし!やっと……これでやっと俺も店舗持ちに……。

 まぁバーチャル店舗だから異世界で店を構えたあの瞬間ほどの喜びは無いんだけどな。

 さらに次回のランクアップは『0000/8000』だし」


 ここまでで魔石を20000個も使っちゃったから、残りは既に10000個だからね?

 てことで、最後の確認はまとめてのお楽しみってことで、最後に8000個、追加で突っ込んで……本日は『商店2』で打ち止め。

 そして、商店で追加された商品はと言えば!

 大丈夫だよね?そろそろ取引先じゃなくて新しい商品が追加されてるよね?


「おお!やっと中級が来た!

 それも中級のポーション類と、中級のジョブ転職スクロールの二種類が増えてるっ!

 ……まぁ両方ともに気軽にどこかに出せるようなモノじゃないんだけどな」


 特に転職スクロールに関しては、自分が圧倒的優位に立てるだけ能力値が成長してからじゃないと、怖くて他人に存在すらも知られたくない代物だからな。


 てか、お値段……。

 いきなり下級の十倍とかさ、さすがに暴利を貪りすぎではないだろうか?

 いや、ステイタスが上がるだけじゃなく、スキルまで増えるんだからお値打ち品ではあるんだけどさ。

 中級治療薬が500個、中級魔法力回復薬も500個、中級回復薬で2000個、そんな中、中級ジョブ転職スクロール……お値段、なんと魔石10000個!

 うん、普通に高すぎだわ……。


 そして下級では売ってなかったお薬の新商品、

 『状態異常回復薬(永続的な魅了や混乱状態の解除が出来る)』と、

 『聖水(俺が秋吉に掛けられたアレではなく、呪いを解くことが出来る本物)』も、

 魔石1000個で追加された。


 さて、新しく追加された商品の確認が終われば、次は新しく追加された『オーダー』も確認。

 まぁこちらはほぼ読んだ通りで、素材の仕入先って感じだったんだけどね?

 でも、仕入れられる品物がさ……。


 例えば鉱夫のコヴァルドさんと取引可能な鉱物。

 異世界の鉱山で採れるんだから、当然異世界の鉱物も含まれるわけで。


「鉄、銅、銀、金なんて、こっちでも存在するモノはもちろんあるけんだけどさ。

 この間六条さんが言ってたミスリル、ヒヒイロカネ、アダマンタイトなんて超レアドロップ扱いの素材も買えるという……」


 ちなみにミスリルもヒヒイロカネもアダマンタイトも一律、1㎏で魔石100000個。つまり買い値は二千萬~四千萬円……なんだけどさ。

 ヒヒイロカネって1gで五十萬って言ってたじゃん?つまり1㎏だと五千万……あれ?大して儲からない……いや、違う、五千萬じゃなくて五億じゃね!?

 下級のお薬の売値が高すぎたから、それでも大した額じゃない気がしてきたけど、お薬はあくまでも六条さんを通した密売しか出来ないからな?

 それなら鉱石を仕入れて『ドロップアイテム』として売るのもアリ……いや、まず魔石100000個の入手が物凄いネックになるか。


 続いて狩人のノイン。入手出来るのは動物と魔物の素材。革とか骨とか牙とかだな。

 地球ではほら、偽ぜ……自分の金稼ぎのために動物を利よ……まぁそんな感じの、声の大きいお友達がいっぱいいるから毛皮とか入手し辛いからね?

 布素材を取り扱っている、お針子のラーネさんと共に、防具や衣類の素材の仕入先としてかなり役立つはず。


 最後に残ったのは宝石商。

 宝石商って名前だけでちょっと胡散臭く感じるのはどうしてだろうか。

 購入できるのはもちろん宝石……なんだけど、ダイヤモンドやルビー、サファイアなどの有名な宝石だけじゃなく、龍眼石とか月光真珠とか聞いたことのないモノも色々と売っているみたいだ。


 もちろんそのままではただの綺麗な石ころなので、アメリア宝飾品店で加工してもらわないとならないんだけど、原石も工賃もなかなかのお値段になるので、鉱物同様、しばらく使うことはなさそう。

 そう、せっかく購入できるモノの幅が広がったけど、圧倒的にお金(と言うか魔石)が足りないのだ!


「まぁ何にしても当分はスライムでジョブレベル上げなんだけどな……。

 どこかにもっと効率のいい狩り場とかあればいいんだけど。

 スライム以上に早く湧いて、それでいて倒しやすい相手なんて絶対にいないだろうし」

 

 ちょっとネトゲ廃人みたいな思考になってきてるような気もしないでもないが、スライムを倒せば倒しただけ能力値が上がるのが分かってるんだから、どんどん上げたいじゃないですか?

 最近は一般生活でもスタミナが増えてた恩恵を受けているからか、体があまり疲れなくなったし、固く閉まった瓶の蓋とかも軽くひねるだけで楽々と開けられる様になったからな!

 間違いなく異世界で十年間頑張ってた時よりも、この数ヶ月での能力値の伸びの方が大きいと実感できているのだ。

 レベルアップ、そしてスキル様々だな!



 ……と、言うようなことを、翌日の水曜日に昼飯を食いながらトオル達と話したんだけどさ。


「……ん?どうしてみんな箸を口元に運んだままで固まってるんだ?」


「えっとさ。……ユウ、ちょっと帰りに家に寄ってもらってもいいかな?」


「えっ?普通に嫌なんだけど?

 ほら、明日に向けて体力の温存とかしておかないといけないし?」


「あなた、いつも疲れるほどダンジョンで頑張ってないわよね?

 大丈夫よ、私も一緒に久堂くんの家に寄らせてもらうから」


「大丈夫要素が何処にもないんだけど?

 ……何?静たんまで俺のことをいぢめようとしてるの?

 別に今日は何もオカシナことは言ってないよな?」


「ユウくん……何もおかしくないと思ってるところが……おかしいと気づくべき」


 いや、だから一体何がおかしいっていうんだよ……?

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