第017話 【探索者ランクと異世界商店】
担任の許可も取れたので、晴れてソロでのダンジョン入場許可を手に入れた俺。
『ただし一階部分に限る』って条件は付いてるけど、俺の目的は極小魔石を集めることなので、数を倒せるスライム以外の相手をするつもりなんて毛頭ないから何の問題もない。
最弱だからか、倒してから『リポップ(再登場)』するのも早いしね?
移動時に走るなどしてもっと頑張れば一日で五百くらいは狩れそうだけど……さすがにそこまで焦るほど追い込まれてはいないので、毎日三百~四百くらい狩り続けること三日間。
「学生さんって、先週いきなり50本もスライム・ローションを納品した生徒さんよね?
それが今週も、いえ、今週は100本超えとか……もしかして他の生徒さんから買ってる?」
「そんなことしても俺が損するだけで何のメリットも無いじゃないですか……」
「それがそうでもないのよね。
えっと、『探索者ランク』……いえ、そもそも学生さんだからまだ正式な探索者登録がされてないんだったわね。
まぁその探索者ランクが上昇する条件に『迷宮事務所に売却したドロップアイテムの数』って言うのがあるのよ。
だからお金持ちだと、初心者ランクって呼ばれるFとかEを簡単にクリアするために、買った品物を納品する人も居るのよね」
「なるほど……って、そもそもその探索者ランクを上げるメリットって何かあるんですか?」
「んー、ランクが高いと異性にモテるわよ?基本的には探索者ランク=収入だからね?
Dランク以上になると複数の配偶者を持つことも許されるようになるし。
学生さんみたいに見た目の悪くない人で、これだけの納品をしてくれる人なら受付嬢に大人気になれると思うわよ?
というわけで今度のお休みにでもお姉さんとデートとかどうかな?」
マジかよ!探索者、日銭を稼げる肉体労働くらいに思ってたけど……そんな夢のある仕事なんだ!?
「ありがとうございます!何となく将来に夢とか希望を持てるようになりました!
あと担任が瞳孔の開いた目でこちらを見つめてるのでデートはまたの機会にでも」
「ふふっ、探索者登録出来るようになるまではまだまだ掛かるけど、それまでに納品したドロップアイテムの数はちゃんと記録されてるからこれからも頑張ってくださいね?」
うん!俺、未来のお嫁さん探しのためにもむっちゃ頑張るよ!
てことで先週の四萬円に続き今週は八萬円の収入!
……金額が増えると税金で取られる三割のデカさがのしかかってくるけど、住民税とか健康保険料などには影響しない収入らしいからなぁ。
探索者、いくら稼いでも他に仕事をしなければ『無収入』扱いらしい。確定申告してない○○○かよ。
今晩はちょっといいお店で一人焼肉だな!
一食で一萬円くらい使ったけどたまの贅沢だから気にしてはいけない。
てか、厚切りの牛タンよりも二ミリくらいにスライスされた牛たんの方が好き!
食後……というか家に帰って風呂上がり。
後は寝るだけの状態でベッドに寝転び異世界商店を確認する俺。
なんたって先週は『プレ・オープン!:露店1・魔石 0038/1000』だったのが今は『プレ・オープン!:露店2・魔石 0112/1000』になってるからな!
プレ・オープンのままだし露店だしでイマイチ成長した気がしねぇ……。
「魔石500個に続いて1000個の納品……。
これ、ジェリー・スライムが湧いてるダンジョンだから良かったけど、普通に魔物を倒して稼ごうと思ったらどれだけの日数が掛かったかわかんねぇな」
新商品♪新商品♪と、ワクワクしながらさっそく商品を確認すると、
「下級ジョブ転職スクロール……ってなんだこれ?」
いや、『下級』も『ジョブ』も『転職』も意味は分かるんだけどね?
そんな情報、調べた範囲では何処にも載ってなかったからさ。
ちゃんと確認する為に、財布からダンジョン・カードを出して裏表調べてみるも。
「うん、やっぱりダンジョン・カードにジョブ(たぶん職業のことだね?)なんて表示されてないよな……」
『戦士の書』、『魔法使いの書』、『盗賊の書』、『神官の書』……などなど、新しく並んでるのはいいんだけど。
「お値段は一つ魔石1000個か……ポーション類に比べるとだいぶ高いな。
てか、もしも某ゲームみたいに今が『ノービス(初心者)』状態だとしたら転職でかなり能力値が強くなりそうなんだけど……。
いや、そもそも『魔法使い』とかあるってことは、転職したらそのジョブに関係するスキルを覚えられたりとかするんじゃ?」
俺、異世界でも帰ってきてからもノースキルだったからね?
いつかは魔法が使えるんじゃないかってむっちゃ憧れてたんだよ!
……まぁ十年間ずっとノースキルだったんだけどさ。
「異世界商店、商品リストだけじゃなく、商品説明も載せてくれよな……。
何にしても魔石が無いし、来週頑張って一つだけスクロールを買ってみるか!」
そもそも現状ではただの雑魚キャラだからな、俺。
転職にメリットはあっても大したデメリットなんてないだろたぶん。
……無ければいいな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます