第11話極限下での議論と決断

あの男の子は、僕と同じ境遇なんだよな。そう思うと、心が締め付けられる様だ。


両親が、ゾンビになり、親を失った。俺も一緒だ。しかもまだ子供…正直彼を救いたい。だが、それは、叶わない。セーブ&ロードのセーブが、もっと前で、セーブが複数のセーブするところがあれば。



それでも、そのスキルで俺は、神楽さんを救えた。多くを望み過ぎかな。



人を助けたい。引き篭もりだった頃の俺なら、考えられないな。


ついさっきまで、自分さえ良ければと思っていたのに。


神楽さんが、子供達を風呂に入れた。結果はどうなるか。もし男の子が噛まれた、痕がなければ、今日はずっと起きて、誰がゾンビになるか、見届けないと。



ロード機能があるから、男の子がこの時間は、ゾンビにならないとわかっている。だから神楽さんが、風呂場で襲われら可能性はない。


けど、ロード機能がなければみんなゾンビになっていたんだな。この能力に俺は、感謝した。



そう言えばアイテムBOX…これに何か入れらるんだよな。調べて見るか。


ええっと、生き物以外は入れられる…か。ゾンビは、生き物になるのか? もしこれにゾンビになった子供を入れらるなら…どうなんだろ?



流石に失敗したら、危険だし…BOXに入れるのは、非人道的にも思える。辞めとこう。


6個まで入れられるか。銃を手に入れられたら、入れるべきだろうな。果たして…銃を撃ったことない俺が、ゾンビに上手く命中させられるだろうか?


しかも頭にだよな。無理ゲーだろ。


あとは…食料か。持っていきづらい重い食料とかか。


そうこう考えるうちに、神楽さん達が風呂から出て来た。


神楽さんから、良い匂いがした。

ふぅ…また変なこと考えない様にしないと。そう自分に注意を促した。



「都丸さん、確認したんだけど…噛まれた痕があったわ。」


「…そうですか。残念です。これからみんなで話し合いましょう。彼は多分今日の夜には、ゾンビになると思います。」


「分かった。子供達に聞かれない様に気をつけて、とりあえず望と三人で話しましょう。」神楽さんは、真剣な表情で言う。


3人で話し合いの場を設けた。だが、そんなに時間は使えない。子供達が不安になり、直ぐ俺たちを呼ぶだろう。



今は、子供達にテレビを見てを紛らしては、いるが。



「つまり…男の子がゾンビになるって事ね。私の意見だと、ゾンビになる前にやるべきだと思う。それは、私がゾンビになりたくないから、そう言う意見なんだけど。」

望ちゃんが深刻な表情で言う。



「私は、望がそうなったら、絶対に殺せないから、隔離して様子を見るって意見。望がそうなったら、私ゾンビにさえなる。」

神楽さんが言った。



「それを言うなら、私だってお母さんが、ゾンビになったら殺せないよ。でも、違うよね。男の子がゾンビになってお母さん襲ったら? 私が襲われたら? きっと後悔するよ。ああ、何故私は、男の子のゾンビやらなかったのかって。」

望ちゃんの言う事は、心で訴えるように俺には聞こえた。


「そうね。けど、じゃあ望が男の子をやるの? 私には無理。何も殺さなくても、隔離すれば良いじゃない。」

神楽さんは、俺の意見と同じだ。



「それは、危険すぎると思う。私たちは、いいよ? でも女の子は? 兄妹が閉じ込められていたら、助けたくなってドアを開けると思う。そしたら、女の子もゾンビになって…考えたくないけど、その可能性は、高いよ。」

つらそうに望ちゃんが言う。



確かに…俺たちだけなら隔離で良いと思っていた。けど、女の子もいる。彼女が、男の子の隔離場所から、助け出そうとして噛まれたら? 望ちゃんの意見はもっともだ。



しかし…だからと言って、子供を殺すなんて…せめてゾンビになってからなら、人じゃないと、そう…思い込めば。



「女の子には、きちんと説明して、開けない様にするか。もしくは、女の子の力では、開けれなくするか、ドアの前に何か、巨大な重いもの置くとか、どう?」

神楽さんが俺を見て、意見をくださいと言っている様だった。



さすが神楽さん! その案なら、隔離は安全だ。明日になれば、俺がセーブしてから、男の子がゾンビになってるか、確認して、なっていれば即ロード。なっていなかったら、解放が出来る。


とは言え、彼がゾンビになるのは、確定と言っても良いが。


「俺もその意見賛成です。それで提案なんですが、夕方頃、俺子供がゾンビになってるか、確認します。なっていなかったら、大変なので。」

あくまで、慎重にしなければと思った。



「うん、それなら私も賛成。お母さん、ありがと。」

望ちゃんがお礼を言った。本音では、やはり殺したくはないのだろう。


隔離すればいいと言うものではない。けど、他にどんな方法が取れる? 俺は、心で誰かに訴えた。


極限下での議論は終わり、決断を俺たちはした。

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