しょうもない話

第1話

テス．．．

テステス

マイクテスト

カメラは...映ってるね

やあ、みんな

そう気構えないで、ほら肩の力を抜いて、まずどっから話そうかな。僕は今現在進行形でビルに爆弾を仕掛けて立てこもりの真っ最中。うわすごいよこれ、僕が毎日見てる夕方のニュース番組でも放送されてる。いま世界でこれ程の視聴者数の配信者は居ないだろうね。

違う違うそうじゃなくて...「ちゃんと練習したろ」そうだそうだ、まず僕の自己紹介をしようか。僕はサム、家族構成はアル中の母との二人暮らし、父は僕が小さい頃他に女を作って家を出て行った。そっから母はお酒におぼれて...まあよくあるちょっと不幸な普通の人間さ。別に神の声が聞こえたとか、はたまた超能力に目覚めたとかそういう特殊なことは全くないホントにただただ普通の人なんだよホントマジで

で、なんでこんなことをしてるのかっていうとホントに全部がかみ合わなかっただけなんだ。店員の数え間違いでおつりが少なかった、好きな子の前で転んだ、パンツの裏表を間違えた。こんな小さな事の積み重ねで今こんな馬鹿げたことをしでかしてる。配信を始めたのはほんの気まぐれで、もしかしたら誰かに聞いてもらいたかったからかもしれない。何をって言ったら僕の趣味の話かもしれないし、くそったれでちょっと不幸だった人生の話かもしれないし、はたまた今朝のニュースの話かもしれない。

あれ、何を話してたんだっけ？あぁそうだ、自己紹介の途中だったね「段取りが悪いぞ」うるさい

好きな食べ物はハンバーガーで「ピクルス抜きの」飲み物はコカ・コーラ「俺はペプシ」、俳優はトム・クルーズ、ブラッド・ピットにキアヌ・リーブス「全員もう６０歳、くたばったらどうしよ」嫌いなものは両親「あとゴキブリ」趣味は映画鑑賞

あとは...こんなもんかな

いつまで配信をするかというと警察が実力行使してこのビルに突入してくるまでかな。突入したら爆弾を爆発させるって言ってあるから「言っとくが脅しじゃないぞ」５分後かもしれないし１時間後かもしれないし明日までかもしれない「もしかしたら一か月後かも」だから残された時間は少ないけどたくさんある。

じゃ、前置きはこんくらいにしてつらつらと語っていこうかな「ようやくか」

用意

「そう身構えるな」

用意

「ホントにしょうもない話だ」

用意

「聴く価値もない」

アクション「アクション」