第5話 川と魚
初めての狩りを終えた次の日。また僕たちは街に向けて歩き続けていた。
「ねえ、アレックス。街までかなりかかりそうだよね。村の人が大体街まで1週間かかる、って言ってたし僕たちだったら2週間くらいかかっちゃうかもだよね??」
「そうだなぁ、そんぐらいかかるかもなぁ...。ただ歩くってのも暇だなぁ。こんなんだったらちょっと待って行商人のおっさんに乗せてもらえば良かったなぁ」
暇に押しつぶされそうになっている。街道は強力な魔獣達の縄張りを避けて作られている為道がグネグネと折り曲がって出来てしまう。その為直線で行ければ5日程度で辿り着けるはずの街までこれだけ時間がかかってしまうのだ。
そんなこんなで太陽が空の頂点まで上りきったところで僕たちは道沿いにある小さな広場のようなところでお昼ご飯にすることにした。
今日のお昼ご飯は昨日狩ったホーンラビットの余った部分で作った燻製肉と村で貰った野菜の炒め物だ。
「いい匂いだね〜。早くできないかなぁ〜?」
「燻製したとはいえ肉だからな。よく炒めてくれよ?それで腹壊したらバカみたいだ」
「分かってるって。ちゃんと僕がいい感じに炒めとくから待っててね!」
とは言っても調味料は村で買った塩くらいしかないから味付けはどうしてもシンプルになっちゃうんだけど。
「そうだスミス。肉の事なんだけどさ、今日の晩に肉を使ったらもう無くなりそうなんだよ。どっかに川があったらそこ行って魚を取りたいんだけどいいか?」
「うん、もちろん!てことは今日の晩御飯は魚料理かなぁ〜」
「おいおい、川があるかも捕れるかもだってまだ分かってないんだぜ。気が流行りすぎだ」
そんな雑談をしながらしながら作った野菜炒め?は昨日と違いすごく作ってる途中も楽しかったし、肉の味も美味しく感じられた。
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美味しかった昼食を終え、僕たちは周りを警戒するのと一緒に新しく魚がいる川を探す。という目的を加え、また歩き出していた。
「あっ!水の音が聞こえない!?」
「あぁ、右の方からだ!微かにどけど聞こえるな...。魚はいるのか?まあ、取り敢えず行ってみようぜ!」
川の音が聞こえた僕たちは街道から左の方向に向かって進み始めた。
にしても草が多いなぁ。この草なんて僕の身長くらいない??街道から離れた途端に道もデコボコになって歩きにくいし、魚取りに行くとかそういう目標がなかったならあんまり街道からは外れたくないなぁ。
「スミス、言い忘れてたが街道から外れると草やら木やらで視界が悪くなるから獣が近ずいて来たのが気づきにくくなる。獣たちの縄張りに入ったこともあって普段大人しい奴が襲ってくることもあるから注意しとけよ?」
「うん、わかったよ。ありがとう。...ちなみにどんな奴が襲ってくるとかある?」
「そうだなぁ。狼とか猿、強いやつになるとクマとかになるらしい。あとは魔獣とかは全部戦うこと自体が好きらしくて注意が必要らしい」
な、成程。クマとか僕、勝てる気がしないんだけど大丈夫だよね?襲われたりしないよね??
...今のうちからどんな罠を作るか考えとかなきゃ。かな?
...ん?あのいっぱいある砂利って川の近くにあるやつ、だよね?
「あ!あれ、あそこに見えるのって川じゃない?」
「ん?おお、そうだな!でかしたスミス、行こうぜ!」
それだけ言ってアレックスは僕を置いて川がある方向に走って行ってしまった。
今日の夕食が野菜のみになることがそんなに嫌だったのかな?僕は結構野菜、好きなんだけどなぁ。
と思いながら走っていった先にはアレックスが予想通り川のそばで立っていた。
「お〜い、待ってよ〜!ってどうしたの?」
声をかけてもあまり反応がないアレックスに少し不安になりながら僕は川の方向を見た。
「なんだか凄く川の幅が狭い、ね」
「そんなレベルじゃねえよ。こんな俺たちでも大股だったら向こう岸に行けそうなくらい小せぇ川じゃ小魚一匹住んでないんじゃねぇか?...下流に行ったら川幅が広くなるとかねぇかな」
「そう、してみる?」
僕たちはとりあえずアレックスの案に従い獣に襲われるリスクを承知でこの小さな川?を下っていくのだった。
ただ、その努力虚しく川はずっと続いていたものの幅は相変わらず15歳の僕たち達がたった一歩で乗り越えられるほどの小川があるのみで期待虚しく夕方になってきたので元いた街道に戻るのであった。
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「ハァァァ...」
「アレックス、落ち込みすぎだよ。最初に川をみた時から何となくわかってたでしょ?」
「そうだけどよ〜、晩飯も朝飯も野菜だけ、っていうのは辛いぜ?あ〜、肉食いてぇ」
う〜ん、そんなも物なのかなぁ?よく分からないや。
僕はどっちかと言ったらこの同じ景色の道をずっと歩く方が苦痛だけどなぁ。
「また獣が出てくるのを期待するしかねぇか...」
「できたら弱いやつがいいね」
「そうだな...」
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