第2話
まさか奏葉も一緒に行くことになるんて聞いてない。最初は絶対に気まずいから居てくれることは嬉しいのだが…もし俺にずっとつき続けたら彼女のコミュニティはどうなるんだ。
俺のせいでせっかく学校に通える奏葉に友人の一人も出来なかったらそれはあまりにも酷いことではないだろうか。
よし、ここは主人として奏葉にも楽しんでもらえるように言っておかないとな。
「サポート役も嬉しいんだけど、奏葉もせっかく通うんだから俺のことは気にしないでいいんだぞ?」
「…それは肯定しかねます」
え、喜んでもらえると思ったのに。余計のお世話だったのだろうか。
「なんで?」
「晃様に余計なゴミが付くかもしれないからでございます」
「ゴミ?」
ゴミってあのゴミだよな?家のあちらこちらに散らばってる埃が俺に付く?
埃なんて無意識に身体についてしまうようなものなのに、奏葉は何を言いたいんだ。
「これ以上いうことはございません。私は晃様のサポート役を旦那様より直々に承っておりますゆえ、晃様のお言葉は非常にありがたいのですが、今回は…」
「まぁ、そこまで言うならいいけどさ。もし友達が出来たら、学校の時はそっちの時間を大切にしていいから」
奏葉はありがとうございます、とだけ言って俺に車に向かうように促したのだった。
時は学校。
「晃様、到着致しました」
俺は奏葉に起こされて目が覚める。どうやら車の中で眠ってしまっていたらしい。
「おはよう、奏葉」
「寝ぼけているんですか?」
「…あ、着いたのか」
奏葉の鋭い突っ込みに一瞬ひるみながらも俺は窓の外に映る校舎らしき建物を見て学校に着いたのだと分かった。
「いよいよか」
「奥様が校長室にてお待ちしているとのことです」
「母さんが?」
「はい」
「そうなんだ」
母さんと会うのは久しぶりだ。父さんの仕事が大成してから母さんは父さんの秘書として全国のあちこちを回っているはずだ。
わざわざ帰ってきてくれたのか。
車を降りると打ち合わせしていたのか校門前でお偉いさんらしきスーツを着た女性が俺たちを出迎えてくれた。
俺たちを送ってくれた執事は既に出発しており俺たち3人だけになってからスーツの女性が案内を始めた。
「こちらです」
俺たちが案内されたのは1つの軽ボックス車の前だった。
「ここで女性の方とはお別れです」
「は?」
この女、突然奏葉だけ別の場所に連れていくとか言い出した。何を言ってるんだ。
草むらの中から屈強な体格をした男たちが出てきて奏葉を連れていく。
「おい、奏葉を返せ!」
と大声で叫んでも男たちは振り返らない。
くそっ、してやられた。この学園は共学なのだ。男女を別にするわけがない。こいつらは学園の人間じゃない!
「ふふ、感づいたようね。でももう遅いわ」
女がそう言った瞬間、軽ボックスの扉が開かれ中から先ほどとはまた違う屈強な男たちが俺を無理やり車の中へと引きずり込んだ。
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