第十八話 遂にレベル100!そして転職!

 更に1時間後――


「これで終わりだ!《暗黒大槍ダークネスランス》!」


 アンデッドの大群によってだいぶ消耗したドラゴンめがけて、俺はとどめとばかりに漆黒の槍を放ち――穿った。

 ドラゴンは咆哮を上げると共に、ゆっくりと地面に崩れ落ちる。


『レベル100になりました』


「よし。何とかやれた……!」


 1日中、ぶっ通しで魔物を狩り続けたことで、ようやくレベルは100になった。

 マジで達成感があるな。

 ゲームの10倍ぐらい大変だったから、その分達成感も10倍ってな。

 さて、それはそうと、これでようやく転職できる。

 死霊術師みたいな、プレイングがあまり生かされない職種はもうこりごりだ。

 ……あ、その前に、一応ステータスを見ておくか。

 そうして、俺はステータスを見る。


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

【名前】レオス

【種族】人族

【職種】死霊術師

【レベル】100

【状態】健康

【身体能力】

・体力1040/1020+20

・魔力1620/1120+520

・筋力820+20

・防護1020+20

・俊敏1120+20

【魔法】

・闇属性レベル6

【パッシブスキル】

・恐怖耐性レベル10

・闇属性魔法耐性レベル8

・暗視レベル7

・魔力総量増加レベル5

・常時回復レベル2

・ステータス全強化レベル1

【アクティブスキル】

・死霊召喚レベルMAX

・鑑定レベルMAX

・死霊強化レベル9

・即応レベル4

・看破レベル3

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽


「まあ、予想通りだな」


 ステータスは、俺の予想と全く同じだった。

 レベル100になったにも関わらず、レベルMAXではないスキルと魔法が多いが、これはいずれなんとかできる為、今は気にする必要はない。

 さて、鑑定を除いた10個のスキルと魔法の中で、どれを次の職種に持ち越せるのだろうか。

 こればっかりは流石に運なので、祈るしかないだろう。


「……あ、転職する前に、一旦ここから森の浅い所に行かないと。ここで転職したら死ぬ気しかしない」


 転職すると、レベルが1に戻ってしまう。

 流石にレベル1で、ここを歩くのは自殺行為にも程がある。

 ハメ技で倒せそうな魔物も、ここにはいないし……


「よし。さっさと帰るか。もう日も暮れてるっぽいし」


 そう言って、俺は戦闘によって倒れた木々の間から、沈みゆく太陽を見る。

 そして、召喚しているアンデッドを一旦全て戻すと、代わりに骸骨の大鷲――スケルトンホークを召喚すると、その両足に捕まる。


「じゃ、程よい高さであっちに向かって飛んでくれ」


 俺がそう命令した直後、スケルトンホークは骨の翼を羽ばたかせて、飛び立った。

 そして、地面から10メートル程の高さを維持しながら、かなりの速度でスリエに向かう。

 筋力のステータスがそこそこ上がっているお陰で、この体勢でもそこまで苦にはならず、むしろ周りの景色を楽しむ余裕さえあった。

 時たま地上にいる魔物に気付かれるが、最短経路で進んでいる俺に追い付くことは出来ない。

 お陰で、何事も無く森の浅い部分――ゴブリンやスライムなどが居る区域に入ることが出来た。


「……うん。ここで下ろしてくれ」


 あと少しで森を抜けるというところで、俺は地上に下ろしてもらうと、《闇斬ダークスラスト》でその場にいた6体のゴブリンの両手両足を一瞬で斬り落とした。

 何とも惨い光景だが――安全第一なのだ。


「ふぅ。では……転職の指輪、起動!」


 直後、転職の指輪がエメラルド色に光り輝く。

 すると、目の前にウィンドウが現れた。

 そこには、様々な転職が記載されている。


「さてと……よし。俺は――付与術師になる!」


 少しの間悩んだ末、俺は付与術師を選んだ。

 直後、ウィンドウが消えると共に、脳内に声が響き渡る。


『転職の指輪により、死霊術師から付与術師へと転職しました』

『レベルがリセットされます』

『暗視が持ち越されました』


 うん。どうやら転職には成功したようだ。

 さて、早速ステータスを見てみよう。


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

【名前】レオス

【種族】人族

【職種】付与術師

【レベル】1

【状態】健康

【身体能力】

・体力20/20

・魔力20/20

・筋力20

・防護20

・俊敏20

【魔法】

・無し

【パッシブスキル】

・暗視レベル1

【アクティブスキル】

・付与レベル1

・鑑定レベル1

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「あれだけ苦労して上げたレベルが一気に1になると、喪失感が大きいな……」


 ミスすれば、死んでもおかしくはない。

 そんな状況下で戦い続け、ようやく上がったレベルが1になるのは、割と心にくるな……

 だが、転職は今後も沢山するんだ。

 いずれ慣れるだろう。

 それで、持ち越したのは暗視のスキルだったか。

 暗視は魔法で代用できてしまう為、出来れば闇属性魔法が良かったのだが……まあ、仕方ない。

 死霊強化とかよりは全然マシだ。

 暗視は、普通に使えるスキルだからね。


「さて、じゃあ急いでレベルを最低限上げておかないと」


 そう言って、俺は先ほど四肢を切断した6体のゴブリンを見やる。

 四肢を失ったゴブリンたちは、苦しそうに藻掻いており、流石にこれはいたたまれない。

 俺は直ぐに山刀を構えると、6体のゴブリンの息の根を止めた。


『レベル12になりました』

『暗視のレベルが2になりました』

『付与のレベルが2になりました』

『鑑定のレベルが2になりました』

『スキル、麻痺耐性を取得しました』


 成長の指輪の効果により、実質60体のゴブリンを討伐した俺は、一瞬にしてレベルを12にまで上げ、更に新しいスキルを手に入れた。

 レベル12になれば、ゴブリンにも遅れは取らないだろう。

 それも、転職によるステータス上昇率の増加のお陰でそこそこ余裕がある。


「さて、今日やりたいことはやり切ったし、早くスリエに帰らないと。マジでやべぇ……」


 そう言うと、俺は6体のゴブリンの右耳を革袋に入れ、走り出した。

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