第三話 実践経験を積もう
「やっべ!」
流石にこのステータスで、オークと直接やり合うのはキツい。
いや、俺ほどのプレイングスキルがあれば、5体ほどまでなら割と余裕で相手に出来るが……流石に10体となると、断言できない。
「はっ! はっ! はっ!」
俺はすかさず木に登り、安全圏から、前方にいるオークを見据える。
「……一応、ステータスを見ておくか」
《鑑定》は、職種関係なく、誰でも持っているスキルだ。
俺は前方にいるオークに《鑑定》を使って、ステータスを見る。
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【名前】なし
【種族】オーク
【職種】なし
【レベル】23
【状態】健康
【身体能力】
・体力306/276
・魔力214/214
・筋力306
・防護283
・俊敏214
【魔法】
・無し
【パッシブスキル】
・なし
【アクティブスキル】
・剛腕レベル3
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「うんうん。まあ、ゲームと同じだな」
強さはやはり、ゲームで出て来たオークとほぼ同じだった。
あれなら、あの数でもスケルトンを突撃させまくって、魔力が尽きたら逃げを繰り返し、ちまちま体力を削っていけば、いずれ倒せるだろう。
ただ……
「これで……いいのか?」
ただ安全圏から攻撃し続ける。戦略としては正しい。
だが、ずっとこんな”確実な戦い”ばかりをしていては、今まで培ってきた動きが鈍り、いざと言う時に負けるかもしれない。
だったら今ここで、実践感覚を積むべきだろう。オーク相手なら、最悪逃げることも出来る。
……勿論、”確実な戦い”は多いに越したことは無いんだけどね。
「よし……行くか!」
俺はリュックサックの中に入っていた、山刀を手に取ると、木から跳び下り、駆け出した。
「ブフォオオオ!!!」
「カラカラ……」
前方では、ボロボロの剣を振るうスケルトンたちと、木の棍棒を振るうオークの姿があった。
数は互角。個々の能力は何もかもが劣っている。
それゆえに、スケルトンたちは一方的に蹂躙されるだけだった。
だが、ダメージは確実に与えているし、何よりも大切な――ヘイトを自分たちに向けてくれている。
「これなら余裕だ」
そう呟くと、俺は右周りに迂回するようにしてオークに近づくと、右後方から1体のオークの足の健に斬りかかった。
「ブフォオオ!?」
オークはどこか驚いたような声を上げると同時に、地面へ崩れ落ちる。
ゲームでもそうなのだが、足の健を斬れば、オーク程度の相手なら文字通り行動不能に出来るのだ。
勿論、難易度が高いから熟練者でないと出来ないし、強い相手なら時間経過で復活するけど。
「はっ! はっ! はっ! はああっ!」
俺はスケルトンに向いているヘイトが自身に向いてしまう前にオークたちを行動不能にすべく、必死に体を動かした。
だが、流石に今のステータスでは、10体全てを一方的に戦闘不能にすることは――出来なかった。
「ブフォオオオ!!!!!」
スケルトンに向いていたヘイトが俺に移ってしまい、残った4体のオークが一斉に俺に襲い掛かってくる。
「くっ 流石にキツいなっ!」
あともう1体は減らしておきたかったと悪態をつきつつも、俺は対処すべく動きだす。
「ブフォオオ!!!」
まず、2体が同時に木の棍棒を振り上げたかと思えば、勢いよく自分めがけて振り下ろす。
だが、リーチが正確に分かっている俺の敵ではない。
俺は即座に攻撃範囲外に後ずさってその攻撃を躱すと、次の手に移る。
1度この攻撃をしたオークが再び攻撃出来るようになるのにかかる時間は――3秒。
さっきのスケルトンとの攻防で、その辺がゲームと同じであることは見ている。
その隙を生かして、俺は即座に接近すると、攻撃後の硬直で動けなくなっている2体のオークを盾代わりにして、残る2体のオークが攻撃出来ないようにしてから、今動けなくなっているオークの足の健を斬った。
「はあっ!」
そして、即座に後ろへ下がる。
大体10メートルほど離れれば――
「ブフォオオオ!!!」
予想通り、ヘイトが再びスケルトンに向いた。
あまりにも予想通りに事が進んでいることに思わず笑みを浮かべつつも、俺は再び背を向けたオークに接近すると――一閃。
「ブフォオオ!!!!」
2体のオークは地面に崩れ落ち、行動不能となった。
「……よし。勝った。意外と何とかなるものだな」
まだとどめは刺していないが、この状態ならほぼ死んだも同然だ。
一応、棍棒は持っているので、近づいた時に殴られる可能性は大いにあるから、そこは気をつけなくてはならない。
……まあ、そういう危険なところはスケルトンにやってもらうとしよう。
というか、既に攻撃を始めている。
現状敵を攻撃することしか出来ない故の行動なんだよね。
そうして1体、2体とオークがスケルトンによってとどめを刺されていき、程なくして10体のオークは1体残らず絶命した。
『レベル15になりました』
お、レベル15になったか。
やっぱり序盤は速いな。直ぐにレベルが上がる。
だが、だんだんキツくなっていき、MAXのレベル100に近づくころには、レベルを1上げるのに、そこそこ強い魔物を数百体と倒さなくてはならなくなる。
まあ、その心配も、再生の霊峰へ行けば解決するけど。
そんなことを思いながら、自信の付いた俺は、この場でオークの死体から出る血の匂いを使って、レベル上げの為の魔物をおびき寄せるのであった。
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