第24話 公園
海と話しながら歩いているとすぐに中央公園についた。
実際は10分ほど歩いたかもしれない。
でも、数分に感じられた。
中央公園を見る。あんなに広かったはずなのに。すごくせまく思える。あんなに高く思えたジャングルジムもすごい低く感じられる。
天まで続いていると思っていたのに、今では自分の背とあまり変わらない。
わたしって大きくなったんだな改めてそう思わせられる。海も背が高くなってる。わたしより頭1つ以上大きい。
背が高くなっただけなのにすごいかっこよく見えてしまう。
え?なんでわたし、ドキドキしてる?
久しぶりに会って、いい意味で変わった海を意識してしまう。
いや悪い意味なのかもしれない。
だってわたしに翔也さんという幼馴染がいるのだから。
よそ見をしてはいけない。そう心の中でつぶやく。
しかし、人間はダメだ、ダメだと言われているものほど気になってしまう生き物である。
もちろんわたしも例にもれることなく気になってしまう。
ブランコの前に到着した。小さい頃からブランコの周りの柵の上がわたしたちの定位置だった。
今日もいままでどおり柵に腰掛ける。
沈黙が流れる。
なんだか気まずい。もっといろいろ話したいことがあったはずなのに。
そんな中海が口を開いた。
「なー、突然呼び出してごめん。勝手にいなくなっておいて自分勝手なのかもしれないんやけどずっと言いたいことがあってん。」
なんのことやろう。頭の中に無数の?が浮かぶ。
「いつかこの気持ちが消えてしまうんじゃないかって思った。でも全く消えることなく、日ごとに大きくなっていたんでだ。急に現れといてなに?って思うかもしれない。でも聞いてほしい。」
わたしはうなずく。
「ずっと桃菜のことが好きだった。俺を彼氏にしてくれない?」
カッー。なにこの犬系全開。かわいすぎるんですけど。
急なできごとでわたしは理解が追い付いていないんだろう。
自分ごとのように考えられていないみたい。なんか夢心地っていうか、漫画を読んでいるかのような不思議な感覚に陥ってしまう。
少し時間が経って、ようやく頭が追い付いてきたようだ。
え?え?なにごと?
これって…もしや、告白??
そりゃそうだよね。
彼氏にして。って言ってるし。そうだよね?
自分の中でどこか納得させようとしている。
いやいやいや、今決められないよ。
「海、ごめん。今は決められないや。」
そう言っておく。
許嫁がわたしにはいるのに。
海にも翔也にもとても申し訳ない気持ちになってしまう。
でもどうしたらいいのかわからなくなってしまう。
でも今から存分に悩めばいいよね。
そう自分の中で落ち着かせる。
わたしはこんな楽観的で先のことを考えない自分が嫌いだ。
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