第20話 思事
高校生になるまでもちろんいろんな恋をしてきた。
同じクラスのスポーツ少年や、近所のお兄さん。
多くの人にわたしの心は奪われていった。
だが、海に救ってもらったときに感じた感情を抱いた人は今はまだいない。
そう、今は。
甘い思い出を思い出しながらわたしは目が覚めた。
今日も部屋の天井はきらびやかだ。
家に住んでいた時の真っ白な天井とは違い、この天井は、天井なのにきれいに輝いている。
昨日の海からの電話で昔抱いた気持ちを思い出した。
あのなんともいえないもやもやどきどきした感情。
懐かしいと感じながらもまた抱くことはないのではないかと思ってしまう。
そういえば海と会う約束をしたんだっけ。
いつなんだろう。
そう思い、海からチャットに友達追加されていた。
かわいいねこがお辞儀をしているスタンプと一緒に。
そのねこのかわいさにわたしはクスっと笑ってしまった。
そういえば、海はねこ派だったな。
懐かしい思い出に思いをはせる。
わたしも返事をしてみる。
女の子がお辞儀をしているスタンプ。
海からの返事はすぐに来た。
ー昨日は混乱させちゃってごめん
大丈夫だよ。突然で驚きはしたけどー
ーそりゃそうだよね
今度会いたいんやけどいつやったらいける?
いつでもいけるよ~
部活ないしー
ー桃菜、部活入ってないん?
入ってるかと思った
16か18、27がいいんやけどいける?
いけるよ!
18でもいいかな?
どこで待ち合わせにする?ー
ー中央公園にしよ
10時でもいい?
中央公園ね
わかった
じゃあ18日!ー
すんなりと会う予定が決まった。
中央公園かー。夢で見たことがフラッシュバックされる。
高校生になった海はどうなっているんだろう。
背は伸びてるのかな
なにを着ていこうか。
海と会うことが決まりわくわくしてしまっている自分がいる。
まるでデートにでも誘われたかのような気の入り方。
いや、いけない。わたしには翔也という許嫁がいるんだった。
そう自分を自制するため自分の頬をたたいた。
18日っていうことはあと10日後か。
自制したはずなのにまだ心は躍っている。
久しぶりに幼馴染に会うんだから心が躍っていても仕方がないよね。
自分の気持ちが抑えられないから今度は自分に言い訳をしだした。
まあ、それでもいいかな。
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