第18話 変化

今日も疲れたな。

そう思いながらベッドに横たわる。

マナー講座にお勉強そしてお買い物今日は盛沢山だったな。

そう思い返してみる。

さくらさんにはすごい叱られたな。

姿勢とか、テーブルマナーや立ち振る舞い。

今までやったことないことばっかりで戸惑っちゃったけどあんなにきつく言わなくてもいいじゃん。

そう落ち込んでしまう。


プルルル プルルル。

電話が鳴る。なんだろう。

スマホの画面を見る。画面を見てハッとする。

相手は「矢倉海」。


「矢倉海」?もしかして、もしかしてあの海?

「田島海」とはわたしの幼馴染。保育園から中学校までは隣に住んでいた。正確には中2までだが。

ある日突然海はいなくなってしまった。なにも連絡しないで。

なんでこんな突然?わたしの連絡先も知らないはずなのに…

どうしよ、でようかな。

悩んでしまう。

急用かもしれんし出ようかな。

通話開始のボタンを押す。

「もしもし、桃菜。元気?」

元気があふれた声がスマホから聞こえてくる。

海の声や、懐かしいなぁ。

「どうしたん。連絡先教えてなかったんやけど。誰かに聞いたん?」

「おじさん、おばさんに教えてもらってん。あかんかった?ずっと話したいなーって思っててん。」

お父さんとお母さん教えたんや。わたしも話したいと思ってたし、よかった。

でも、翔也はどう思うんやろ。

許嫁が他の男と話してたら嫌やんな。

でもとりあえず話そうかな。久しぶりに話したいこといっぱいあるし。

「桃菜ー、おーーい、桃菜ー。どした?黙り込んで。」

ハッとする。そういえば今、海と電話してたんやった。

「なーにー。急に連絡してきて、そんなにわたしの声が聞きたかったか。」

そう海をおちょくってみる。

「うん、そうやけど。ダメ?」

え、ふざけて言っただけやのに。ほんとなん?

ドキッとしてしまう自分がいる。

「いいけど。海どうしたの?」

戸惑ってしまう。

「また会わへん?最近こっち戻ってきてん。」

なに急に言ってくるん。勝手にいなくなったくせに。少しイラっとしてしまう。

でも冷静にならないとね。いろいろ事情があったかもしれないし。

「なんで急にいなくなったん?ずっと心配やったんやで。」

海と話すと方言が出てしまう。

そして、冷静になろうと思ったが気持ちが高ぶってしまったようだ。少しきつい言い方になってしまった。

「ごめんな、急にいなくなって。実は親が離婚することになっちゃって母さんの田舎の方に急に引っ越すことになってん。それが急に決まっちゃったから桃菜に伝えることができなかったんだ。だから、いまは田島海ではなく矢倉海なんだ。」

驚愕の事実が告げられる。

驚きが隠せない。わたしは黙り込んでしまう。

「そりゃびっくりするよな。元気してる?」

わたしはうんと頷くだけで精一杯だった。

「もう夜も遅いし、明日また連絡してもいい?」

うん、そうまた頷いた。

スマホの時計はもう0:25を表示している。

「おやすみ。」

わたしはこれだけ言って海からの電話を切った。


海かー。もう男の子っていうより男性っていう声になっていたな。

今日も疲れていたようでわたしはいつの間にか寝てしまっていた。

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