第16話 驚愕
突然、翔也の口から告げられたある言葉。
わたしはドキッとしてしまった。
何かが胸に刺さったような気がする。
これはなんなのだろうか。
不思議に思ってしまう。
ってか、わたしに翔也が一目ぼれ!?
ほんと?
会ったことあるんだよね。いつだったのかな…
あれ?5歳の時だったらあの会社の会食かな。
昔の思い出のぼやけた輪郭が頭に浮かんでくる。
あの男の子かな。翔也らしき男の子を思い出した。
だいたいしか覚えていないから翔也かはわからないが、この男の子が
翔也な気がする。
確証は持てないけど。
いろいろ考えていて気付いたら翔也が隣の席からいなくなっていた。なにか用事をしに行ったらしい。深山さんもいつの間にかいなくなっている。深山さんの代わりにすみれさんが近くに立っていた。
「桃菜お嬢様。そろそろマナーのお勉強のお時間ですよ。昨日はご相談で時間が遅くなってしまいできませんでしたけど。その分今日はみっちりやらせていただきます。」
すみれさんがにやりと笑う。
あっ、怖い。ビシバシ鍛えられるような気がする。
すみれさんに広間まで連れていかれる。
今日は何をするんだろう。
広間には如月家のお手伝いさんたちが一列にビシッと並んでいる。一糸も乱れぬ列、そろった頭の位置。見ていてなんとも気持ちがいい。
「今日はマナーの基本、姿勢・礼・歩き方をします。これらは人の見た目を左右する大切な要素です。必ず習得しなくてはいけません。」
すみれさんの目が変わった。さっきまで優しい目だったのに。今では信念を持ったように1点を見つめている。
「まず、姿勢から確認しますね。体に1本の柱が入っているようなイメージで。」
1本の柱か…柱をイメージして立ってみる。
「桃菜お嬢様、体が反っています。もう少し胸を張らないように意識してみてください。」
すみれさんに言われる。
これでどうかな。体を少しだけ動かす。
「前かがみになりすぎです。前かがみだと暗いイメージになってしまいます。前を見るようにしてください。」
こうかな。
「桃菜お嬢様、そうです。そのままいきますよ。」
なんとか姿勢はクリアできたようだ。
「次は、礼です。礼もとても大事です。3種類あるのでやってみましょう。15°・45°・60°です。15°は軽い会釈のときに、45°は挨拶をするときに、60°は感謝や謝罪の意を伝えるときにします。ではやってみましょう。」
すみれさんの見様見真似でやってみる。
「背中が曲がっています。背中をピンとして、腰だけを曲げる感じで。」
言われたようにやってみる。
「そうそうそんな感じです。ですが角度を確認してください。角度によって相手に違った意味が伝わってしまうので。とても重要なんです。まずは15°から。」
15°を意識しながら礼をする。ここでぴしゃりとすみれさんに言われた。
「礼が浅すぎます。これでは相手に失礼ですよ。もう少し深めにしてみましょう。」
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