第12話 仲良

すみれさんが機会を作ってくれた。

今日の夕食の席だそうだ。

食堂へと向かう。足取りが重い。今日の件を考えると気が滅入ってしまう。翔也さんに話す内容を考える。

今日学校で起きたことを申し訳なく思っているということ。これからも仲良くしてほしいということ。

いろいろ考えた。

食堂にたどり着いた。

扉を開ける。

中には翔也さんとすみれさんが待っていた。


席に着く。気まずい空気が流れる。この空気を作りあげたのはわたしのせいだから仕方がないよね。

食堂に向かいながら考えたことを思い出して、翔也さんに話そうとするが、緊張してしまい頭がまっしろになる。

でも、でも言わないと。

ももな、ももなちゃんと翔也さんに言うんだよ。

心の中に自分に強く言う。


意を決して翔也さんに言う。

「今日は申し訳ございません。廊下でそっけない行動をとってしまって。わざとではないんです。急に話されてびっくりしてしまって。言い訳のように聞こえるかもしれませんが。こんなわたしですけどこれかも仲良くしてもらうことはできますか。」

めちゃめちゃな文だが、自分の気持ちを翔也さんにぶつける。

畳みかけてしまったようで翔也さんは驚いた顔をしている。

「桃菜さん、そんなこと言わないでください。気にしてないですよ。僕が急に話しかけたのも悪かったのですから。

それよりもっと気楽に話しましょうよ。僕たちいずれ夫婦になるのですから。」

そうにこっと翔也さんが笑い返してくれた。にこっと笑った口から真っ白な歯がキラキラとのぞいている。

あぁーまぶしい。こんな美しい顔を見せられたらうなずくことしかできないよ。

「そうですね。まだまだ慣れていませんが翔也さん、よろしくお願いします。」

気楽に話してみたつもりだった。しかし、

「そんな固くならずに。僕のことは翔也と呼んでもらって構いません。もしよければ連絡先を交換しませんか。」

そう言ってくれた。翔也さんいや翔也はわたしと仲良くなろうと思ってくれているんだよかった。

「はい!わたしのことは桃菜って呼んでください。」

「桃菜…桃菜!わかったよ。これからよろしくね。」

キャー。名前で呼ばれてしまった。なんかうれしいけど照れ臭い。

でも今回のことがきっかけで少しわたしたちの距離が近くなったのかな。よかった。

翔也がスマホを差し出しているのに気づく。あ!交換するんだった。翔也に差し出されたQRコードを読み込む。友達登録できたみたい。翔也の顔を見上げると、翔也はにこりと笑い返してくれた。

「そういえば、翔也、クラスのグループメッセージは言ってなかったよね。招待しておくよ。」

「いいの!?桃菜。ありがとう。」

翔也がキュルキュルした目で見つめてくる。なに!この顔尊い!!

スマホの画面を操作して翔也をグループメッセージに招待する。招待ができた。

翔也にその画面を見せる。

なんかより距離が近くなったような気がする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る