第10話 不和
校門へと向かう。校門には深山さんの車が側につけている。さっきのことを思い出すと車に乗り込みたくなくなる。
でも、帰らないといけないよね。
そう後ろ向きにおもいながらも、車に乗り込んだ。
「桃菜お嬢様、おかえりなさいませ。本日の学校はいかがでしたか。」
そう聞かれたが、わたしはなにも言えずに黙り込んでしまった。
会話のない静かな車内に乗り、道を進んでいく。もうすぐ屋敷に着く。屋敷に着いた。昨日と同様庭が輝いているように見える。
すみれさんが頭を下げている。
「おかえりなさいませ、桃菜お嬢様。これからお勉強のお時間ですので、お着換えなさって学習室までお越しください。」
そう言っていた。
部屋に入ると、クローゼットにきらびやかなワンピースやドレスが並んでいる。
すみれさんが口を開く。
「こちらのワンピースの中からお好きなものをお召ください。」
ワンピースは桃色や、薄紫、水色のような淡い色や、普段はあまり着ないような深紅や深緑のようなビビットな色のものもある。
今日はどれを着ようか。
うーん。今日はいつも通り淡い色で薄紫にしようかな。
そう思って、着てみる。サテンのようなツルツルな生地が着ていてとても気持ちいい。
早く学習室に行かないと。
部屋から出る。
そういえば学習室の場所わからなかったんだ。どうしよ。
誰かに聞こうと思うが、誰も見当たらない。ほんとにどうしよ。そう思っていると翔也さんが目の前を通った。
気まずく思ったが、翔也さんに聞かないとこんな広い屋敷だとが学習室にたどり着かないんじゃないんかな。
意を決して翔也さんに声をかけてみる。
「あのー。ちょっといい?」
翔也さんがうなずく。
「学習室に行きたいんだけどどうやって行けばいい?行き方がわからなくて。」
そう聞いてみる。
翔也さんはくるりと向きを変えた。学習室まで連れて行ってくれるみたい。でもさっきのことを思い出して気まずさを感じてしまう。
無言の時間が続く。
翔也さんの足が止まる。学習室に着いたようだ。
うんっていう顔をしながらドアを開けてくれた。
やっぱり翔也さん優しいんだ。そう思ってしまう。
すみれさんがなにかの異変に気付いたようだ。
「どうされましたか?桃菜お嬢様。」
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