第3話 選択

急に言われたお父さんからの言葉。わたしは正直混乱している。結婚、結婚だよ。幼馴染の口約束で決めてもいいのだろうか。


そこで翔也さんが口を開いた。

「僕ではだめですか。」

子犬のような顔で見つめられる。イケメンがそんなキュルキュルな目で見つめてきたら…もちろんハートは射抜かれてしまう。

「話したことない人とは結婚することはできません。ですが、お話はしてみたいです。翔也さんまずはお友達からしてみませんか。」

自分の気持ちを伝えることができた。いまから結婚っていうことは考えられないけど話してみるのは悪くないかもしれない。面白いことが起こるかもしれないし。

「それならよかったです。深山、準備を。」

あのおじいさんは翔也さんの執事で深山さんだということがわかった。準備ってなにか今からするのだろうか。そう思っていると深山さんが大きな荷物を持ってきた。何が入っているのだろうか。どきどきわくわくする。

「桃菜お嬢様、こちらにお着換えいただいてもよろしいですか。」

急にワンピースを差し出された。よく見るとドラマやアニメでお姫様が着ていたパーティードレスに似ている。なにこれすごい好きなんだけど!それにわたしのすきな桃色だし。でもなんで?不思議に思っているのが伝わったようで翔也さんは

「如月家の許嫁にふさわしい服装をしてもらいます。このドレスもしかしてこのみじゃなかったですか。」

また子犬のような目で見つめられる。イケメンがこの顔をしたら…

「いいえ、そういうことではなくて。わたしがこんなのをいいのですか。」

「はい。如月家の許嫁なのですから。桃菜さんは自信を持ってください。」

翔也さんはそう言ってくれた。


着替えから戻ってきた。あの黒塗りの車が目に入る。

「これからは如月家の屋敷で生活してもらいます。どうぞお乗りください。」

えっ!?友達からじゃなかったの?でもこの生活も悪くないように思えてきた。お父さんとお母さんと離れて暮らすようになるのはさみしいけど。


そう思いながらわたしと翔也さん、深山さんは車に乗り込んだ。


そして車を走らせていく。車の中はふかふかでとても乗り心地がいい。うっとりしていると少し先に大きな門が見えてきた。あれが如月家の屋敷かな?そう思っていると

「翔也坊ちゃん、桃菜お嬢様着きました。」

そう言い深山さんが車のドアを開けてくれた。如月家の土地に足を踏み入れる。これから新たな生活が始まる。その期待を胸に抱きながら空を見上げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る