第4話 久しぶり

視線の先には

見かけない顔の男の子


遠くからでも

目が合っているのがわかる


彼はゆっくりと近づいて


何かを言っているように見えた











朝のホームルームの前

バリ体育会系の担任が声を上げる


「喜べ女子ぃー男子転校生やぞー」


「きゃーーー!」

同じ年頃の女共はマジでうるさい




僕の身体は165センチ

たぶん彼は175センチオーバーの

勝ち組スタイル


塩顔って言うのか


とにかく整った顔と

少し柔らかそうな髪質の

勝ち組ヘアー





天野あまの うたそれが僕の名前だよ」

「よろしくね\(( °ω° ))/」



「きゃーーー!カッコいいー!」

メス共の歓声と


「なんだその自己紹介はぁー!ふざけんなぁー!」

オス共の罵声は

僕には届かなかった



「……うた…?」

過去の記憶が蘇る



天野 詩は僕を見て微笑む




『久しぶり』



校庭で見えた

口の動きと同じ





「詩くん!??」


「久しぶり、涼くん」





「なんだ赤兎と知り合いか!ちょうど隣の席だ、赤兎!天野に色々教えてやってくれ!」

担任はラッキーと言わんばかりのテンションで

全部を僕に丸投げする気だ










授業中

僕は詩くんを横目で何度もチラ見していた


(まさか校庭にいたのが詩くんだったなんて、全然気づかなかった)



ニコッ

(詩はスッと涼にメモを渡す)


「??」

僕は少しビックリして、そのメモを開く






『あのパンツ誰の?』





(うっ、やっぱり見られてた!)





詩くんは、もう一枚

メモを渡してきた




「!?」















『僕も行こうかな、保険室』













「!!!!!!」








(えっ、まさか見られてた?詩くんに?そんな……だとしたら……)




心臓の鼓動が聞こえるほど

脈が速くなるのがわかった





僕は詩くんにメモを渡す









それを読んだ天野 詩は









やさしく微笑んだ

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