第5話 視線
放課後の教室
僕と涼くん
二人だけの時間
「本当に久しぶりだね、涼くん」
「うん、びっくりしたよ、全然気づかなかった!」
「僕はすぐに気づいたよ、涼くんだって」
「…………詩くん…あの…」
「なに?」
「あのメモの事なんだけど…」
「なにを…知ってる…の?」
「さぁ、何だろうね」
「忘れた」
「とぼけないでよ!」
「いきなり保険室ってワードが出るなんて、僕と先生…!……うっ…」
「……本当に忘れたよ」
「………そんな事より……」
「あの約束、まだ覚えてる?」
「……約束…」
6歳まで
僕達は毎日
一緒に遊んでいた
時間を忘れて
時が止まるほど
いつも一緒にいたよね
「ねぇ涼くん!大きくなったら僕たち結婚しない??涼くんとなら楽しそうだもん」
「えー?楽しそうだけど、男同士は結婚できないんだよ!無理無理!」
「えーそうなのかー、変なのー」
「変なのは詩くんだよー!」
蘇る記憶
でも…
「いや、あれはそんなんじゃ!」
「ってか約束してないよね!」
「え?……そうなの?」
「……でも…」
『僕は本気だったよ』
あの時の詩くんは
きっと
自分の感情を抑えきれず
僕にキスをしたんだ
「!!!!」
バッ!(詩を引き離す涼)
「何するんだよ!やめ……」
(もう一度涼にキスをする詩)
「……………!!!」
(なんだよ、この感じ………先生の時とは違う………これは……)
(詩くんが……僕の中に流れてくる)
スッと離れる二人
「…………」
「…………」
僕らは見つめ合っていた
『涼……』
『もっと僕が欲しいのかい』
二人の姿を
教室のある向かいの校舎の廊下から
杏子先生が見ていた
「明日も、この時間、ここで待ってる…」
「…………」
僕は静かに教室を出た
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