第107話 ご主人様
「おはようございます! ご主人様!」
「……」
「朝食の準備が出来ておりますので早く降りてきて下さいね」
「……」
寝起きで全く脳が回ってないので今、起きた事象を理解できない。
あ……ありのまま、今起こったことを話すぜ。
俺を呼びながら、揺り動かす人がいると思って、やや重たいまぶたをしょぼしょぼさせながらゆっくり開くとメイド服姿の明日香が起こしてた。
何を言ってるか分からないだろ。
俺自身も分からない。
なんでメイド服?
今日が文化祭当日なのは分かるけど、家からメイド服姿は気合いは入りすぎじゃないかな、なんて思いながら階段を降り、リビングに向かうと、そこにはハムエッグ、サラダ、お味噌にご飯といったザ朝食といったラインナップがテーブルの上に並べられていた。
「お召し上がりください、ご主人様」
「えーと、明日香?」
「はい、ご主人様♡」
これ知ってる、ラノベとか漫画で見たことあるやつだ!
文字起こすと会話文の後ろにハートが付いてるんだろうなぁ。
めちゃくちゃあざとかわいい。
……じゃなくて。
「どうしてメイド服なの?」
「私のシフトがご主人様と同じく午前だからだょ……じゃなくて、です」
あれ、明日香のシフト午前中だったっけ。
午後だった気がしたんだけど。
っていうか、なんか今ボロが出てたな、もうちょっと揺さぶってみよう。
「まだ家だよ、早くない? あと、ご飯ありがとう。いただきます」
「あ、それはね。じゃなくて、え? どういたしまして……じゃなくて、いやどういたしましてで合ってるよね?」
聞いちゃったよ。
めっちゃフランクにご主人様に。
「いつも通りの喋り方でいいよ、明日香」
「嫌だった?」
「いや、最高だったけども」
えへへと笑う明日香、かわいいやつめ。
「明日香さ、シフト午後じゃなかったっけ?」
「そうだったんだけど、昨日、優が一緒に回ろって言ってくれたでしょ」
「そうだね」
「だからシフトも一緒ならいっぱい回れると思って、鈴ちゃんに相談したんだ。そしたら良いって」
なるほど、佐和山さんか……。
でも前日に変更したら、色々と不満とか出そうだけど。
「その代わり、メイド服姿で登校して来てって」
「え、なんで?」
「さぁ?」
罰ゲームみたいな交換条件だけど、何でなんだろう。
学校に着いたら佐和山さんに聞いてみよう。
「それでその条件飲んだの?」
「うん! だってこれで文化祭、ずっーと一緒でしょ」
そんか屈託の無い笑顔で言われるとこっちが照れちゃう。
「それにさ、一緒のシフトになると、優にメイド服でおもてなし出来ないしさ」
「好き」
「……急に言われたら困るよ、優」
いけないいけない、好きが溢れ出てた。
でも、ガチ照れ顔ありがとうございます。
朝からメイド服姿の明日香がガチ照れしてるところを見れるなんて幸せ者過ぎる。
神と明日香に感謝して朝食を食べ終え、学校に向かうのだった――。
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