第106話 よせやい

「お、おい! その話まじかよ! やったな福ちゃん!」


恋が福の言葉を聞いて、興奮気味に喜ぶ。

そりゃそうだ。

だって、あの福がついに西堀さんに対して、行動を取ったのだ。

ずっと悩みに悩み抜いていたあの、福が。

だからこそ、こちらとしても嬉しくなるのは当然。

俺も自分のことのように嬉しい。


「いや、まだ誘えただけだから……」


「それでも大きな進歩だろ!」


「そうだよ、福。おめでとう」


「お、おう。ありがとう」


困惑しつつも、照れくさそうにはにかむ福。

……いっつもこうしてれば、すぐに彼女できそうなのに。

ちょっと俺もキュンときちゃったもん。


「それで明日……告白、するんだよな?」


「するよ、何があろうとも」


つい最近までの迷いはどこへやら、完全に覚悟が決まっている。


「2人ともありがとうね」


「どうした急に」


なんか唐突に感謝されると照れるんだけど。


「2人には迷惑掛けたしさ……なんかいろいろありがとうって」


「よせやい」


恋も隣で照れてた。

こういうとき兄弟って感じるなぁ。


「俺、男らしくガツンと決めるよ。成功したらトリプルデートしよ!」


そう言うと福は再びどこかへ行ってしまった。

トリプルデートて……聞いたことない単語だ。

ダブルまでなら聞いたことあるけどさ……。


あと福、耳真っ赤だったなぁ。

福も兄弟説ある。


まぁでも、友達みたいな親しい人にに面と向かって感謝するのって恥ずかしいよね。

分かる気がする。


「俺らもそろそろ教室戻るか?」


「そうだね」


恋の提案に同意し、再び並んで廊下を歩きだす。


「トリプルデートって単語聞いたことねぇな」


「俺も思ったw」


2人で笑い合いながら歩を進める。


「ていうかさ、恋。さっき思ったんだけどさ」


「なんだ?」


「文化祭、弦本さんと一緒にいたいんでしょ」


「……なぜ分かった」


「そりゃ、やたら俺と明日香の仲直りを推して来たしね」


なんかいつもより仲直りさせようとする圧を感じた。

喧嘩じゃないと分かったとき少しだけ残念そうに見えたしね。

つまりは弦本さんと2人きりで居たいなぁと思っていたのだろう。


「バレた?」


「やっぱりなぁ……まぁでも、俺も明日くらいは明日香と居たい、かな」


この発言に対して恋が煽る。

ヒューヒューて……反応が古いのよ。


「まぁ似た者同士だな」


「彼女いれば当然の考えじゃない? それに俺ら兄弟だし」


「確かにな……じゃ、そうと決まれば俺も舞に言ってくるわ」


教室に着くと同時に恋が弦本さんに目線をやる。


「告白?」


「ちげーよ! 一緒に回るってことだよ。告白はしただろ!」


こつんと頭を叩かれる。

ちょっとからからっただけじゃないか。

恋はじゃあな、と言って弦本さんのところに向かっていった。


さて、と、俺も明日香に言いに行こうかな。



文化祭まであと1日。



※※

大切なお知らせ

まずは遅れてしまって申し訳ありません。

簡単に今の私の現状をお話しますと、私と一緒に暮らしている祖母が現在入院中でして、その祖母が最近になって容態が変わってしまい。

そちらに時間を割いています。

恐らく今週辺り……だと思いますのでその場合、私が喪主となり、色々な対応がありますので今週来週、再来週……下手すると三週間程休ませていただくかもしれません。

ご迷惑をおかけし、すみません。

なるべく早く復帰出来るように頑張りますので応援よろしくお願い致します。

                  るふぇ 

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