第105話 腹立つ
「今日もえらく大変そうだな」
「そだね」
今日も
「なんかちょっと優越感あるよな、性格悪いかもしれんけど」
「ふふっ、分かる。おんなじこと思ってた。遊園地のファストパスみたいな感じだよね」
そうそうと言いながら恋は頷く。
俺達、1-Cのクラスは午前の段階で準備を終え、晴れて自由の身となっていた。
……まぁ、うちのクラスは教室で会えるメイドをコンセプトっていうことにしてたから、リアリティ出すために内装ほとんどしてないしね。
メイド服代につぎ込み過ぎて、そうせざるおえなかっただけだけど。
でも、その分、料理の工夫とか広告には力を入れたから、頑張りだけなら他クラスにも負けてない、はず。
これだけ頑張ったんだから明日の本番はきっと上手くいく。
そのために明日は全力でサポートしなきゃ。
すると恋が思い出したように口を開く。
「そういやさ、エビデン。俺と一緒にいて大丈夫なのか。昨日、高憧と喧嘩したんだろ」
昨日のことはメッセージアプリで共有済みなのだが、ちょっとオーバーに伝わってたらしい。
「喧嘩って程ではないけどね。俺の配慮が足らなかったのは確かだけど」
「今日、明日くらいは一緒にいた方がいいんじゃね?」
「まぁ、そうなんだけどね。今日に関してはむしろ、来ないでって言われてるんだ」
「やっぱ喧嘩じゃねぇの?」
違うって。
確かにそこだけ聞いたら、相当なことやらかした感あるけども。
「今、料理班と一緒に練習してるんだよ」
「なんで? あいつメイド服着るんだよな。それなら、料理しなくていいはずだろ?」
「そうなんだけどさ……」
「分かってないなぁ、ラブちゃん」
俺の言葉を遮るように福が間に入ってくる。
「何が分かってないって? あとラブちゃんやめろ」
「女心」
「おまえにだけは言われたくねぇ」
ごもっともで。
急に来てブーメラン発言とはやるなぁ、福。
「明日の本番で愛しのご主人様に手作りのオムライスを作ってあげたいってこと、だろう?」
……なんか腹立つ。
ドヤ顔なのもそうだけど、福に言われるの結構クる。
「おい、こいつ
こくりと頷き、許可する。
やっちゃってくださいよ、兄貴ぃ!
弟なのに兄貴は紛らわしいな。
「てか、福、お前はどうすんだよ。人のこと茶化してる場合じゃねぇだろ」
「……ったよ」
「「え?」」
「明日、一緒に回れることになったよ」
いつもの福と違う真面目な声が俺と恋の耳を貫いた。
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