第44話 ナイショのメッセ

「あっづいねぇ……」


「あっづい……」


太陽が燦々さんさんと輝き、物凄い熱気の7月下旬。

俺と明日香はぐったりしながら学校に向かっていた。

今日は1学期最後の登校日。

今日さえ終わればみんな大好き夏休み……なのだが、暑い、暑すぎるて……。

今年の夏は例年よりも暑くなるってニュースでやっていたのだが、暑いなんてレベルじゃない。

体が悲鳴をあげるレベルの熱波。

ローストチキンの鶏とかはこういう気分なんだろうか……まぁあれは焼かれる前に首を落とされてるから気分とか無いだろうけど……。

脳でも溶けてるのか、暑さでそんなどうでもいいことをつい考えてしまう。


体育祭からおよそ1ヶ月経ったが明日香との関係は特に変わっていない。

恋人になってないだけでほとんど恋人みたいな感じだったし、仕方ないのだが……。

変わったとすれば明日香は前より少し甘えるようになった。

ソファーに座っていると、撫でてーって近寄ってきて、膝の上に横になったりする。

これがくっそかわいいんだ。

おかげでスキンシップは増えたかもしれない。


夏休みに入って家にいる時間が増えると明日香の甘えん坊に拍車がかかりそうだ。

困ったもんだなぁ……ぐへへへへ……。


そうこうしていると学校へ到着した。


ドアを開け、教室に入るとエアコンの冷気が火照った体をまたたく間に癒してくれる。


「天国だぁ~」


「天国だぁねぇ~」


整うってこういうことなんだろうか。

サウナにハマる人の気持ちも分かる気がする。


「いつも通り仲良いなお前ら、エビデンも高憧もおんなじ顔だぞ」


恋が笑いながら、自分の机から喋りかけていた。


「おはよ、恋」


「おはよー、愛久澤君」


「はよー。明日からやっと夏休みだな。期末試験もなんとか乗り切ったし、みんなで遊ぼうぜ……最初の一週間はちゃんと避けるからな、高憧」


「うぅ……。ごめんね……」


期末試験……大変だったなぁ……。

再び西堀さんと二人でみんなを教える勉強会を開催したのだが、みんなが赤点を回避する中、明日香が英語で分からず飛ばした問題を解答欄で飛ばさずそのまま書いてしまい、問題と解答がズレて、赤点となってしまった。

一教科だけなので一週間の補習というルールがこの学校にはあるので、明日香は夏休みの第一週は学校に来て補習しなければならない。


「他の教科は95点越えてたのにね」


「言わないでよぉ……私が一番悲しんでるだからさ」


明日香は自己採点では西堀さんに次いで2位の点数だった。

もはや教える方にまわった方が良いんじゃないだろうかと思うのだが、明日香は勉強会をする前は弦本さんと同じくらいしか理解してないので教えることが出来ない。

逆になんで勉強会だけでそんなに伸びるのか……。

普段から真面目に授業受けようよ……。


ちなみに西堀さんが首位キープ、俺が少し下がって4位で恋達も中間試験と大体同じくらいの順位となった。

西堀さん、体育祭の事があったので声をかけづらかったが「これからも友達でいてくれますか」って言っていたし、前に「教えることで勉強になる」とも言っていたので誘ってみたところ快諾してくれた。

ちゃんと教えきって首位だもんなぁ……本当に西堀さんはすごくて偉い。


「とりあえずグループ作っといたから入ってくれ」


スマホが震え、スマホ上部にメッセージアプリの通知が届く。

通知をタップすると、『いつメン夏休み遊ぼうの会』と書かれたグループの画面が表示された。


恋のネーミングセンスってあだ名の時も思ったけどなんともいえないよな……。


とりあえず参加を押してグループに入ると、福や弦本さん、そして西堀さんから友達登録の通知が来た。

これで同級生の連絡先が5人になった……嬉しい……。

入学する前まで母さんと病院しか入ってなかったのに。

すると再びスマホが震える。

どうやらグループではなく個人メッセージが届いたようだ。


『(福)よろしく、アリソン。夏休み遊ぼうな!』

『(優)よろしくー、福。体育祭の件まだ許してないからな!』

『(福)まじでごめんって。もう1ヶ月経ったし許してくれ……』

『(優)許すか許さないかは俺が決めることだ!』

『(福)アイス奢るから』

『(優)許す!』

『(福)ちょっろw』

『(優)許さん』

『(福)調子乗りました。すみませんでした』


『(西堀)よろしくね、有村君。夏休み楽しみだね』

『(優)よろしく、西堀さん。そうだね。西堀さんは宿題すぐやるタイプ?』

『(西堀)ううん。毎日やっていくタイプかな。最初の方で一気にやると学校始まるとき復習大変だし』

『(優)参考になります。今年からそうさせていただきます。』

『(西堀)👍️』


それぞれの個人メッセージを返していくと弦本さんからもメッセージが届く。


『(弦本)よろしくお願いします。有村さん』

『(弦本)あの、明日もし空いていたら付き合ってくれませんか?』


……え、弦本さん?

普通の男子なら勘違いしますよ、この文だと。

まぁでも流石に無いよな、俺が明日香と付き合ってるの分かってるし、弦本さんには恋いるしね。


『(優)よろしく、弦本さん。明日空いてるからいいよ』


弦本さんが困ってるのであれば相談にのってあげたいのでOKを出した。

するとすぐに返信が帰ってくる。


『(弦本)ありがとうございます!では明日の10時にショッピングモールで』

『(弦本)くれぐれもこの件はあっくんに内緒でお願いします>_<』


……へ?

一緒にショッピングモールってデートじゃないのこれ!?

しかも、恋には内緒って……弦本さん一体どうしたの?

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