リオ

小豆沢優斗

プロローグ 「神のみぞ知る」

魔法もあるわけじゃない。死んでしまえば素晴らしい所へ連れてってくれる神もいるわけじゃない。


ああ、僕が誰だって?あの、はしゃいでいて幸せに満ちている奴ら?違うんだ。坂を一人で歩いてる冴えないのが僕。


僕は、エルミア国で庶民として生まれた。現在は、勉強において切磋琢磨したから、貴族の学校に、特別枠として入ってる。


ここから僕の人生は大きく変わってしまったんだ。


とぼとぼと、僕は坂を登っていた。その先の学校へと向けて。あまりにも、退屈で嫌気が差していた。


すると突然、時が止まり、世界が歪み始めた。そして、眼の前にフードを被った人間らしき物が現れた。だが、フードの中は闇で見えない。下半身は脚の半分が透明になっていた。


「君は力が欲しいか?」と、そう尋ねてきた。


僕は、反射的に「もちろんだ!」と言った。途端に、目眩のような感覚がして、気持ちが悪くなった。ふと、周りを見渡すと時は動いていた。


学校に着き、クラスメイトを横目でじっと見ていると声が聞こえてきた。何が起きたか分からない。そして、今度はまじまじとクラスメイトを見た。再び、声が聞こえてきた。


その後は、授業というものは全く頭に入らなかった。だが、検証する内に少しずつ分かってきた。この能力は、相手の心の声が聞こえる能力なのだと。


その後は、自宅に何事もなく帰った。もちろん。他生徒の心の声は存分に楽しんだよ。内容を聞きたいかい?聞きたくない?どちらでもいいさ。ある生徒は、他の生徒に恋をしていて、また、ある生徒は、憎しみと罵詈雑言で満ち溢れていた。ご想像の通りだったよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

リオ 小豆沢優斗 @yuto2000

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ