「私」
@panda117
第1話
私は優秀からほど遠い存在だ。子供の頃、自分が実は特別であり、皆を危険から救う妄想をしたことがある人は大勢いただろう。だが、大人になった今でも私はこういう妄想をしているのだ。私は常に誰かを羨むような存在だ。過去も今も未来もそれは変わらないだろう。
母は癇癪持ちだった。思い立てばすぐ行動に移すが、何かあればすぐ言い逃れをするような、そんな人だった。母の近くは私にとってとても息が詰まる場所だ。中学二年生の私に放った母の言葉が今でも忘れられない。その日は中間試験の前日だった。私は母からの励ましの言葉が欲しくなり、「もしも良い成績をとったら何かくれる?」とねだった。ただ嘘でもいいから期待が欲しかったのだ。だが、母はこう言った。「あんたがいい成績なんて取れるわけないでしょ。自分の顔見た?ニキビだらけで気持ち悪いわ」と。自分の耳が信じられなかった。物心がついてから言葉で傷付いたのは、あれが始めてだろう。
あの日以降、私は誰かに極力話を合わせるようになり、相手の機嫌をとることに努めた。だが、真に友達と呼べる者はおらず、中高で孤立されることも少なくなかった。結果、私は比較的性格が穏やかなチームに入ることで自分は孤立されている事実を隠そうとしたが、心の中ではなぜ自分は誰にも受け入れられないのかがわからなかった。
一つ年下の妹は友だちが多かった。母にも正面から対抗し、母も妹にきつい言葉を投げかけることはなかった。弟も友だちが多い上に自分の好きなことに夢中になっていた。末の妹は末っ子だからと両親から大変可愛がられた。私は嫉ましかったのかもしれない。
私は誰かの一番になりたかった。一人でもいいから、私を一番に想ってくれるような存在が欲しかった。親友と呼べるような者はいたが、彼女たちにとって私は決して一番ではない。
社会に出ると、この感覚は徐々に強まり、日々消えてしまいたい衝動に駆られた。そんな中、私に初めて彼氏ができた。
「私」 @panda117
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