第8話 小日向美玖
小日向美玖ちゃんのいた3年D組の教室へ来たのだが、あんまり人と話さなかったのか印象はそんなに無いらしい。
だが、美玖ちゃんの事を知ってる人がいるかもしれないので、一応聞いてみる。
ただ、美玖ちゃんとよくご飯を食べていたという2人組に会い、話を聞かせてもらった。
「特にこれと言った問題とかはなかったよね〜」
「ね〜。あ、でもさ」
1人の女の子が箸を置き、人差し指をピンッと立て記憶を辿るかのように目を閉じた。
「なんか、最近怖がってたよね」
「怖がってた?」
その言葉に私は同じことを言った。女子は頷き、話をしてくれる。
「周囲を気にしてるって言うかなんと言うか……ストーカー?みたいな感じでさ」
ストーカーか。
それは確かに怖がるし、周囲も気になるだろう。でもよく分からないな…
すると後ろからポンッと頭を叩かれる。後ろを振り向くと…
「や。超能力部の子」
「あ、剣道部の…」
そこには、以前、鬼円に木刀を渡しに来た女性の人が立っていた。
◇◆◇
「へ〜依頼ね〜」
剣道部の部長さん、剣崎音流さんはそう言って自動販売機で買った缶を1口飲む。
私もコーヒーを1口啜る。え、苦。このコーヒー普通のより苦いんだけど…
「で、その小日向ちゃんが行方不明なんだっけ?」
「はい。それを探してるんですけど…」
「ん〜警察事になりかねないと良いんだけどね…」
「いや〜どうでしょうかね……?」
私と音流さんは半目になり、冷汗を垂らしながら話す。
警察なんか来たら大変だ。事情聴取やらなんやらが関わってくるかもしれない。
「まぁ、頑張りな。私応援しておくからさ!」
「あはは…」
「そうだ。小日向ちゃんなんだけどね」
「?」
音流さんが最後にとんでもない爆弾を落としてきた。
「小村樹先生を見たら強ばってたよ。怒られるようなことでもしたのかね?」
その言葉に私は固まった。
◇◆◇
放課後の部室にて、私は今日調べたことを香蔵さんや鬼円などに話していた。
すると鬼円が話を聞いたことをまとめあげてくれた。
「小日向美玖はストーカーか何かに追われていた可能性があり、そして小村樹先生を見ると強ばった様子も見られた…………か」
「ここまで来ると小村樹先生が犯人で確定なんだけど…」
「謎の理科準備室に、小村樹先生の怒り具合、そして会うと強ばる小日向美玖……」
狸吉さんや香蔵さんがドン引きしながらそう言う。
まぁ、免れないってところかな……。そうすると、お待ちを。と声を上げたのは鶴愛さん。
「もし、その小村樹先生と言う方が犯人ではなかったらどうするのですか?先生の怒りを買うということは部活も自由に動けなくなる可能性もありますが……」
その言葉に香蔵さんが椅子の背もたれに寄りかかり天井を見上げる。
「そーなんだよね〜。小村樹先生が怒ってる理由が分かればね〜」
確かに鶴愛さんの言う通りだ。
理科準備室に近づくなと言って怒る先生の理由…それが本当に危ないものだったりしたら怒る理由も分かるし、なにより、小日向ちゃんが強ばった理由が怒られたことによるトラウマの可能性もある。
そういったことから先生が犯人と確定するのは速いかもしれない。
「いや〜反省反省。先に結論を出すのはダメだね」
「…なぁ、思ったんだが」
香蔵さんが反省と言っていると、鬼円が声を上げる。鬼円が私たちの方へ顔を向ける。
「なら先公に聞けばいいんじゃねぇか?」
確かにそれは手っ取り早いのだが…
「先公って言い方やめなよ。ほんとに不良になるよ?」
「っていうか、足洗ったって言ってたし……」
「ほんとに不良だったのか……」
「うるさい。意見を言ったんだそれに反応しろよ」
香蔵さんが先に反応し、私が不良という言葉で悪噛の言葉を思い出し、狸吉さんが呆れたように首を横に振りながら言った。
鬼円の額には青筋が立っていた。
「先生か〜誰が聞くの?」
「え、誰が聞くのとかあるんですか……?」
「嫌だって怒られたらいやじゃん?」
狸吉さんが子供かよとツッコミを入れた。
すると、鬼円が手を上げる。
「俺が行くか?」
「鬼円が!?」
「鬼円から動くなんて……!?」
そんな動かないんだね…鬼円…。
「よし。じゃあ鬼円に任せようか…」
「あ、そうだ。理科準備室には潜り込めるんですか?」
「うん。なんとか2人がかりなら多分…ね」
香蔵さんが言葉の後ろに音符がつきそうな感じでウィンクする。
それを見た鬼円がフッと鼻で笑う。
「あんたがやるとキツいわ」
「んだとコノヤローッ!」
鬼円の言葉で香蔵さんが立ち上がり、喧嘩が始まった。
狸吉さん曰く……
「よくある事だから。我慢してね」
だそうだ。
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