第4話異変
「数が多いな…」
私は機械人形を切り捨てながら言った。
「どうしたリン?もう疲れたのか?」
「最近敵の数が増えたと思っただけよ」
カラの問に私は答えた、マヒト追放後機械人形に襲われる数が増えた気がする。
それだけ魔人城に近づいたと言う事だろう。
『勇者とは言えカラの成長速度は異常だ……』
私はカラの戦い降りを見て驚いていた、村にいた頃はほぼ私と互角だったのに大きな差がついてしまった。
パトリシア……リジェネ教団が選んだ聖女、あの女が何か良くない薬を使用してる可能性も考えたが証拠がない。
教団は失われたはずの叡智に成通すると聞く、パトリシアが料理番の時も不審な動きはなかった。
『考え過ぎであればよければいいけど……』
私達は山の中で野営をする、テントは二つ勇者と聖女、私とマーシャでわかれている。
マーシャと二人で焚き火を囲み茶を飲む、向いでお茶を飲むマーシャにパトリシアについて訪ねる。
「おそらく……まともな人間では無いわ…」
「パトリシアが?」
「ええ、確かに聖女としての振る舞い、それにあの容姿だモテるだろう、だが不自然だ、あってすぐの者まで虜になる」
「魅了の魔法を使っていると?」
マーシャは首を横にふる。
「魔法発動は感じられない、おそらく固有の能力を付与されと思うわ」
「そんなことが可能なのか?」
「私も詳しくは知らないが…伝説の中にこんな言葉があるデザインヒューマン、千年前は技術で特定の能力に特化した人間を作り出していたようね……」
「勇者様今日も愛してください……」
パトリシアは既に服を脱いである、豊満な胸を勇者に吸わせている。
『能力を全開にしてるとは言えつまらないですね…』
私は内心冷めていた、私は能力を使い勇者を傀儡にした、私は教祖様にデザインされた選ばれし人間、聖女パトリシア、フェロモンの操作により異性を魅了する。
勇者に抱かれるのは、次世代を担う超人を産むこと体に塗った薬を勇者に舐め取らせるため、教団から定期的に強化薬を勇者に投与せよと言われている。
普通に飲ませるのも面白くないから体に塗って舐めさせてる、面白いのよ、私が言えば股間だろうと足だろうと喜んで舐めるのよ。
それが馬鹿みたいで面白いからやってるの。
「ここか……」
暗闇の中男が呟く、男は黒騎士と言った風貌で顔はマスクに覆われている。
彼の足元には狼の様な魔獣形のオートマータが数十体程待機していた。
目の前にはリジェネ教団の神殿、深夜なので一般信者は居ないが銃火器で武装した兵士がいた。
「行け」
男が命じるとオートマータ達は男達に襲いかかる、兵士は銃で応戦するが不意を付かれたため押されている。
魔獣タイプのオートマータも倒されているが、それ以上に神殿側は押されている。
「う、あああ」
「ひいい、来るな!」
兵士達は恐怖で混乱し始めた。
このまま押し切れるか、そう確信した時、それは現れた。
金髪碧眼の美女、その女は脅威のスピードでオートマータを素手で破壊した。
「何をしているのですか!恐れずに戦いなさい!」
女がそういうと兵士達の目の色が変わった、冷静を取り戻しオートマータを狙撃してゆく。
「聖女と同タイプか…」
男は呟く、女の顔は聖女パトリシアとうり二つだ、カリスマや魔術の類ではなく、特殊なフェロモンにより兵士をコントロールしている。
「やってる事は千年前と変わらないな…」
男は光学迷彩を発動させ姿を消した。
「教主様!オートマータが襲撃してきました!」
神官服の男が教主伊能に報告する。
「化野め、私を殺しに来たか…」
「現在、聖女を向かわせたので間もなく制圧できるかと…」
「パトリシアのプロトタイプか……」
伊能は暫し考えたあと命令した。
「聖女アリシアを出せ…」
「しかし、アリシアは戦闘に特化したため、能力の制御が!」
「かまわん!アダシノが来ていたらプロトタイプでは勝てん!」
「わ、わかりました」
神官は慌てて何処かに向かった。
「アダシノか、光学迷彩を解いたらどうだ?」
伊能はだれもいない暗闇に話しかけた。
「お久しぶりですね……伊能先生…」
魔神アダシノはかつての恩師に頭を下げた。
「そんな姿になっても生きてたいのですか?」
水槽の中で首だけとなった伊能に話しかける。
「黙れ裏切り者!お前が協力すれば理想郷を維持したまま人類は繁栄出来たのだ!」
「強制的に異性を発情させるデザインヒューマンを使用し人口を増やす……認められませんよ…聖女パトリシアも先生が作った人形でしょ?」
「次世代を担う超人を産む、聖母を人形だと!?」
伊能は激昂した、到底許せない自分が人生の全てを掛けた研究成果を侮辱されたのだ。
「お父様……もはや言葉を交わす時期は過ぎした」
銀髪赤眼の美女が姿を表した。
「アリシアよ!アダシノを倒すのだ」
「パトリシアと同タイプではないようだな…」
パトリシアの名を聞いた、アリシアの口元が緩む。
「パトリシアを知ってる様だけど……私の方が強いわよ?」
アリシアの瞳が妖しく輝いた。
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