閑話.現代兵器の力

■後神暦 1323年 / 春の月 / 星の日 am 07:00


おはようございます、メルミーツェです。

今日は朝から山脈付近を探索しています。

お目当ては金属に関係する鉱石全般です。


どうしてナレーション口調かって?それは決まってますよ…

訳も分からず無人島(多分)で目覚めてから二か月とちょっと、誰とも話してないと脳内ナレーションでもしないと気が狂ってくるからですよ!!


確かに前世は引きこもった最後だったけど、動画とかで人の声を聴いてた前世と獣と万能メカamlAしかいない今世では孤独感に雲泥の差があるんですよ!


「はぁ…虚しい…」


誰に語りかけてるんだ僕は……


約二か月、探索を続けて周辺の地理的なことは大分解ってきたけれど、人の気配は一切しなかった。実際に人に遭遇したらきっとしどろもどろになってしまうんだろうけれど、このままひとりぼっちだといつか話し方すら忘れてしまうようで怖い。

その為にも外の世界に出てみようと思う。


だから先ずは武器、取り分け現代兵器の銃火器が欲しい。

今はぼぼカルシウムで出来た棒をエナメル質でコーティングした、

構造的には長くてデカい歯と言っても良いかもしれないモノが僕の武器だ。

食べる為に狩りをしていると自然と余ってくる元素値を使うとこうなってしまう。


それに食べる為とは言え、もどき動物を殴り殺す感触はまだ慣れず、あまり気持ちが良いものではない。


「さて…岩場が多くなってきたね、almA」


almAと協力して掘っては砕き拠点のリサイクル施設にそれらを投げ入れる。

カルシウム棒もどんどん折れる、予備はたくさんあるので問題はないけど、”オルカ”の怪力に耐えられずにこうもぽきぽき折れると流石に鉄製の採掘道具が欲しくなる…鉄を取る為に鉄が欲しいとはこれ如何に…某狩りゲーのジレンマみたいだね。


ポイントを変えながら僕とalmAの採掘作業は2週間続いた。



 ~ ~ ~ ~ ~ ~

■後神暦 1323年 / 秋の月 / 黄昏の日 pm 09:20


「や、やった…できた、できたよ!」


闇雲にあちこち掘っていたが、almAが地形データを収集できることを知ってからは移動を繰り返し、表層からでも鉱石がとれる場所を探しまわった末、製造所でようやく銃を1丁作ることができた。


見た目はSAVEGE-M210のようなハーフライフルショットガン。

ゲームでは攻撃範囲が狭い代わりに高火力のキャラクターが片手で撃ちながら左手でボルトを引いたりリロードしているのを見て「そうはならんだろ」って思った印象の強い銃。


「ハンドガンの方が早く作れたけど、もどき動物には威力が足りないもんね」


とにかく!これで外の世界に行く準備が一歩進んだよね。


「あとは予備の弾も作る間にご飯にしよう!」


《 元素値「N」「C」が不足しています 》


「またかよー!!!!」


まだまだ前途多難だよ…almA…

僕は弾丸制作を諦めて浮かぶ多面体と遅めの夕食をとる。

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