第8話 魔王の影が忍び寄る「罰としてずっと抱きしめています」

【レベルアップしました!】

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 どこからともなく声がして、


 アルバート・フォン・マクタロード

 レベル:1→35

 魔力     26 +80

 筋力     13 +120

 防御力    9 +55

 魔法攻撃   10 +75

 魔法防御   8 +60

 敏捷     11 +90

 ジョブ:なし

 スキル:煉獄斬、魔力消費0


 オーガを倒したことで、一気にレベルアップ。


 かなりステータスが上がってしまう。


 が、しかし。


「く、苦しい……っ。アルウィンさん、もう離して……」


 まだ、胸に埋められる俺。


「こっそり森へ来た罰です。今日は一日中、私とぎゅうーっと、してもらいます」

「アルウィンさんだけずるいー!」

「あたしもご主人様と抱き合いたいっ!」


 セリスとリンフィアは、大いに不満を言うが、


「ふふふ。これはメイド長の特権です。あなたたちは指を咥えて見てなさい……」


 何を言ってるんだこの人は。


 いつもは真面目なメイドさんなのだが、


 アルウィンさんはときどき、変になる。


「くぅ〜……っ! あたしもメイド長になって、アルバート様を胸に挟みまくってやるぅぅ……っ!」

「ええーんっ! 大きな胸がほしいのですぅ!」


 ぐぬぬっ……となるセリスと、


 なぜか泣きそうになっている、リンフィア。


 妙に騒がしい人たちだけど、


 とにかくみんな、無事でよかった——

 

 ★


「それにしても……どうしてオーガが、ブラック・フォレストに?」


 俺は部屋の中で、ひとり考えている。


 なんとかアルウィンさんを引き剥がして、今後の対策を練っていた。


 ブラック・フォレストは、F級モンスターしか出ないはずなのに……


「それは——魔王の力だ」


 ベッドの下から、声がした。


「だ、誰だ……っ?」


 とっさに俺は、身構える。


「そう驚くな。私、だよ」


 白猫がベッドから出てきた。


「女神アイリーンだ。初勝利、おめでとう」

「なんだ……女神さんか」


 はあぁ〜〜……っ。


 クソデカいため息をついてしまう。


「き、キサマ……っ! 女神がせっかく会いに来たのに、そのしょっぱい対応はなんだっ! 【美しい女神様に再会できて嬉しいですぅ!】とか、そういう感動はないのかっ!」

「はぁ……無理っすね。それは」

「ぐぬぬ……失礼な奴だ」

「で、さっさと本題に。魔王の力って言うのは?」

「魔王マグナスの眠りが覚めたせいで、モンスターどもが復活したからだ」

「つ——っ! もう魔王が目覚めたのか⁈」

「もう覚醒はしている。だが、まだ聖女の封印が効いているから動けないだけだ」


 魔王は、もう目覚めている——


 そのせいで強いモンスターが、森に現れたのか。


「クソ……っ! 俺はどうすればいい?」

「とにかく今は、レベルアップして強くなることだ。そして——」


 女神は少し言い淀んでから、


「……そして、何だ?」

「強い冒険者を仲間にすることだ。一人で魔王に挑むことはできないからな」

「要は、俺自身が強くなって、仲間も強い奴を集めれば……」

「たしかに、そうだ。……だが、アルバート、お前は【希少種】(男)だ。つまり、その、女に襲われる……ことになる」

「お、襲われる……?」

「冒険者の女たちは、男に飢えに飢えまくっている。仲間になる見返りに……お前のカラダを……こ、こんなこと、女神に言わせるなっ!」

「————」


 俺はこの世界のことを、理解していなかった。


 貞操逆転したこの世界で、まだ普通に生きていけると思い込んでいた。


 だが、それは間違っていて——


「……つまり、世界を救うために、俺は女に襲われないといけない、ってことか?」

「そうなるな……本当にすまない」


 女神(猫)は、俺に頭を下げる。


「し、しかし……っ! 絶望することはない。 男の身体に興味のない女も、極々まれに、いるからな。じゃあ、また会いに来るから。ははは……」

「ま、待ちやがれーっ!」


 俺が飛びかかるより早く、女神(猫)は逃げ出した——


 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【あとがき】


今は趣味で書いてますが、正式に連載するか迷っています。


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貞操逆転世界で人生が報われた件〜現実世界で最悪な人生だった俺、貞操逆転した異世界でハーレムを満喫する〜 水間ノボル@『序盤でボコられるクズ悪役貴 @saikyojoker

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