シルバーパレス
ここは闇に包まれた異空間。禍々しい気が満ちる世界で、現世とは違う次元に存在している。そんな暗闇の世界に浮かぶ宮殿、シルバーパレスの中でエンデ・シルバーのメンバーたちが会話していた。
「あらゲルプ。セイントブラックを倒すと言った割には早かったわね。楽勝だったかしら?」
グルーン・サイエンス。フラスコを拭きながらゲルプに尋ねる。
「皮肉もいい加減にしなさい」
ゲルプ・マジック。とんがり帽子を深く被って怒りを隠しつつも、その声音には怒りが滲み出ている。
「あなたこそ、私より先に二度も負けたではありませんか」
「うっ……。ま、まだ負けたわけじゃないわ」
ゲルプが反撃すると、グルーンは取り繕うようにして答えるのだった。
「あなたはいつも肝心なところで魔法少女を取り逃すではありませんか」
「あんたこそすぐ魔力切れになって負けるじゃない!」
「なんですって!?」
互いに睨み合い、一触即発の状況。武器を構えて今にも戦い出しそうなその時。
カツカツと靴音を鳴らして近づいてくる音が微かに聞こえる。それは二人のいる部屋に近づいてきていた。ドアが開く。
入ってきたのは銀髪の少女。黒いローブを身につけ、固い表情のまま中央の玉座に座った。彼女が部屋に入ると同時にグルーンとゲルプは背筋を正して直立する。
「下らぬ争いをするな」
彼女こそがエンデ・シルバー首領、シルバーその人だ。
「申し訳ございません」
「失礼しました」
グルーンとゲルプは揃って頭を下げる。
「我々の目的は何か思い出せ。魔法少女の滅亡ではない。魔法少女と戦うのはあくまで魔力を集めるという手段だ。そこを間違えるな」
「「はい」」
グルーンとゲルプは声を揃えて再度謝罪する。シルバーは再び話し出す。
「あの黒の魔法少女にこだわるのは諦めよ。今度は神奈川ではなく周辺地域に攻め込む。今の我々の力があれば容易いであろう?」
「「承知致しました」」
「今から準備するぞ」
そう言ってシルバーは部屋から出ていった。しばしの沈黙の後、グルーンとゲルプは同時にため息をついた。
「はあ……、相変わらず怖いわねえ」
「あの方の言うことは絶対です。逆らうわけにはいきません」
シルバーの圧倒的な存在感と威圧感に二人は畏怖しつつ、彼女への尊敬も同時に持っている二人だった。
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