早瀬さん宅
「お邪魔しまーす…」
「いらっしゃい、少し片付けてくるからまっていてね」
一向に降り止まない雨の中、僕は早瀬さんの家に向かうことになった。
母親には一応
『雨宿りしてるから帰るの遅れる』
と連絡を送っておいた。急いで送ったため無愛想な気もするが家族だから別にいいだろう。そんなことより今はこの状況の方が大切だ。
僕が濡れた後、早瀬さんと僕は足早に早瀬さんの家に行くことになった。
最初は遠慮していたけど彼女の有無を言わさない表情に頷く敷かなかった。
とはいえ、女子の家に足を運ぶのは初めてだ。こんな状況だと言うのにとても緊張してしまう。
良くない良くない。彼女は善意でわざわざ家に呼んでくれたんだ。邪な気持ちを持つな坂本颯!
心を落ち着かせてポケットに突っ込んでいるスマホを確認する。
18:00
6時かぁ…。
お母さんが帰ってくるまでまだ少し時間がかかりそうだ。帰ってきてくれたら迎えに来てもらおうと思ったが、そうとはいかないらしい。
まぁ母親が来ても今の状況だと質問攻めに合いそうなのだが。
───トットット
ふと廊下から足音が。
「おまたせ。はい、タオル」
「あ。ありがとう早瀬さん」
大きめのタオルを持ってきてくれた早瀬さんからタオルを貰い濡れた所を重点的に拭いていく。
拭いている途中、タオルから早瀬さんの香りがすることに気が付く。彼女の家の物なのだから当たりなのだ…やめよう、僕今相当気持ち悪い。
「雨、止まなそうだね」
「うん、結構激しくなって来たから帰るの大変そう。あ、タオルありがとう。助かったよ」
「うん、良かった。ちゃんと拭けてそうだね。あと親御さんには連絡した?」
「一応連絡しといたよ。多分まだ仕事中だから見るのはまだ少しかかりそうだけど」
そう言いながらこの後どうするか考える。流石にずっとここにいるのは彼女に迷惑が掛かってしまう。それにもし、彼女の両親が帰ってきたりしたら色々と勘違いされるかもしれない。
「それじゃあ…玄関で立ち話もあれだからひとまず私の部屋に行こうか」
「はい!?」
私の部屋!?もしかしてなくても早瀬さんの部屋のこと!?
「いやいやいや!ダメだって!!流石に遠慮しておくよ!」
「私は大丈夫だよ。もしかして何か私にするの?それとも私の部屋には来たくないかい?」
「いや…しないし、来たくないなんてこと無いけどさぁ」
心の準備がさぁ…!
「それなら私の部屋に来てよ。凄い憧れてたんだ。異性の友達を部屋に呼ぶの」
そう言い僕の手を引っ張り自分の部屋へと連れていく。余りジロジロ見ないように極力他の部屋のことは見ないようにし、無心で彼女の背中を見つめておく。
そして
「はい、ここが私の部屋」
「し、失礼します…」
その姿はまるで狼に連れていかれる子うさぎのようであった。
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前回のお話、最後だけ少し訂正しました。
それと疑問なんですけど1話だいたいどれ位が見やすいですか?
冴えない僕がスクールカーストトップの幼馴染グループと仲良くなったら ひろん @hiron2
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