帰宅中の出来事2
「それじゃあ坂本くんは傘が無かったから家に帰れなかったんだ?」
「まぁそういう感じだね。早瀬さんは授業の分からなかった所を聞いていたんだよね?」
「はは、私はそうだね。こういうのって残して置くとなんだかむず痒いし。」
「真面目だ…」
一向に止まない雨の中僕と早瀬さんは1つの傘に入りながら自分の家に帰っている。
最初はドキドキしたけど入ってみてら意外と慣れるものである。僕の家まで付き添う事を早瀬さんは提案したけど流石にそれは申し訳なさ過ぎたので途中の道路まで入れて貰うことにした。
「あれ?坂本くんちゃんと傘に入ってる?肩が濡れてるからちゃんと入った方がいいよ?」
「いや、少しぐらい大丈夫だよ。僕よりちゃんと早瀬さんが入らないと」
それにそんなに近づくと腕が当たって緊張するし。なんなら今もいい匂いでドキドキしてるし。
「だーめ、風邪を引いたりしたら大変だよ?それにもう少しでゴールデンウィークだし。ゴールデンウィーク前で風邪なんて引いたらせっかくの連休が台無しになるよ」
「いやでも」
「いやでもじゃない。ほら、来な?」
そう言って早瀬さんが若干強引に僕の脇腹に手をよこし、自分の元に引き寄せる。
「ほら、これなら雨に当たらないでしょ?」
「た、確かに…」
でも別の問題が!!
僕の理性が!!!
いやでも違う。これは彼女の善意だ。それを無下にする訳にはいかない。実際嬉しいし。
そうだ。気にしないようにすればいいんだ。
そう。会話を、会話をしよう!
「そういえば早瀬さんはゴールデンウィークは予定でもあるの?」
「私かい?ん~、優香達と出かける予定があるぐらいかな。その他はまだ分からないけど今のところはそんな感じ坂本くんは?」
「あはは、残念ながら僕は特に遊ぶとかの予定な無いかな。基本的には暇だよ」
「そっか…」
基本的に休日は1人で過ごすことが多いため、連休と言ってもいつもと変わらず1人で過ごすことになる。寂しくは無い、断じて。
「それならさ…」
「うん?」
「良ければ今年のゴールデンウィーク中、どこかのタイミングで合わないかい?」
「え!?」
まさかのお誘い。
今ままでは偶然出会ってそのままの流れで過ごすことはあったが事前に予定を決めるのはなかった気がする。
「嬉しいけど僕その、自分でもあんまり言いたくないんだけど友達が少ないからさ、大人数だとちょっと緊張するかも…」
「大丈夫だよ、君と私だけの予定のつもりだからさ」
「君と私って…。もしかして2人!?」
「ふふっ、そんなに驚くことないでしょ。今までデートだってしたことあるんだし」
「いや、あれは!ぐぐぐ…」
ダメだ。何を言っても手のひらで転がされる未来しか見えない…。
───ピー
そんなやり取りをしている最中、ふと後ろを見る1台の車が結構なスピードで道路を走っているのを見つけた。そして僕達の横には大きな水溜まりが──
「早瀬さんちょっと屈んで!」
「え?っとと」
───ビシャアッ
急いで早瀬さんから傘を貰い出来るだけ彼女を覆うように守るようにした。僕が道路側を歩いていたため、早瀬さんには被害が少ないが流石道路側を歩いていた僕は濡れてしまった。
「ごめん、早瀬さん大丈夫?」
「私は大丈夫だけど…って坂本くんは大丈夫!?」
「あはは、ちょっと濡れちゃったかも、でもこれぐらい大丈…クシュン」
いきなり体が冷えてしまったせいかくしゃみが出てしまった。
「…!ごめん、私のせいで!」
「いや、全然大丈夫だよ」
「いやでもこのままだと風邪を引いて…。そうだ、坂本くんの家までまだ少しかかる?」
「へ、いやもう少しかかるけど…」
「それなら私の家に寄ろう。タオル位なら沢山あるからそこで雨宿りをしよう」
「…はい?」
どうやら雨はまだ止みそうにないらしい
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1部訂正しました。
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