連絡先を交換しよう

 こんにちは、颯です。

 皆様お元気でしょうか?私?あぁ私は元気ですよ。


「···············」

「····················」


 この空間にいなかったらね!

 私は今、早瀬さんに人目のつかない図書室のカウンターにつれてこられております。

 肩がほぼ密着してる位には近づいており、女子特有のいい匂いとドキドキで頭がクラクラしそうです。


「アノ…ハヤセサン·····」

「ん?どうしたんだい?そんなに縮こまっちゃって」

「ヒィ!」


 怖いよ!なんだかすごく怖いよ!凄い雰囲気だよ!なんだか食べられちゃいそうだよ!


「なんでそんなに怒ってらっしゃるのですか·····?」

「怒ってる?まさか。たださっきも言った通り嫉妬してるだけさ」

「·····嫉妬?」


 嫉妬ってなんだ?全く分からないぞ?


「分からない?」

「えっと·····はい·····」


 だって心当たりがないんだもん!


「·····土曜日」

「へ?」

「2日前の土曜日なにしてたの?」


 2日前?2日前と言えば·····。


「買え物に出かけて·····、あー、それから柊さんとお話したぐらいかな」


 いやー、まさか柊さんと話す機会があるなんて思わなかったよね。うん、とても楽しかった。


「·····そこからどうしたんだい」

「そこから?いや特には·····。あ、柊さんとLANEを交換したぐらいかな」


 あれはホントに驚いた。まさか僕のLANEに女の子の、しかもあの柊さんの連絡先が追加されるなんて思わなかったよ。


「それ」

「ん?」

「私はそのLANEについて聞きたかったんだ」

「LANEについて」


 ???

 ホントに話が見えてこないや。


「·····ズルイ」

「え?ごめん、今なんて言いました?」


 すると早瀬さんは僕にさらに近づく。

 肩は完全に密着。これ以上はダメだ·····。僕がどうにかなりそう。


「ズルいって言った」

「へ、ズルい?」

「そうズルい。私だって君とLANEが交換したかった。君と連絡が取り合いたかったし、夜電話なんかもしたかった。そもそも、私の方が君と仲良くしていた時期は長かったはずだ。確かに、とても長い付き合いかと言われればそんなことはない。でも、少なくとも優香と比べれば私の方が交流があったはずだし────」


 早瀬が暴走してる!

 なんか聞き逃せないことも言ってた気がするし、なんかキャラも崩壊してる気がする!とりあえず落ち着かせないと!


「わかった、わかったから!一旦落ち着いて!多分心の内に秘めてること言ってる気がするし!!」

「ハ·····!ん"ん"!申し訳ない。私としたことが」


 ふぅ、何とか落ち着いたらしい。


「·····分かってくれたかな?まあつまり何が言いたいかと言うと私は君とLANEが交換したいんだ」

 若干顔を俯かせる早瀬さん。その顔はどこか不安そう。

 なんだ、そんな事だったのか。LANEなら僕も早瀬と交換したかったし、返事なんて決まってる。

 ·····でもちょっと緊張するな。


「僕も早瀬さんとLANE交換したいから喜んで·····!」


 若干照れながら返事をする。男が照れながら返事をするな?うるさいうるさい。


「本当かい!?」


 顔を上げ、歓喜と喜びを混ぜた表情を浮かべる早瀬さん。

 その顔は誰が見ても可愛く、僕が独り占めしてしまいたいの表情だった。


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